ドラゴンボール異伝 ヤムチャvs人造人間   作:村瀬裕二

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プロローグ

――エイジ780。

一台のエアカーが、西の都に向かって海岸沿いの道路を進んでいた。

エアカーに乗っているのは端正な顔立ちの男女……だが、彼らの正体は人間ではない。

かつて世界征服を目論み、世界最悪の軍隊と呼ばれたレッドリボン軍――その残党であるドクター・ゲロによって作られた人造人間17号と18号。

14年前のエイジ766に地球に現れて以来、人々を害し、都市を破壊し続ける恐怖と絶望の象徴であった。

人造人間たちの攻撃により、地球の人口は14年前の半分程にまで減らされていた。

今も、人造人間たちはかつては地球上でも指折りの大都市であった――彼らの攻撃を幾度か受けてもなお、多くの人々が暮らす西の都を襲うためにエアカーを走らせているのだ。

 

 

突如、人造人間たちが乗っていたエアカーが爆発した。

何者かが放った気功波による攻撃。

その攻撃によって人造人間たちがダメージを負うことはなかったが、奇襲を受けたことと、お気に入りの服が汚れたことに彼らはイラついた。

 

人造人間たちの前に、男が降り立つ。

「お前は……」

「驚いたな、なぜお前が生きている? 武天老師と一緒に確かに始末したはずだが、どうやって生き残ったんだ?」

男の姿に、人造人間たちは僅かに驚く。

「そうか……! あの時、ベジータの息子と名乗ったガキを助けに入ったのはお前だな? あいつはどうしたんだ? 一緒に来たんじゃないのか?」

 

17号の質問に対して、男は初めて口を開いた。

「……オレ一人だ」

人造人間たちを見据えたまま、男は続けた。

 

「オレが、人造人間17号――お前を殺す」

 

一瞬の静寂の後、人造人間たちが哄笑する。

「お前が? 孫悟空でもベジータでもないお前が、オレを、殺す?」

「仲間やジジイを見捨ててコソコソ逃げ回ってたやつに、何が出来るのさ」

男の言葉を、人造人間たちが嘲笑う。

 

――笑うがいい。

男は思った。

初めて超サイヤ人を見たあの日のことを。

圧倒的な力の差に打ちのめされ、心を折られた日のことを。

あの日、男は逃げた。

戦いから、最強になるという夢から。

だから、男は生き残った。

仲間たちが人造人間たちに倒された日も、一人戦いから逃げた彼だけがおめおめと生き延びた。

だから今、男はここにいる。

 

――笑えばいい。

男は、思った。

友を。恩師を。……かけがえのない人々を。

今、男の前にはあの日彼の心を折った超サイヤ人よりもはるかに強大な敵がいる。

だが、男の中に恐れはなかった。

男の胸に、魂に、炎が宿っていた。

燃える炎が巻き起こす風が、男の怯懦をかき消していた。

 

 

――これは、孫悟空が心臓病に倒れた後の世界……。

絶望に覆われ、未来が閉ざされた世界で、人造人間に挑んだ男の物語。

 

『ドラゴンボール異伝 ヤムチャvs人造人間』

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