主人公である鈴君はゲーム時代のプレイヤー特典として、空中にゲーム時代のメニューを表示して直接指示が出せます。
……なるほど?
外交タブメニューにグラ・バルカス第八帝国が追加された。派遣した第3艦隊は問題なく停泊しているあたり、平和的に接触できたらしい。よかった。
いやぁ、このシステムメニューって便利だよね。本来通信衛星がないから星のほぼ裏側の第3艦隊のことはわからないんだけど、僕の出せるシステムメニューから確認できるんだから。
……まあ、確認できるだけで直接話したりとかはできないけど。ただ指示を出せるだけだ。
それじゃあとりあえず、第3艦隊にピンを付けておいて、何かアクションがあったら通知が来るようにしておいて。日本との交易はまだ始まってないし、あとは……ん?
第5艦隊の偵察機が、パーパルディア皇国からロウリア王国へ向けての大船団を発見、追尾中……アイコンから見て木造船だけの集団、隻数は不明だけどかなり大規模だということが見て取れる。
いよいよか……現実世界での戦争は初めてだから、ちゃんと指示ができるのか、ゲーム時代と違いがあるのかが不明なのでちょっと不安である。まあ、今のところ問題なく指示が行き渡っているし、指示ができなくても大丈夫なようにはしてあるけどさ。
「失礼するわ」
「ん? 何かあった?」
今入ってきたのはレミ。僕の専属秘書で、僕の好みを反映した美少女である。
スレンダーな体型にちょっと青みがかったロングストレートの髪、年齢は設定してないけど見た目はとても若い。JKかってくらいに。……もうちょっと胸とか大きくしてあげたほうが良かったかなとは思ってるけど。
「報告書がまとまって出てきたから。読み上げる?」
「ん、お願い」
「まずヤマト計画については、難航しているみたいね。主に主機が」
あー、まあ魔法の力を応用してとはいっても、流石に波動エンジンは無理があると思うからね。まあ仕方がない。
「次に、日本国について。あなたから日本へも視察に行きたいという要望があったけれど、しばらくは無理だと思うわ。
日本側も転移直後でゴタゴタしているし、私達としても治安状況が悪化している上に警備体制が不明な国家への移動は許可できません」
あー、まあそうだよねー。
日本がいくら平和な国だと入っても、こういう有事の際には治安は多少なりとも悪化するし。
それに、平和ボケしてるから警備もちょっとヌルいし。まあ、これは落ち着くまで待つ他ないかな。
「それから、第5艦隊の偵察機がパーパルディア皇国……を名乗る武装集団からロウリア王国へ向かう大船団を発見しているわ。おそらく、対クワトイネ皇国戦のための援軍ね」
「うん、じゃあロウリア王国との戦争が始まると同時にパーパルディアも叩きのめす口実ができたね」
武装集団と言っているのは、旭日帝国はまだ正式にパーパルディア皇国と接触していないからである。
ぶっちゃけこのまま武装集団という位置づけにしておいて、戦争が始まったら敵に与するテロリスト集団という形で排除するほうが面倒が少なくて効率が良いのでこのままにしておくつもりである。
国として認知されずテロ組織として軽く捻り潰してしまった、という実績があれば旭日帝国は辺境の蛮族として見下されることは少なくなる……といいなぁ。
「あなたの予言では、戦争開始は4月上旬だったわよね? それに向けて皆準備してるけど」
「うん、あってるよ。交渉で戦争が回避されたら、何もせず帰還するようにとも通達してるよね?」
「もちろん、戦争なんてしないほうがいいもの」
うん、原作準拠ならそのあたりに宣戦布告もなしに攻撃が開始されるはず。
とはいってもうちが介入したので前後したり、あるいは戦争にならなかったりするかもしれない。そのへん気をつけておかないと。
「あと、ロケットの打ち上げは順調よ。今日発射されたロケットで、一応パーパルディア皇国まではGPSが使えるようになったから、これで誘導兵器の使用が可能になったわ。もっとも、偵察衛星がまだだから目標を決めるには航空偵察が必要にはなるけれど」
あー、そういえば1ヶ月に2基のペースで打ち上げているロケット、これはもう通知切ってたなぁ。
誘導兵器が使えるようになるのは嬉しいところだ。一応主力艦の艦砲射撃や航空攻撃だけでもなんとかなるとは思うけど、選択肢が広がるのは嬉しい。
「報告は以上よ。何か気になることはあった?」
「ん、大丈夫。特に問題はなさそうだね」
「そうね……あ、そうそう。パーパルディアを名乗る武装勢力への攻撃計画書もあったわ。これね」
「ふむふむ……ふむ? あ、ダメだこれ」
「え?」
いや、何この計画書。N2弾頭ICBM打ち込んでからの徹底的な艦砲射撃と航空爆撃、さらにSLBMもありったけ撃ち込む? 地形もろとも消滅させる気か?
「ちょっとやりすぎだね、これ。後で……明日あたり国防省に行くよ」
「わかった、伝えておくわね」
というわけで翌日、国防大臣やら海軍・陸軍(空軍はない)の偉い人やらが集まり、作戦会議をしていた。
「まず、N2弾頭搭載のICBMは田舎に1発だけ。コア魔法と同等の兵器を持っているということを誇示できればそれでいい」
「はっ。となると、残りの軍事拠点や大都市、工業地帯などはほとんどが内陸になり、第1・第4・第5・第8艦隊の艦載機での空爆となりますが……そこまでの爆弾があるかどうか」
「GPSが使えるし、とりあえず陸地に当たれば多少ズレてもいいからGPS誘導でSSMを撃ち込めばいい」
「なるほど」
うん、とりあえず陸上の攻撃はこれでよし。
それで次は海戦のほうだけど……なんか多くない?
「海の方ですね、輸送船団は木造戦列艦とはいえ2万隻を超える大艦隊です。この規模ともなると、儀式魔法を行使してくる可能性も否定できません。
接近することは危険と判断し、第6艦隊の艦砲射撃およびミサイル攻撃にて片付ける予定ですが……数が数ですので、途中で砲身が焼き付く可能性も否定できません」
あ、たしかに。原作でも4000隻だったっけ? その数を相手にしようと思うと、弾薬不足や砲身寿命も考えないといけないか。まあ、原作では護衛艦4隻でなんとかなっているので、大丈夫だとは思うけどね。
「その場合は艦載機による航空攻撃を実施します。その後第6艦隊は補給艦を第7艦隊と入れ替え、ロウリア王国への艦砲射撃及び航空攻撃に従事してもらいます」
「ん、わかった。それでいこうか」
「はっ」
なお、話に出てきた第7艦隊は周辺海域の哨戒を行ってもらうことになっている。
旭日帝国周辺ならレーダー網と海防艦による警戒で大丈夫なんだけど、クワトイネ公国とクイラ王国周辺海域はそうもいかないからね。
ロウリアとパーパルディアの運命は決定。次回より思いっきり叩き潰されます。