山小屋に汚いガキがいたので虐待することにした   作:頭畜生

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進撃熱が再熱してしまったので書いてしまいました。


844年
第1話 “悪”


 

 

 

 

 

 ────この世界は残酷だ。

 

 そう、それはもう見るに堪えないくらいに残酷である。

 常に誰かが野垂れ死に、誰かが石を投げつけて、誰かが誰かを差別する。オマケに壁の外に出りゃ人喰いモンスターどもが跳梁跋扈している……そんな狂った世界だ。

 

 だが、それに関してはなんも思わん。

 弱い奴が死に、強い奴が生き残る。それは今の世界がどうこうだからじゃなく俺たちの先祖が石を持って火を付けた時代から続く常識も常識の真理だからな。

 

 ただそれでも、この世界は()()()()()()()()()()()()()()と断言できる。

 何故なら─────そういった人の悪意が、俺という極悪人を誕生させてしまったのだからなァ!

 

 

 

 

 

 俺の名はヴィラ。自他共に認める最低最悪の極悪非道、人類史上最も悪事を働いた人間として後世に名を残すであろう男だ。

 

 さぁここで一つ俺という“悪”を完成させた惨たらしい過去について語ってやりたいモンだが……生憎とそれは出来ねェ。なぜなら俺には()()()()()からだ。

 覚えているのは自身の名前とクソみたいな性根、それと生活に困らない程度の常識ぐらいで、その他は全て記憶喪失で頭パー。そんな奴の過去話なんて出来の良い嘘と何ら変わりないんだよなァ。

 

 そこで、だ。そんな記憶のない俺だが、悪党なら悪党らしく一つぐらい口にするのも悍ましい趣味を持つべきだと考え、とある行為を趣味にすることにした。

 

 ────その名も虐待だッ!!

 

 記憶は失っても志は失われず。生粋の“誰かの涙が死ぬほど大好き人間”である俺が虐待を趣味とするのはもはや必然であろう?つまりそういうこった。

 なかなかチャンスが巡って来ずやれず仕舞いなわけだが、これまで幾度も行ってきた脳内虐待シュミレーションは完璧と言っていい。そして、目を逸らしたくなるような残虐な行為を何度も想像(妄想)してきたがちっとも心が痛まなかった。

 あぁ、俺はつくづく性根の腐った悪党なのだろう。しかし、これ以上ない趣味だとも確信したぜェ。

 

 ハーッハッハッハ!!恨むならこの世界を恨め!!何故なら、世界(お前ら)が俺という悪魔を生み出してしまったのだからなァ!!

 

 「………にしてもなんだこの臭いは。随分と物騒な臭いがするじゃあねェか」

 

 さて、今日はちょっとした気分転換でとある山の中に来ているわけだが、どこからか血の匂いがする。

 獣の血ではなく、同種が流す赤い血の臭い。嫌というほど嗅いできた血汐の臭いだ。

 

 「邪魔するぞ〜……ってこりゃあ……」

 

 血の臭いがする家にノックもせず土足で足を踏み入れると、そこには男と女が血塗れで倒れていた。

 脈を測ってみるが………こりゃあもうダメだな。死んでやがる。

 ただ死んでからそこまで時間は経っていないようだぜ……だからなんだって話だけどよ。

 

 「差し詰め空き巣に狙われたってところか?それとも人攫いの類か……ま、そういうのは憲兵団の仕事だよな。俺には関係ないってこった────ん?」

 

 しかし、そう簡単に問屋は卸されないようで、突如として目の前に現れた()()()()()()()()()()兼我が崇高なる虐待の()()()である金髪少女──俺は()()()()と呼んでいるぜ!──が何食わぬ顔をして『行け』と指を差しているではないか。

 えぇ〜、めんど〜……とは思うものの、どうせ行かなくてもネチネチと小言を言われるのが顛末だろう。ならば少しでもマシな方を選ばせてもらうとしよう。

 

 大雨の中、彼女の案内に従って進んでいけば────そこには誰にも使われていないような古めかしい山小屋があった。

 さてさて、ちょいとばかし大きめなプレゼントボックスだが、一体中には何が入っているのやら……

 

 

 

 

 

☆★

 

 

 

 

 

 ────寒い。

 

 

 目の前で両親を殺されて、なにも分からず殴られて、今も下卑た声と値踏みするような視線を受けてもなお、なに一つ状況を受け入れられずにいた。

 

 

 ────寒い。

 

 

 世界がモノクロに見える。さっきまで鮮明で色鮮やかに見えた世界は、今や白と黒の色でしか見れなくなった。

 私が最後に見た色は───両親の体から噴き出る赤い血の色。

 

 

 ────寒い。

 

 

 まるでこの世界にたった一人残されたような感覚。

 心にぽっかり穴が空いてしまったような……そんな虚無感が私を覆う。

 

 

 私はどこに連れて行かれるのだろうか。

 でも、たとえどこに連れて行かれたとしても、もう無理に抵抗しようだなんて思わない。……思えなかった。

 

 

 ────だってもうこの世界には、私の帰る場所はどこにもないのだから。

 

 

 「たのも〜!!」

 

 

 ふと声が聞こえた。

 両親を殺した三人の声ではない。全く知らない大人の人の声。

 

 

 「なっ、誰だテメェッ!?」

 「どうしてここが……!?」

 「そんなこと今はどうでもいい!それよりヤツを───」

 

 

 その瞬間、三人の大人が宙を舞った。

 刹那ほどの時間、瞬きもせずに見ていたというのに、それでもまるで動きを捉え切れなかった。

 

 

 「あいにく俺ァ、巨人よりも対人の方が好みでね。運が悪かったな、三下」

 

 

 彼のマントが靡く。

 そのマントに記されていたものは、秩序を守る薔薇でなければ、内地で王を守る一角獣でもない。

 

 そう、それは────

 

 

 「────自由の、翼」

 

 

 威風堂々と靡く自由を渇望した翼。その重みを背負う彼の後ろ姿を、私はただ眺めることしかできなかった。

 

 

 

 

 

☆★

 

 

 

 

 

 クーックックック!!!あ〜、スッキリした!!!

 

 まさか山小屋に盗人のカスどもがいるとは思わなんだが……いや、これも全部精霊さんが俺に贈ってくれた玩具なのだろう。

 ここ最近ストレスが溜まっていた俺に対するご褒美だと思えば案外悪くない代物だったなァ。

 流石は我がパートナー、俺が欲しい物を理解してくれている。後でたくさん礼をしねェとな!

 

 「さて、お前はあの家にいたガキか?もうこの三人以外に三下はいねェのか?」

 「…………」

 

 俺は今も小汚い床に寝っ転がっている汚ねェガキを威圧しながらそう尋ねたが、ガキはどこ吹く風とフル無視をかましやがった。

 ククッ、面白い。今すぐ死にてェような面をしておきながらこの反骨心を魅せるか。なるほど、コイツはなかなか骨のある奴と見た。

 

 ………よし、決めたぜ!!!

 

 「オイ、ガキ。名前は?」

 「…………ミカサ。ミカサ・アッカーマン」

 「よしミカサ。お前、どっか行く宛でもあんのか?」

 「…………ない。私に帰る所なんて、もうどこにも……」

 

 光のない瞳は力無く小汚い床を見る。

 その姿はまるでこの世界から希望を失い、生きる気力すらも見失ってしまった廃人のようであった。

 だがそれもそうだろう。なんせ目の前で親を殺され、コイツはコイツでどっかの悪趣味な変態貴族どもに売買されそうになっていたんだからな。

 

 ……あぁ、かわいそうに。この俺ですら思わず同情しちまうよ。

 なんせ────これから更なる地獄を見る羽目になるんだからなァ!!!

 

 「よっこらせ」

 「……?」

 

 俺はミカサの両手首を縛っていた縄を解き、そのまま流れるようにその小さな身体を担ぎ上げた。

 ……にしても滅茶苦茶冷てェな、コイツの体。それに泥塗れ雨濡れで全身ビショビショ、オマケに俺の衣服にも水滴が垂れてくる始末……あぁ、イライラする。こういう汚い奴を見ると心底ムカついて堪らん。俺の堪忍袋の尾が切れる前にさっさと虐待するか。

 

 「はっ、お前も運がない。よりにもよって俺という極悪人に見つかっちまったんだからな」

 「え?」

 「お前には俺が救世主に見えたかもしれないが、それは違う。むしろその逆だ。いいか?俺は誰かが苦しむ姿を見るのが大好きだ。涙を流し、必死に赦しを乞う姿を見たくて見たくて堪らないのだ。そして………それはガキも例外ではない」

 「…………」

 「ククッ、察したか。そうだ!お前はこれから俺の家に行き、俺の玩具となり、俺の赴くままに虐待されちまうんだよ。どれだけ咽び泣こうとも、どれだけやめてくれと懇願されたとしても決して手を緩ませたりしねェ。あの貴族(クソ)どもに売られていた方がマシだったと思うような残酷な仕打ちをしてやる。覚悟しな」

 「…………」

 

 ミカサは感情の見えない目と顔で俺の顔を見る。

 一見なんにも感じていないような態度だが……俺には筒抜けだぜェ?その濁り切った瞳がさらに深い闇へと堕とされたことがな。

 

 「………寒い」

 「あ?寒いだァ?」

 

 山小屋から出たかと思えば、真っ先にクレームを叩きつけてきやがった。

 これから虐待されると知ってなお俺に楯突く勇気と度胸は褒めてやろうではないか。

 

 「ならこれでも巻いとけ!」

 

 そう言うや否や、首元に巻いていたマフラーを外し、ミカサの首に乱雑に巻きつけてやった。

 強制的に口を慎みざるを得なくなった気分はどうよ?えぇ?

 

 「あったけェだろ?」

 「………あったかい」

 

 そう呟いたミカサの顔を巻き付けたマフラーのせいであまりよく見れなかった。

 それがほんのちょっとした心残りとなってしまい、なんとも言えない悶々とした気持ちを抱いてしまうのは別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、そんなこと家に着いちまったら全部忘れたんだけどなァ……!!

 

 「ククッ、覚悟はできてんだろうな?」

 「……好きにして。もうなんだっていい」

 

 フハハハッ!!今際の際まで無関心の態度を貫くか!!だが、そんなことをしていられるのも精々今のうちだぜ。

 なんせこれからお前が受ける仕打ちは、おおよそ普通の人間では考えもつかないような悍ましいものばかりなんだからな!

 

 あぁ、待ち遠しいよ。お前の端正なお顔が歪み、無様に命乞いをするその瞬間がな……!!

 

 「早速だが、これからお前に虐待をする。内容を告げるから耳の穴かっぽじってよ〜〜く聞くんだなァ!!」

 

 聞いて慄け!!そして咽び泣け!!最高で最悪のショーの幕開けだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お前にはこれから風呂に入ってもらうッ!!」

 

 「─────え?」

 

 

 

 さぁ、始めよう。俺の趣味───虐待のお時間だぜッ!!!

 




元から残酷な世界なのにこんな悪党を生やしてしまった罪深き私をどうか許してほしい……
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