もし、過去に戻れたのなら   作:ツキ0912

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3話 変化する歴史

それからしばらく時間が経ち、私は2年生になった。

体も大きく成長し、よわシロコぐらいにはなった。

元の世界通りにアヤネとセリカも入学してきた。

来る日に備えて私は特訓をして、強くなってはいるが...未だにホシノ先輩には届かない。

改めてホシノ先輩の強さを実感する。

とりあえず、今日もホシノ先輩を超えることを目標に私は家を出る。

家を出て、愛車に跨って学校を目指す。

見慣れてはあるが懐かしさを覚える景色を眺めながら私は軽快に学校へ向かうが...その際、地面に倒れてる人影があった。

 

「あれ、誰だろう...

.....あっ」

 

少し考えて気付いた。

 

「せん...せい...」

 

そう...この人は先生だ。

そうだった...こうやってアビドスで遭難しかけてた先生を私が助ける...これが私と先生の出会いだった。

心拍数が上がるのを感じる。

胸が痛い

どの世界の先生も大切だが...この世界...私が最初にいた世界の先生だけはより特別だ。

どの先生も同じ決断をするだろうとはいえ...この世界の先生は実際に私のためにすべてを捧げてくれたのだ。

そんな相手が特別じゃないわけがない。

一瞬で頭が真っ白になり、言葉が出ない。

何を言えばいいのだろうか...

言いたいことは色々あるがきっとこれは言ってはダメなんだろう。

 

"み..."

「えっ...?」

"水を..."

 

ああ...そうだった。

最初の会話はこんな感じだったなと思い出す。

っと危ない...感傷に浸るのも悪くないがそのままでは先生が死んでしまう。

 

「私の飲み掛けでいいなら」

"ありがとう!"

 

お礼を言うと猛烈な勢いで残りの飲み物を飲み干した。

間接キスも気にせずに。

 

"ごめん...助かったよ...

見ての通り、遭難しかけてて"

「いや、仕掛けてたじゃなくてもうしてたよ」

"...はい"

 

見栄を張りたかったのだろうか...私は一蹴してしまったが。

 

"さて、挨拶しないとね...私はシャーレから来た先生だ

今回、依頼があったアビドス高校を目指してここまで来たんだけど...君、アビドス高校がどこか知ってる?"

「アビドス高校なら知ってる...着いてきて」

"本当に!?

助かった...このまま行ったらまた遭難しそうだったから一度引き返そうかなって思ってたんだけど助かったよ...えっと"

「私は砂狼シロコ...先生が向かうアビドス高校の2年生だよ」

"君がアビドス高校の生徒だったのか...とりあえず、よろしく...シロコ"

「ん、よろしく」

 

初対面での挨拶は終わったが...私はどんな顔をしていたのだろうか。

おかしな表情はしていなかったのだろうか...色々心配だが...無事に乗り越えられた。

何はともあれ、先生がやってきた。

ここからは自体が大きく動きそうだ。

 

「それじゃ...行こうか」

"道案内、よろしくね"

「うん...あっアビドスに来るにあたって何個か注意点

悪い生徒なんていないけど...1年のセリカが先生に突っかかるかも...

でも悪気があるわけじゃなくて...アビドスを守るために必死なだけだから...

それと3年のホシノ先輩...

先生ってよりも...大人をあの人は根本的に信じてないから警戒されるかも

でも、先生のことは少し時間かかるけどちゃんとした人だってわかってくれるはずだから」

"ありがとう...注意して接してみるよ

そういうシロコは私の間違いじゃなきゃだいぶ信頼してくれるように思えるんだけど"

「ん...どうだろうね」

 

答えをはぐらかすが...実際先生のことは信頼している。

だが、それは私だけの一方通行な思いだ。

先生にも...ほかの生徒より信頼してくれるような関係を築けたらなと思い、アビドスに向かう。

 

「着いたよ、ここがアビドス」

"おお...これは..."

「無理に感想を言わないでいいよ...ギリギリで廃校を免れてるようなものだからね」

「...あっおはようございます、シロコ先輩」

 

先生と共にアビドスに到着するとアヤネと出会った。

 

「おはよう、アヤネ」

"やあ、おはよう...君がアヤネ...じゃあメールをくれたのは君だね"

「メールって...シロコ先輩この人は!?」

「そう、シャーレから来た先生」

「ほ、本当に来てくれたんですね!?

よかった...今からみんなを呼びますね

ですからシロコ先輩、先生を教室への案内、お願いしますね!」

 

私が先生を教室に案内してしばらくすると...全員集まった。

ノノミは楽しそうに、アヤネも嬉しそうにしながら会議の準備をしていた。

セリカは見てわかるほど不機嫌だった。

ホシノ先輩の表情からは読み取れないが経験からきっとダメそうな大人が来たと思ってるんだろう。

 

「それではこれより、本日の廃校対策会議を開始します」

 

アヤネの進行によって先生の自己紹介を交えた対策会議が始まった。

やはり前の世界同様、ノノミとアヤネとは問題はなさそうだ。

私に関しては言う必要はない。

それとやはり、ホシノ先輩とセリカが問題なのを再確認した。

少しだけピリピリした会議を進めていると外から爆発音がなった。

 

「な、なによ今の!?」

「外からですね...あれは...ヘルメット団!?」

 

外を見ればヘルメット団がアビドス高校の前に集結していた。

 

「こんな時にあいつら...物資だって今は底をつきかけてるのに...!」

「泣き言言ってられません...皆さん、戦闘準備をお願いします!

先生は危険なので隠れててください!」

 

それぞれがバタバタと戦闘準備をする中、私は先生に声を掛ける。

 

「先生、さっきアヤネはああ言ってたけど...動ける準備しといて?」

"えっ..."

「アビドスはみんな強いし...あいつらなんか敵じゃないけど...見ての通りみんな焦りがある

きっと、戦闘も上手くいかない

だから先生の指示が絶対に必要になる

そのために準備しといて」

 

私の指示に若干驚きつつも先生は頷いた。

 

"それは構わないけど...シロコは私の指示で動けるの?"

 

まだ出会ったばかりで信頼されていないのは先生には自覚もあったのだろう。

そんな中で私の指示に先生も驚くのは無理はない。

 

「ん...大丈夫...先生の指示ならどんなのでも信じて実行する

だから、その時が来たらお願い」

"わかった...じゃあ、またあとで"

 

話も終わり、私も準備をして戦闘を開始する。

予想通り...いや前回と同じくやはり焦りから上手く連携が取れない。

相手だってそんなに強くないという事実がさらに私達の焦りを引き起こしていたと今の自分ならよくわかった。

そして着々と私達は追い詰められていく。

 

"みんな、これから指示をだすからその通りに動いて欲しい"

 

インカムから先生の声が聞こえてきた。

 

「はあ!?

先生は部外者なんだし、黙って隠れてなさい...余計なおs」

「わかった、なにをすればいい」

「ちょっ...シロコ先輩!?」

 

セリカの反発する言葉を遮るようにして指示を仰ぐ。

 

"まず、ノノミが銃を地面に向けて撃って煙幕を...その隙に...!"

 

先生の指示を受け、とりあえずその様に動くという方針になった。

 

「みんなお疲れさまー...あの状況でよく頑張ったねー」

 

先生の指示もあり、あっという間に戦闘は終わった。

ノノミとアヤネは先生の指示でスムーズに動けたこともあり、かなり興奮していた。

 

「納得できない!」

 

だが、セリカは荒れていた。

 

「セリカ...?」

「今回の戦闘...確かに先生の指示で勝てたのは事実だけど...これでいいの!?

こんなぽっと出の大人にいいように指示されて...こんなのでアビドスを守れるの!?」

「......セリカ」

「な、なによ...シロコ先輩...」

 

さっきまで勢いよく喋っていたセリカが急に大人しくなった。

 

「はーい、2人ともストップだよー

シロコちゃんもそんなに怖い顔しないで」

 

ホシノ先輩が間に入って仲裁する。

怖い顔...私は今どんな顔をセリカに向けていたのだろうか...

 

「ごめん...セリカ...」

「べ、別にいいけど...でもやっぱり、私は認められない!」

「はいはい、今日はここまでにしようか

話の続きは...また明日にでもやろうか

とりあえずみんな、今日は帰ろう

先生も帰りなよ、私達も解散するからさ

とりあえず、今日はありがとう」

 

ホシノ先輩の指示で私達は解散し、帰宅することになった。

先生は申しわけなさそうな顔をしていた。

 

「シロコちゃんはちょっとおじさんに付き合ってよ」

「わかった...」

 

ホシノ先輩に促されて一緒に帰ることになった。

 

「いやー...中々に強烈な1日だったねー」

「そうだね...」

「先生か...シロコちゃん、どう思う?」

「私は...信頼できる人だと思う」

「そっかそっか...シロコちゃんはそう思うか...」

 

歩きながら会話をしているが...どこかぎこちない。

 

「にしても珍しいね...あそこまでセリカちゃんに怒るの」

「...まあ」

「言いたいことはわかるよ...確かにセリカちゃんもせっかく助けてくれた先生に言い過ぎだしね

でも...シロコちゃんがあそこまで怒るとは思わなかったな」

「ん...」

 

いまいち何が言いたいのかわからず、小さな返事しか返せない。

 

「...ほんと...シロコちゃんは先生の事を気に入ったんだね」

「ま、まあ...信頼はできると思うよ」

「信頼...ね...本当にそれだけ?」

 

ホシノ先輩の言葉に足を止める。

その目は私を疑いの眼差しで見ていた。

 

「...ホシノ先輩の言ってる意味が解らない」

「...シロコちゃんはさ...私が大人を信用してないのは知ってるよね」

「うん...」

「わかってると思うけど...私は先生を疑ってる...」

「ん...わかってた」

「そんな信用できない大人相手にさ...シロコちゃんはどうなの?」

「どう...って」

「後輩にも私と同じように疑えなんて言わないけどさ...今日初対面の人に向ける目じゃないよね

なにか...特別な出来事がないと出来ないよ」

 

ホシノ先輩の指摘は適格だ。

だが、私の想いと別方向の答えに繋がってしまっている気がする。

だけど...伝え方がわからない。

 

「で、でも...先生はどうなの...初対面って感じだったはずだよ」

「それはそれでおかしな話になってくるんだけどさ...まあでも、大人は狡猾だし...それくらい出来そうなんだよ」

「...ほ、ホシノ先輩」

「シロコちゃん、君は一体なんなのかな?

何を隠してるの?

最初から先生の元で動いていて、私達を騙してアビドスを乗っ取る気?」

 

それがホシノ先輩の出した答えだった。

今日あった信頼できない大人に全幅の信頼を置く私...今までの経験が無ければ異様な光景に映るだろう。

なら、ホシノ先輩を批難できないし、反論する術もない。

 

「わた...しは...」

 

ホシノ先輩の顔を見るのが辛かった。

救いたいと思っていたはずの存在のホシノ先輩

だが、その人は今...明確に私に敵意を向けていた。

 

「私は...!」

 

違うと叫びたかった。

そうじゃないんだ...先生のことは信頼できる大人だとホシノ先輩と一緒に歩んで知っているんだと。

私は敵じゃない...ただみんなを救いたいだけなんだと...けれど伝えられない...伝わらない。

 

「わたしは...ただ...」

 

皆が大好きで皆を守りたいだけだと...言えなかった。

そんなもどかしさと、最愛の人の1人であるホシノ先輩から向けられる敵意に耐えらずに私はいつの間にか泣いていた。

けれど、そんな私をホシノ先輩は優しく抱きしめてくれた。

 

「...ごめん...私も混乱してるんだよね...わからなくて」

「ホシノ先輩...?」

「先生に全幅の信頼を置いて、私達を騙してアビドスを乗っ取る気だって仮に言われてもいまいち納得できない要素があるんだよね」

「そ、そうなの...?」

「先生に向けてたあの目...シロコちゃんは私達全員にも向けてるんだよね...敵だとしたらこれがわからないんだよ」

 

私はそんな目をみんなに向けていたのか...

 

「今だってそう...シロコちゃんの目に悪いものは見えなくて...ただただ辛そう...悲しそうな目をしてるだけなんだよね

まったく...本当にシロコちゃんは何者で...何を隠してるのかな」

「.......ごめん...ホシノ先輩」

「謝らないでいいよ...私の方こそ...ごめんね」

 

私を離したホシノ先輩にはもう敵意はなく、優しく微笑んでいるだけだった。

 

「お詫びにラーメン奢るからこのままラーメン屋行こうか」

「ん...じゃあ全部乗せラーメンで」

「だから遠慮してって...」

 

ホシノ先輩とラーメンを食べ終えて、私は帰路に就く。

紆余曲折あったが...なんとか解決してよかった。

 

"やあ、シロコ...奇遇だね"

「あっ先生」

 

その帰り道、先生と遭遇した。

 

"ホシノに呼ばれてたけど大丈夫だった...?"

「うん、大丈夫...少しこっち側で誤解があったけどなんとかなった」

"そっか...よかった"

「けどそれと先生への信頼は別...頑張って」

"頑張るよ..."

 

元々私がしゃべらないのと、一応は初対面なので会話はあまり続かない。

それでも先生は口を開いて話をしてくれる。

 

"なんだか歓迎されてなかったね...私...

状態ゆえにしょうがないとは思うけど"

「セリカのこと...あまり怒らないで...

セリカも必死なだけだから」

"朝にも言ってたことだね...わかってる

真面目でいい子だと思うよ"

「ん...よかった...」

"あとホシノは...頑張って信頼を得るよ

それと...シロコ"

「なに...?」

"シロコは...どうしてそんなに私を信じてくれるんだい?"

 

当然の質問を先生はしてくる。

 

「...先生が信頼できる人だってわかってるから」

"けど、今日初めて会ったばかりだよ"

「ん...それでも...わかってる

...直感みたいなものだと思って」

"直感...まあ、どうあれ生徒に信用してもらえて嬉しいよ"

 

先生は若干照れ臭そうにしていた。

 

「それじゃ、私はこっちだから」

 

分かれ道に差し掛かり、先生にそういう。

 

"わかった...今日はありがとう、シロコ"

「ん...気にしないで

これからよろしく...先生

何かあったら頼って」

"ぜひそうさせてもらうね"

 

晴れやかな気持ちで先生とも別れる。

とはいえ、これから自体は急激に動き出す。

焦っても仕方ないがいつでもすぐに対応できるようにしなければならない。

まだホシノ先輩に届かない実力も...上げないと。

やるべきことは色々あるが...全員を救うためにもやらなければならない...

泣き言は...言っていられない。

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