【リメイク版】ズッ友宣言してきた子の距離感がおかしい   作:猫好きの餅

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 お待ちどうさまです。糖分です。


友達と別れのぎゅー

 

 

 

 

 

 

 

 もに。

 

「……ん……ん?」

 

 手に伝わったあるモノの感触に、俺は目を覚ました。…あれ、俺……。

 

 寝ぼけてて、あんまり思考が回らない。とりあえず、この手のひらから少しはみ出すくらいの大きさの球体を手で触る。なんだこれ、めちゃ柔らかい。

 

「……ぁ…」

 

 それに、なんかめちゃくちゃいい匂いする。抱き枕ってこんなにいい匂いしたっけ?

 

 俺は手で球体の柔らかさを堪能しながらうっすらと目を開けた。映るのは白いなにかの物体。……ん?なんだろ?……つか、俺ん家にこんな抱き枕あったっけ…?……あ、そうだ今シトラリさんちにいるんだった。じゃあ仕方ないか…(思考力低下)。

 

「……んー……ん"…ん、…んぁっ…」

 

 だとしたら、なんだこれ。………ん、あ、ふたつあるこれ。

 

 やばい、なんかこの抱き枕抱いてるとめちゃくちゃ眠くなる。そして手で触ってるこれがめちゃくちゃ気持ちいい。ずっと触れそう。…しかもこの最高な物がふたつもあるっていうね。それにこれ、完全な球体って訳じゃないみたいんだよ。触ってると、なんかひとつの部分がだんだんとなんか……。

 

 なんすかこれ。

 

「………んぅっ……。……っあ、……だめぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………んん?………ん?

 

 えっと、情報を整理しましょう。

 

 さすがーに、眠気がちょっと覚めてきた。

 

 とは言えど、なんか手は勝手に動く。ま、いっか(良くない)。

 

 え、えっと?……朝起きたらなんか、めちゃくちゃ柔らかい物体ⅹ2と、それを揉む度にめちゃくちゃ可愛い声が腕の中の白いのから聞こえてきて。そしてそれに心当たりが大いにある。というかなんで忘れてたの俺?昨日一緒に寝てたじゃん。

 

「……ん、…ん…」

 

 っていつまで触ってるんだ俺っ!?

 

 今までずっと触ってた物に完全に当てが着いた俺は手を離す。そこで、俺は自分の手が布の中に入り込み、直接触っていたことがわかった。現実逃避しすぎて「え、ノーブラだったのん?」と思考を彼方まで飛ばされた俺は、ゆっくりと身体を起こす。

 

「……………っ」

 

 幸い、彼女はまだ寝ていたみたいだ。シトラリさんのパジャマに身を包んだ俺のズッ友、ムアラニがすやすやと眠っている。その頬が少し赤いのは紛れもなく俺のせいなので、俺は無言で頭を抱えて天を仰いだ。

 

 頭を抱えながらムアラニの寝顔をちらっと見ると、眠ってるのに艶やかなその唇にどうしても目がいってしまう。「偶然」という事にしたが、昨日俺が重ねていたのはあの唇なんだ。否応にもそう自覚をさせられた俺は再び天を仰ぐ。

 

 ………ともだち、…なんだよな。俺たちって。

 

 ズッ友と彼女にそう言われて結構時間が経つけれど、今の彼女の距離感は………友達って事で合ってるのかな?

 

 俺は違うと思います(鼻血)。

 

 まず、友達は同じ寝床で寝ないでしょ。再会のハグとか言って膝上に乗って1時間も抱きつかないし、キスするのだって……。

 

「はぁ、かわいい」

「……っ」

 

 そういや寝顔見るのって初めてかな?前に闘技場で泊まった時はムアラニが先起きてたし。

 

 顔が若干赤いのはとりあえず置いといて…、普段元気な印象のムアラニが目を閉じていると、可愛いってよりも綺麗って印象に変わる。

 

 寝てる間に被っちゃったらしいシトラリさんのパジャマのフードが似合ってて可愛い。やばい。なんだかんだこんなにじっくりムアラニを見る機会なんてなかったから、新しい発見があって新鮮な気持ちになる。昨日とか見つめあったりしてたけど、照れくさくて半分くらいおでこ見てたし。

 

 ……って、危ない。気づかないうちに見すぎて覗き込むようにして寝顔を見てたことに気がついて慌ててベッドから降りた。犯罪者一歩手前だわ。

 

「………おはよ。…ムアラニ」

 

 俺はまだ気持ちよさそうにすやすや眠るムアラニに一言そう呟くと、熱くなった顔を覚ましに外へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………。

 

 ウルが外に出た音がするや否や、あたしはむくりと身体を起き上がらせた。ばくばくとうるさい心臓を手で抑えて、熱が出てるんじゃないかと思うくらいに熱いほっぺを触ると、その表紙に被ってたフードがぱさりと落ちた。

 

「……はぁ………はぁ…ぅ、…お、起きてるの…バレてなかったよね…?」

 

 あたしは熱々のほっぺに引き継ぎ、シトラリおばあ様から借りた服の中に手を入れる。そして、そのすぐしたの肌……さっきまでウルに触られてた所を指先で撫でた。

 

「…んっ………、……っ、……」

 

 普通の女の子なら、寝てる間に身体をまさぐられたことに嫌悪感を抱くと思う。……でも、今のあたしは全く別のことを考えてた。

 

 だ、だって。……あ、あたしから触らせたんだし……。

 

 あたしは自分でやったことなのに、信じられずにベッドに顔を押し付けて唸り出す。

 

「……う、ううううううう」

 

 あ、あたし何しちゃってんのっ!?

 

 た、確かに目が覚めた時に、ウルの手があたしの胸に近い場所にあったのは事実だけど……。ちょっとした好奇心で触らせちゃってからどんどんエスカレートしちゃった。

 

「………ぁぁ……あ、あたし変態だよぉ…」

 

 なんかあたしでも気づかないうちに…、ちょ、直接触らせちゃってるし…、下に何も着てないのバレたよね……?

 

 ち、ちがうの!何も着てなかったのはただ全部洗濯に出しちゃったからなのっ!…べ、別にそれ以外の理由なんて……。

 

 自分にそう言い聞かせるようにベッドの上を転がりながらそう考えて、ピタリとやめてむくりと起き上がる。

 

「………お、おもってたよね。………ほんとは…あのまま…だなんて」 

 

 昨日のあたしは久しぶりにウルと会えた嬉しさでもうおかしくなっちゃってた。抱きつくだけじゃ止まらなくていっぱい変なこと言っちゃったししちゃったし……。だいたいっ、偶然に唇が当たっただけってなにっ!?それもうキスじゃん!当たっちゃってるならキスでしょぉ!?

 

 しかも当たっちゃっただけとか言いながら何十秒もキスしたしっ!あたしウルに覆いかぶさって抱きつきながらしちゃったしっ!

 

 そ、そしてトドメに今のおっぱいっ!(直球)

 

 絶対変な子だって思われた…。友達なのに急に押しかけてきて抱きついてキスした変態女の子って思われたよぉ…!

 

 あ、あたしっ、ウルにどんな顔して会えばいいの……?

 

 あたしはそのまま、また転がり始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁー……」

 

 朝っぱらから刺激が強ぇ。

 

 火照った顔を川で冷やした俺はタオルを首にかけてふぅと息を吐く。なんとなしに自分の服の匂いを嗅ぐとムアラニの香りが漂ってきて、俺はもう一度顔を洗う羽目になった。

 

 というか、そりゃあんだけくっついてたら匂い移るよな。

 

 俺の体から彼女の匂いがする。それが少しいいなと思ってしまった自分にげんなりしていると、そこに幻目さんがやってきた。

 

「おはよう、ウルくん」

「おはようございます。幻目さん」

「昨夜は眠れたかい?」

「それ、…どういう意味で聞いてんスか?」

 

 それはもう、ね?ニヤニヤしている幻目さんを軽く睨みながら、一応お礼は言っておく。一応ね?

 

「後で何があったから聞いてもいいかな?もちろん君が話してもいい範囲でね」

「話すのもアレなんで、……見てもいいですよ?」

 

 俺がそう言うと、幻目さんは「失礼するね」と眼鏡を外した。この前知ったんだけど、幻目さんは稲妻の心が読めると会う覚妖怪って種族なんだそうだ。だからシトラリさんと見つめ合う時眼鏡ずらしてたのね。

 

 つまり、今俺の考えは全部伝わってるいということだ。

 

 俺はそのまま、頭の中て昨日起きたことを思い出し続ける。間違っても今朝のことは考えずに、昨日起きたことの概要だけを思い浮かべる。

 

「…へぇ、さっきなにかいい事があったんだね?」

 

 そうだ、それも読まれてんだわ。大雑把に2人で天幕に入ったところ辺りまで想像した俺は、ちょっも思うところがあってムアラニのことをことを考えるのをやめた。

 

「……すみません、やっぱり口頭でもいいですか?」

「…なんでだい?」

「……その、……幻目さんといえど、……昨日のムアラニを…み、見せたくないと……言いますか…」

 

 俺の心を読むってことは、昨日のムアラニがそのまま見られるわけで。……それはちょっと嫌だなと思ってしまった。

 

 でも、幻目さんにムアラニのことを教える代わりに氷元素の使い方を教わってる身としては自分勝手かと思ったけど、幻目さんはくすりと微笑んで俺の肩を叩く。

 

「……ウルくんは、いい男の子だよ」

「……もしかして、それを言わせるために…?」

「さぁ?…どうだろうね?」

 

 幻目さんは、俺にご馳走様と言うとささっと戻っていってしまった。なんか俺だけ照れて損した気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、パジャマありがとうございました」

「……んー、……だいじょーぶよ…?」

 

 ウルが天幕を出て少し。洗濯したいつもの服に着替えたあたしは、まだお眠なおばあ様に声をかけた。

 

 頭まで布団を被って寝てるおばあさまがふにゃふにゃな声で返してくる。午前中に仕事ごあるからもう帰ることを伝えると、見送ろうとおばあさまが布団から起き上がった。頭まで被ってた掛け布団がぱさりと落ちて……ってええええ!?

 

「ええっ!?……お、おばあさまっ!…ふ、服は…っ?」

「……んぅ…?…………なによぉ。……そんなの…昨日…………」

 

 あ、あたしは起き上がったおばあ様を見て思わず叫んだ。……だ、だって。

 

 おばあさま、真っ裸だったんだもん。

 

 何百年も長生きしてるとは思えない綺麗な身体。それを隠そうともしないで欠伸をかましたおばあさまは、口をパクパクさせてるあたしを見てこてんと可愛く首を傾げた。

 

「…な、なんで裸なんですか…?」

「……それは……その、アレよ……」

「あれって…?……そ、それに昨日幻目さんもこっちで寝たんですよね…?」

 

 あたしの震えた声に、おばあ様は顔を赤くしてそっぽを向いた。横を向いたことで、綺麗な首筋が見えて……な、何ヶ所か赤くなってるところも見える。……え、あ、あれって…!

 

 あたしももうパニック。思わず思ったことがそのまま口に出ちゃう。

 

「…そ、それって…幻目さんに吸われたんですか?」

「は、ハッキリ聞くじゃない……。……うん」

「おわぁ」

 

 指先でその部分を撫で、赤い顔で頷いたおばあさまに変な声が出るあたし。

 

 こんな格好だから見送りはできないわね。ゴメンなさいと言ってくるおばあ様に、歳の経験の差を見せつけられたあたしは、そのまま回れ右をして家から出るのでした。

 

 

 

 あ、あたしも……ウルと付き合ったらあんな感じになるの……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、……おはよう、ムアラニ」

「えっ、あっ、うんっ…おはよ…」

 

 う、ウルっ!

 

 家から出ると、川で顔を洗ってたっぽいウルが歩いてきた。さっきの出来事で頭から飛んじゃってたけど、あたしウルとどんな顔で話せばいいの…?

 

 で、でもさっきよりは緊張してない。普通に話せる。

 

「…ムアラニは今日はどうするんだ?」

「…それなんだけど、午前中のうちに流泉の衆に戻らなきゃいけなくて」

「あ、そうなんだ。……その、また……来てくれるんだよな……?」

「う、うん」

 

 なんなの?ウルはあたしをどうするつもりなのっ?

 

 ちょっとそっぽを向いて、チラチラこっち見ながら聞いてくるウルが可愛すぎる。……だ、抱きつきたい……っ、ダメダメ、あたしたち友達なんだもん、ちゃんと適切な距離感でいないと……。

 

 あたしはときめいてバクバクうるさい心臓を無理やり抑えつけてウルに微笑む。

 

「うん、まだここで修行してるんだよね?…時間が出来たらまた来るよ。ウルが強くなるの、あたしも楽しみっ」

「ああ、期待に添えるように頑張るよ」

 

 よし、いいよあたしっ!ちゃんと友達の会話ができてるっ!

 

 こ、このまま……友達の距離感のままお別れを………!

 

「……じゃ、またくるねっ」

 

 あたしはウルに手を小さく降って彼の横を通り過ぎる。これでいいもん。これがちゃんとした友達のまたねだよね?

 

 よし、よしっ。ちゃんと友達できた。あたしはそのまま行こうとした。

 

 

 次の瞬間。

 

 

 ウルに手をつまかれた。

 

「……え」

 

 あたしが振り向くと、向こうもほとんど無意識だったみたい。自分で自分の手を見て驚いてる。

 

「…う、ウル?」

「…あ、…えっと……その……さ」

 な、ななななんなの?ウルもなんか言いにくそうにもごもごしてる。そんなウルを見て、あたしの方もほっぺが熱くなってきちゃった。

 

「…なに?」

「………と、友達ってさ」

「…う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────別れのハグくらい、…するよな…?」

「…っ」

 

 ……ぅ、……。

 

 ウルか顔を赤くして言った言葉が、あたしの耳に届いた次の瞬間。もう、我慢が効かなくなりそうだった。

 

「………ぅー」

「ムアラニ?」

「…うー…」

 

 もう、もう……なんでそんな事言うの……?

 

 そんな、あたしが1番欲しいタイミングで……そんなこと言われたらあたし…。

 

 あたしの中からどんどんウルへの気持ちが湧いて出てきて、それでもなけなしの理性で何とかブレーキを効かせる。それでも嬉しさと愛おしさでどんどんあたしの中のなにかが壊れていった。

 

「…な、なんで唸られているのでしょうか…?」 

「……うー……、……ずるいよ。……ほんと、ずるいよぅ……!」

「へ?」

「……ウルぅ!」

 

 あぁ、もうダメ。もう我慢できない。むり。

 

 あたしは力いっぱいウルの胸に飛び込んだ。

 

「…わっ?」

「……ぅん……ん…」

 

 あたしはまるで再会の時みたいにウルに飛びついて、もう一緒になっちゃうんじゃないかってくらいくっつく。腕もウルの脇の下から通してすっぽり収まるように抱きついて、さっき着替えて匂いが取れちゃった分、ウルの匂いをあたしに擦り付ける。

 

 ……好き。ほんとうに好き。

 

 ウルに抱きつきながら、あたしは首筋に顔を埋めて彼の匂いを堪能する。昨日みたいにギューって感じじゃなくて、すりすり擦り付けて、あたしの匂いもウルにつけるもんっ。

 

 ウルも最初は驚いてたけど、すぐにあたしを抱きしめ返してくれる。それが嬉しくて、ウルもあたしとぎゅーしたいって思っててくれた事がほんとうにほんとうに嬉しくて、そのまま夢中で抱きつき続けた。

 

 でも、このままずっとぎゅーしてる訳にもいかない。名残惜しいけど、本当に名残惜しいけどそっと身体を離したあたしは、じっとウルの顔を見上げる。

 

 せめてこの目線だけでも「好き」って気持ちが伝わるように、あたしはウルを見つめ続ける。

 

「……じゃ、またくるね?」

「…ああ」

 

 身体は離しても、手だけはまだ繋いでる。しれっと絡ませた指をにぎにぎしてるとウルも握り返してくれて、あたしももう……ってだめだめ。このままだとまた離れられなくなるよっ!

 

 あたしは内心で血涙を流しながら手も離す。もうこれ以上ここにいるとおかしくなっちゃいそう!

 

 あたしは取り出したサメボードに飛び乗って滑り出した。

 

「…ウルーっ!またねっ!」

「ああっ!……またなっ!」

 

 あたしはウルが見えなくなるまで手を振る。おばあ様の家がある谷を出た瞬間、あたしはずっと溜まってはち切れそうだった気持ちを必死に抑えながらサメくんを加速させる。

 

 はぁ、はぁ……ま、まだここだと聞こえちゃう…。もっと離れないと…!

 

 「…………すきぃ」

 

 だめ、抑えきれない。あたしはサメくんに乗りながら両手を胸に当てて、溢れた想いを口に出す。

 

 今のあたしを傍から見たら、めちゃくちゃ変に見えるんだろうなぁ。胸の奥も頭の中もぽーっと熱を持ってるせいで、あんまり頭が回らないけど、とりあえずウルだいすき。

 

 

 

「………うぅ、やばいっ……今日のガイド大丈夫かなぁ…。……だ、ダメだったときは……ま、また会いに行ってまた抱きつけばいいし……ふへへ…」

 

 何が大丈夫かもよくわかんないけど、とりあえずあそこに行けばウルに会えるし、会えたらぎゅーできもんね、えへへっ。

 

 

 

 

 

 こうして、あたしはウルへの恋をさらにもっと深めるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 次のお話には、私の作品「職場の先輩がウチの飼い猫に似ている件」のキャラクターが大勢出てきます。

 こ、この作品読んでるってことは多分みんな、あっちも読んでるから大丈夫だよね……?
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