もし、過去に戻れたのなら   作:ツキ0912

6 / 12
6話 激戦

早朝のアビドス。

人は少ないけれどそこは確かに私の青春が詰まった大事な場所。

そんな場所は今、青春には似つかわしい雰囲気で包まれていた。

 

「来たね...シロコちゃん

それに、セリカちゃんにアヤネちゃんも...

シロコちゃんが来るのは分かってたけど、まさか2人も一緒に来るとはね」

「私だって1人で戦って1人でホシノ先輩を止めたかった

けど、私の実力は悔しいけどまだホシノ先輩に届いてない

今は私1人でとか言ってる状況じゃない...だから2人にも手伝ってもらう」

「話は全てシロコ先輩から聞きました...3人の意見は同じです」

「そうよ...こんなこと、絶対に許さないんだから!」

 

アヤネもセリカもホシノ先輩相手に威勢がいい。

頼もしい限りだ。

 

「私は...本当にいい後輩に恵まれたね」

「ん...だったら」

「だからこそ...猶更私1人で全て終わらすんだよ

アビドス生徒会が残したものは残った私が引き継いで、新しいアビドス廃校対策委員会がこの先に残るんだよ

これしか...道はない」

「道ならある...きっと先生がいたら」

「その先生は...今はいないでしょ?」

「......」

 

先生がいたら...どんな風に解決したんだろうか。

もう1つの世界...私が私にならなかった世界では先生は動いていた。

なら、きっと策は浮かんでいてたのだろう...けれど私はそれを知らない...だから、今出来ることをする。

 

「もう...何を言ってもダメみたいだね」

 

これ以上の対話は無意味と判断した。

何を言っても通じない。

ホシノ先輩は強硬策を考え、そしてそれを実行できる力がある。

なら、私達で無理やりにでも止める...そう思っていたが...

 

「...強いね...みんな...後輩の成長がこんなにもすごいと私も嬉しいよ

もう、私1人がアビドスを去ってもなにも問題はなさそうだね」

 

ホシノ先輩はあまりにも強かった。

アビドスのグランドは凄まじい戦闘の蹄を残し、そこに立っていたのはホシノ先輩だけだった。

戦闘にこそ参加しなかったアヤネだが...軍用ヘリ3機同時操作という離れ業を見せた。

セリカもすごかった...特にそのスピードには度肝を抜かれた。

それに私だって...基礎能力はあげて...さらにホシノ先輩にも通じそうな策を何個も考え、実践もした。

けれど、そのすべてを重ねてもホシノ先輩には届かなかった。

ただホシノ先輩を疲れさせるだけだった。

こんなにも...差があったのか。

暴走したホシノ先輩とはやりあえたのに...

いや、あれは色彩の影響もあるだろう。

そんなのは当てにできない...してはいけない。

何はどうあれ、私達ではホシノ先輩に届かなかった。

 

「もうこんな時間だ...みんな強かったし...予定よりだいぶオーバーしてる...急がないと」

 

ホシノ先輩はもう私達を見てもいなかった...

 

「まって...ホシノ先輩...」

 

体を引きずりながら私はホシノ先輩の前に出る。

 

「いっちゃ...ダメ...」

 

ホシノ先輩は何も言わずに歩いてくる。

 

「あの時と同じだよ...ホシノ先輩...」

 

何を言っても。

 

「お願いだよ...ホシノ先輩...

これは間違ってるんだって...」

 

ホシノ先輩は答えず、私を見ない。

 

「私を見て、ホシノ先輩!」

 

その姿を見てホシノ先輩に掴みかかるが...簡単な足払いをかけられて、転ばされた。

 

「そうだね...もしかしたらこれはダメなのかもしれない

けれど、今回は確実にシロコちゃん達は助かる」

「でも...先生がいれば...」

「先生は今はいない

あの人の事は信じてるけど...今はいないんだから私が1人で考えるしかない」

「それでも...ホシノ先輩...」

「ああそうだ...さっき、私を見てって言ってたけど...それそのまま返すよ

何を見てるかは知らないけど...シロコちゃんこそ、私達を見てないよね...」

「それ...は...」

 

その指摘を...私は反論できなかった...

 

「......まあいいや...再三言ってるけど...敵意は感じないし

じゃあね...シロコちゃん

ノノミちゃんと一緒に...次のアビドスを頼んだよ」

 

結局、ホシノ先輩を止めることはできずに去ってしまった。

私は...ホシノ先輩に言われたことが頭をぐるぐると周り、離れない。

私は...未来を変えることだけを意識しすぎていてホシノ先輩を...みんなをちゃんと見れていなかったのかもしれない。

私はみんなとの過ごした経験はあるが...みんなはない。

そんなのがみんなを見ずに守りたいだの大切打の言っても上辺だけだといわれても仕方がない。

 

「いつまで寝てるのよ、シロコ先輩...私が動けてるんだし、シロコ先輩だって動けるでしょ」

 

セリカが倒れている私を見下ろしていた。

 

「わからない...体は確かに動ける...けど...」

「だったら早く立ちなさいよ...ホシノ先輩、追うわよ」

「...私は...追っていいの?」

「さっき言われたことを気にしてるの?

あれ、半分嘘よ?」

「う、嘘...?」

「確かにシロコ先輩...私達とは違うどこか遠い場所を見ている時が多いけど...それはずっとじゃない

ちゃんと私達を見てくれてるわよ...あれはシロコ先輩を遠ざけるためよ」

「確かに...私達はシロコ先輩の考えは読めません

けれど、信頼はしています...考えは読めなくても...ホシノ先輩だって同じです」

「......そっか、ありがとう...2人とも」

 

2人の言葉に力が入る。

沈んだ心が...再び立ち上がる。

 

「ごめん、2人とも...私、隠し事がある...

でも、アビドスは大切で...それが原因での隠し事...

無理は承知だけど...信じて私に着いてきて」

 

私の言葉に2人は頷き、ホシノ先輩を追うために準備を始める。

 

準備と軽い治療を終えて私達は総会の場所に向かう。

 

「ねえ、シロコ先輩...この後どうするの?」

「ん...とりあえずホシノ先輩は泳がせてノノミの救出を最優先にする」

「お、泳がせるって...あれでいいの!?」

「大丈夫...どうせ今のホシノ先輩に挑んでも惨敗するだけだし...それならホシノ先輩には暴れてもらって、ノノミを救出してもらう」

「総会はどうするんですか?」

「どうせうやむやになるから気にしないでいい」

「わかったけど...ホシノ先輩は1人で大丈夫なの?」

「問題ない...むしろ本気のホシノ先輩には私達は着いていけないからそのまま1人で戦ってもらう方がホシノ先輩にはいい...

それに...あれくらいじゃホシノ先輩は止められない

けど、疲労はたまる...頃合いを見てもう1度しかける」

 

今後の方針も伝え終わった頃、爆発音が聞こえた。

きっとホシノ先輩が暴れているのだろう。

 

「急ごう...タイミングも重要になる」

 

総会の会場に入ると既に戦場と化していた。

 

「すごいわね...ホシノ先輩...」

「感心する気持ちもわかるけどまずはノノミを探さないと」

 

ホシノ先輩は見当たらない。

私達は正面から入ったが襲撃の都合上、正面から行くとは考えにくい

 

「二手にわかれよう...私は1人で、セリカはアヤネと行ってノノミを探そう」

「わかったわ」

 

銃撃音を無視して、捜索を始めた。

 

様々な部屋を探していくがノノミは見つからない

代わりに銃撃音が近づく。

こんなことなら詳細をあの世界で聞いておけばよかった。

いや、そんな暇はないし...そもそもこんな状況になるなんて予想外だ。

 

「......あとはこの部屋だけ」

 

ひときわ銃撃音が激しい部屋に来た。

おそらく、まだホシノ先輩は戦っていて、ノノミはここにいるのだろう。

 

「シロコ先輩!」

「ん...結局合流したね...」

 

分かれたセリカとアヤネとも合流する。

 

「行こう...ここにノノミとホシノ先輩がいる」

「ホシノ先輩を止められるでしょうか...」

「今はそれよりもノノミを救出することを最優先に考えよう

ホシノ先輩はノノミを救うために利用するぐらいで考えて」

「り、利用って...」

「結局、今戦っても勝てないのもそう

それならまずはノノミだけを考えるべき」

「わかったわ!」

「行きましょう!」

 

部屋を開けて中に突入するそこはすでに戦場と化していた。

ホシノ先輩はノノミを守るように戦い、囲まれていた。

さすがというべきかそれでもホシノ先輩は敵を圧倒して着々と数を減らしている。

 

「セリカ、アヤネ...いくよ!」

 

敵勢力を背後から襲い、ホシノ先輩を囲う陣形を崩す。

 

「シロコちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん...」

「みんな...!?」

 

2人も驚いていたがすぐに連携を始める。

本気のホシノ先輩と私たち。

すでに半分以上削られた相手では勝負はあっという間に決着がついた。

 

「プレジデントは!?」

 

殲滅も終えたころ、ホシノ先輩が声を上げた。

 

「プレジデント...?」

「さっきまでいたんだ...

...くそ、あいつこの機に逃げてヘリで列車砲を狙うつもりか」

 

ホシノ先輩がぶつぶつとつぶやくとそのまま屋上へ走って行ってしまった。

 

「ホシノ先輩!」

「とりあえず追おう!」

 

屋上へ向かうと事態は一変していた。

ヘリからカイザープレジデントが突き落とされていた。

ヘリの上にはスオウと言う名の生徒が立っていた。

 

「なっ...どういうこと?」

「これは...」

「小鳥遊ホシノ...生徒会の谷へ来い...お前なら場所はわかるはずだ」

「君は...」

 

スオウと呼ばれた生徒はそのままヘリを飛ばして砂漠へ向かう。

ホシノ先輩はそれを追おうとするが...

 

「シロコ先輩...?

ホシノ先輩は泳がせるって」

「ごめん...やっぱりできる限り止めたい」

 

私はホシノ先輩の前に立つ。

 

「どいて、シロコちゃん

私だって何度も本気で後輩を撃ちたいわけじゃないんだ」

「もう、1人でやる必要はないよ

ノノミは助かった、総会はめちゃくちゃ...みんながいるんだよ

1人で解決しようとしないで」

「どいて」

「退かない...ホシノ先輩を1人にしない

私はみんなを...ホシノ先輩を守りたい

これが私の望み...私が見ているもの」

「...そっか...嘘はついてなさそうだね

だったら尚更、私は1人でいくよ

私が1人でやればみんなを守るんだ

こんなにいい後輩たちは...守らないと」

「ホシノ先輩!」

 

立ちふさがったが...先ほどのダメージがまだ残っていたのか私の動きが止まる。

その隙にホシノ先輩は私を押しのけて砂漠へ行ってしまった。

 

「シロコ先輩...!」

 

よろけた私をみんなが支えてくれた。

 

「シロコちゃん、大丈夫ですか?」

「大丈夫...ふらついただけ...」

けど...ホシノ先輩が」

「行っちゃったわね」

「とりあえず..追いたいのですが...生徒会の谷とは」

「私が知ってる、急ごう」

「な、なんでも知ってるわね...シロコ先輩」

「時折未来を知ってるような動きをするんですよ、シロコちゃん」

 

ノノミの言葉にぎくりとしながらも私は冷静を装って歩き出す。

 

「行こう...ついてきて」

「わかりました!」

「ところでシロコちゃん...先生はどうしたんですか?

こういう時...真っ先に相談すれば何とかなると思うのですが...」

「先生は...シャーレが謎の爆発を起こしてそれに巻き込まれて意識不明」

「えっ!?」

「だから...今は先生抜きで戦うしかない」

 

ノノミは衝撃を受けた顔をしていたがすぐに切り替えてくれた。

 

「今度こそ...止めよう

次に合流した時がホシノ先輩を止めるチャンス」

「わかったわ!」

「とりあえず走りながらですが作戦を考えましょう...まともに戦っても勝ち目はないので」

「そうですね」

 

生徒会の谷へ向かいながら作戦会議を行う。

だが、心は落ち着かない。

すこし変化はあるが結局...今のままでは過去のくりかえしにしかなってないのだから

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。