時空を超えて   作:ぴょんぴょん店長

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7話

 佐川は2人ずつ2機のヘリに残るように手配して、ロケット砲による攻撃が止むと、海からの砲撃も止まるから、ヘリで敵の後方から攻撃を開始するよう指示。そして、前方の自衛隊の銃撃が始まると攻撃をやめて海の方にできるだけ遠くへ退却するように指示した。

 残りの隊員8人には、2人ずつでロケット砲4台を配置し、合図で攻撃を開始し、ロケット弾が終われば、森のところまで退却し、そこからまた合図で銃撃を開始するように指示した。

 

 その後、佐川は三木からコリーに侵略者のことを知らせていると聞いていたので、守りに来ているだろうと思い、森まで歩いて行った。

 集落からの兵は200、20人ほどは仮面をかぶり、手に槍か薙刀。残りはすべて熊耳の素面で手には鍬か鎌。まるで百姓一揆。その鍬や鎌に、集落を、仲間を、家族を守るんだという気迫が現れていた。

 

 佐川は、「全員森に隠れていて、私の合図で武器を構えてでてくるように指示してほしい。」とコリーに言った。

「構えるだけ、決して攻撃しない。それで決着がつく。」

 コリーは怪訝な顔をして、佐川を見た。

 佐川の自信たっぷりな顔を見て、ビッグベアと呼ぶ熊もどきを退治したことを思い出し、佐川の指示に従った。 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・

 

 白馬に乗ったジョージ侯爵は、手綱を引くトムに声をかけた。

 「目指す森が見えてきたよ。先発隊はあの森の中で野蛮な亜人どもにやられたらしいが、騎兵は森では不利だということを知らなかったようだ。歩兵で森を攻略。騎兵の活躍はそのの後。で、鉄砲隊の士気はどうかね。」

 「森の中での銃撃、難しいですが、訓練はつんでいます。まあ、森をぬけたら、お宝の山ですから。」

 トムは鉄砲隊の隊長、20丁の火縄銃が配備された期待の隊である。

 

 「あまり、殺すなよ。大切な奴隷なんだから。」

 「はい、承知しております。」

 

 先頭を鉄砲隊、その後を槍を持った歩兵隊、最後尾を騎兵隊。整然と行進していた。

 「あの黒いお化け羽虫はなんだ。ん、人がいる。」

 先頭を行くジョージがそう叫んだとき、後方の騎馬隊の場所が突然ドカーンと爆発。

 ドカーン、ドカーン。

 「亜人の魔法攻撃か。ひるむな!」

 ジョージの檄もむなしく、隊は大混乱。

 

 海からの砲撃がドン、ドン。

 かろうじて無事だった騎兵は後方へ逃げ去っていく。

 「逃げるな、それでも王国騎兵隊か!」

 ジョージの叫びもむなしく、騎兵は誰も残っていない。

 

 「トム、鉄砲隊は無事だな。すぐ攻撃せよ。」

 「できません。もっと近づかないと届きません。鉄砲隊、駆け足前進!」

 トムはそう言って、鉄砲隊と共に走って行った。

 

 そこへ、お化け羽虫と呼んだヘリがパタパタとやってきて、

 ダダダダダ、ダダダダダ。

 後ろから隊を押し上げる。

 

 前進してくる兵が射程距離に入ると、佐川が叫んだ。

 「白馬は撃つな! 撃てっー!」

 ダダダダダ、ダダダダダ。

 

 自動小銃の餌食となった兵たちがバタバタと倒れて行く。

 頃合いを見て、佐川が再び叫ぶ。

 「やめっー! いでよっー!」

 

 森から集落の兵登場。圧倒的多数。しばし、沈黙。

 

 鉄砲隊が構える間もなく全滅したのを見届けたジョージは、叫んだ。

 「ギブアップ!」

(ん、英語?)佐川は、反射的に声が出た。「ホーダップ!」

 武器を捨て、手を挙げた。

 

 ・・・・・・・・・

 

 味方に1人の犠牲者も出さずに勝利した佐川は、捕虜5人以外は、武器をその場に置き、傷ついた者を連れて帰還するよう命じた。

 

 捕虜5人に集落の兵たちが襲いかかろうとした。壊滅した集落から逃げ込んだ人も兵になっていたのだ。

 

 バン、バーン

 佐川が上空に銃を撃って、それを止めた。

 

 そして、残された武器等の始末をコリーにまかせ、捕虜をつれて護衛艦いずもにもどった。

 

 ・・・・・・・・・

 

 もどってきた佐川に、三木が声をかけた。

 「ドローンからの映像、モニターで観ていましたよ。スペクタクル、見事。さすが佐川さんですね。」

 佐川は振り返ったが、何も言わず捕虜の扱いの相談に艦長室へと急いだ。

 

 捕虜からの情報の聞き取りは、佐川立会いの下、英語の達者な下野外交官がすることになった。自称通訳の三木は身振り手振りが得意でハッタリがきくだけ。英会話には不向きだった。

 とにかく、政府から港設置の工事団がすでに派遣されており、侵略者の野営テントは撤去され侵攻される危険もなかったので、護衛艦いずもは帰国の途に就いたのである。

 

 捕虜は侯爵だというジョージと鉄砲隊長のトム、2人とも白人なので、あと3人は肌の色が違う人、黒色、褐色、黄色と選ぶつもりであったが、すべて浅黒い肌の人。そんな人しかいなかった。

 

 はじめは、同じヒトなのにどうして亜人の味方をするのかと、批判するばかりで質問に答えようとしなかったが、下野外交官の柔らかく粘り強い問いかけと優しい物腰に心を開いたのか、しだいに素直に答えるようになった。




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