時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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最終章 7 

 まだまだ続く。三木はタブレットをスクロールした。

 

 「我々が生き残れたのは、防護服を着た技術者とAIロボットによる原子力発電所の運営で電力が確保できたことと、その電力による光で、工場内で作物の栽培と畜産が可能になり、食料の確保ができたことによる。それができなかった地域は、次第に人がいなくなった。

 

 原子力発電所以外の発電所は、ミサイル攻撃によって破壊された。多くの原子力発電所は攻撃されなかったが、作業員の避難のため作動不能、メルトダウンに陥っていた。攻撃がなくなっても、原子炉からの放射線で近づけない。運営できたのはほんの一部の発電所だけだった。

 

 我々はそんな時代に生まれた。太陽の光は物語の中にあるだけで、体験しないで育ったのだ。生まれたときからの環境、何の不便も感じなかった。この地球の他の地域については、歴史の資料や地理の書物で知っていたが、他の地域との通信手段もなく、狭い地域の中だけの生活であった。でも、何の不自由もなかった。

 

 我々の祖国日本がどうなっているか、連絡もとれなくて、不明であった。ただ、ドミニカに避難した日本人とは避難当時から連絡をとりあっていた。」

 

 (今の日本は・・・・、偵察衛星の映像では、もとあったところには島1つもない、大西洋に移転している。移転前を知っているから不思議なだけで、移転後に生まれた子供にとっては、何の不思議もないということだ。)

 

 「悲劇に気が付いたのは、我々が成人してからだ。結婚したカップルが何組もいるのに子供がいない。何年も子供が1人も生まれていない。気が付いた時の最年少の子供が5歳だった。

 

 狭い地域である。子供が1人も生まれない年もあった。生まれる子供が少ないのは、大地に紫外線が降り注ぎだしてから、ずっとそうであったから、誰も疑問に感じなかった。ところが、何年もなんてことはなかったのに、4年間ゼロだったのだ。

 

 我々は連絡のとれるすべての地域に問い合わせた。どの地域も同じであった。今生きている人は、いつかは死ぬ。今生きている人が死ねば、我々の知っている地域の人類は全滅する。寿命を考えれば、100年もない。

 

 我々の知っている地域に起こっていることが、知らない他の地域には起こっていないと考える方が不自然、地球全体に起こっている人類の危機と考えた。

 そんな絶望の中で、人工的な人たちの育成と時空移転装置の開発がなされた。

 

 20××年の日本を現在2×××年より495年後に移転するようにセットした理由はすでに説明している。約500年後だから、日本が移転してきたときには我々はいない。ただ、発動のセット後に人類の集落が見つかったように、この地球に人工的な人たち以外に、まだ生き延びることができる人類がいるかもしれない。

 

 悲劇の未来に移転してきた日本への説明は以上である。

 すべてのことを説明したとは思わないが、我々の説明できることはもうない。さらに、未来を切り開くのは、やってきた日本と残っている人たちである。」

 

 そして、三木はその続きに目を通して、真っ青になった。

 

 (これって何の罪になるのだろう?証拠隠滅?文書偽造?)と思いながら、USBの最後の部分の文章を削除しようとしたが、思いとどまった。もう1つの記録媒体DVDの部分削除ができないことに気が付いたからだ。三木は、文章を私物のタブレットのファイルにコピーして、タブレットの電源を切った。

 USBをもとの箱に保管し封筒に入れガムテープで巻いた。それを黒いリュックに入れた。

 

 翌日、三木は、下野大使に礼を言って大使館を出た。大使が用意してくれた車で、アイロン空港へ向かう。胸に辞職願を用意して。

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