星見雅のクソデカ感情強火限界厄介オタク   作:湿度百倍!クソデカ感情!

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強キャラを全力で超えようとしてくるキャラ、いいですよね。厄介オタクにします。


クソデカ感情点火!

 

 ()()()は、俺に無いものを全部持ってる。

 俺が持ってるものは、アイツは全部持ってた。

 

 アイツには『星見雅』って親から名付けられた名前があった。

 俺には『タツヤ』って本名かもわからねぇ名前しか無かった。

 

 アイツには寄り添える家族が居た。

 俺は生まれた時から独りだった。

 

 アイツには住める家があった。

 俺は橋下で雨をしのぐ場所しか無かった。

 

 アイツには頼れる仲間が居た。

 俺の周りには持ち上げてくる腰巾着しかいなかった。

 

 アイツには立派で誇れる立場があった。

 俺はストリートに生きるただのホロウレイダーだった。

 

 アイツには誰より優れた力があった。

 俺の持ってた力は、その力の前に砕け散った。

 

 


 

 

 

 

 星見雅は凄い奴だ。齢21歳と言う最年少で虚狩りと言うこの新エリー都にて最高峰の称号を手に入れ、H.A.N.Dに六課と言う部署まで授けられた。

 

 手に持つ妖刀、骸討ち・無尾であらゆる物を一刀両断。時速200kmで移動し、まさに虚狩りに相応しくホロウを狩る者だ。

 

 詳しくは知らんが、武術に長けた優れた家柄も持っているらしい……まぁ、そこはどうでもいい。頼れる家族や親族がいるのは羨ましいが、それはそれだ。

 

 反対に俺はどうだろうか?

 俺……名は『タツヤ』。

 

 自分自身の年齢、苗字、親、何処で生まれたのかすら分からず、称号どころか市民権すら持っていない。

 

 定職にもつかず、やっていることと言えばホロウレイダーとして異空間災害、ホロウに潜り込み違法スレスレのほぼ犯罪行為ばかり。

 

 持っているものと言ったら、旧都がホロウに飲まれたあの日に手に入れた、人からは『魔剣』とも呼ばれる西洋剣一本。

 

 確かに、俺もこの剣一本と腕には自信を持っていた時期もあったが、そんな(プライド)は更に上の人間に合えばあっさりと砕け散る。俺にとっては、それが星見雅だった。

 

 

 

 あれは、星見雅が虚狩りの称号を得る前の話だ。

 俺は、ホロウレイダーとして手頃なホロウに潜り、ホロウの中に住むエーテリアスやチンピラを手にした魔剣で斬り裂いていた。ついでにエーテルってエネルギーを回収したりして……まぁ、要するに犯罪者だな。

 

 だが、俺みたいな空っぽな奴にはこのホロウの中が唯一の生き甲斐だった。

 

 剣を振るう事しか無かった俺には、ホロウレイダーとして邪魔な奴等を斬って斬らる時間が、一番生を実感出来た。我ながらとんだ極悪人だ。

 

「……つまんねぇな。』

 

 ホロウの中の瓦礫に座り込みながら、俺は呟いていた。その日は、本当につまらなかったんだ。俺の人生でも類を見ないほどに。

 

「giiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!」

「giiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!」

「giiiiiiiiiiiiiiiiiii!!」

「ッ!エーテリアス!……って小物か。」

 

 あのホロウは弱いエーテリアスの群れしか居ねぇし、何時も入る邪魔者の同業者やホロウ荒らしもいねぇ。俺は出てきた小型のエーテリアスにがっくりしながらも、腰から『魔剣』を取り出す。

 

 取り出しただけではただの短刀に思えるほど短い刃しか無い剣だ……だが、俺は一振るいすれば近くに有ったエーテル結晶が砕け、俺の魔剣へエーテルが吸収される。

 

 そうすれば、あっという間に短刀ほどの刃は鋭く伸びた両刃の西洋剣へと早変わりする。バチバチと炎を唸らせながら、俺は自慢の魔剣、『スレイヤー』を構える。

 

「giiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!」

「ッッッシャァッ!!!!」

 

 俺が魔剣を使えば、一撃で群れた小型のエーテリアスを焼き焦がしながら斬り裂いてしまう。実につまらない、手応えのない戦いだ。

 

 魔剣のタツヤ……なんて仰々しい名前で呼ばれ、ホロウレイダーの中でも腕利きなんて事を言われることもあるが、そんなのでは俺の中の空っぽは満たされなかった。

 

 本当につまんねぇホロウ潜りだった。本当に、本当に。……ここで、アイツと出会うまでは。

 

「失敬。」

「あ……?」

 

 俺が小型のエーテリアスを葬って直ぐ、焼けた炎の下……キツネ耳と艷やかな黒髪をポニーテールにした同じ年頃の女性が立っていた。

 

 その佇まいから気品溢れる……要するに、俺みたいな道端で育ったガキとは文字通り育ちが違うと受け取れるその姿に、俺はやり場のないイラつきを覚えながらも静かに問いかけた。

 

「んだよ、アンタ。」

「人に名前を尋ねるのであれば、そちらから名乗るのが礼儀ではないのか?」

 

 随分と上からな物言いをしてくれる……そんな事を俺は思っていた。実際に遥か格上だった訳だが。

 

 まぁ、当時の俺は俺が一番強いと思ってたもんだから……その余裕たっぷりの雰囲気にどうにも苛ついて、ホロウ荒らしと変わらねぇ真似をしちまった。

 

「テメェに名乗る名前なんか持ってねぇよ……!!」

「ならば、私もお前に名乗る名は持たぬことにしよう。」

「ッ!!」

 

 俺は剣を抜いた。何の迷いもなく、感情のまま、苛つきのままに。……しかし、アイツにとってはそれが合図になる。

 

 真剣同士の斬り合い。その合図に。

 

「抜くか、刃を。」

「余裕つけまくりやがって……抜けよ、アンタも。腰の刀を!!」

「……ふむ、剣は良し。しかし使い手は未熟も良い所……小鳥に上等な筆と紙を持たせるが如し。」

「あぁっ……そうかい、(コイツ)を褒めてくれたのはありがとよ。だがッ!!俺が弱えって言いてぇのかァッ!?」

「そう、言った。」

 

 俺は両腕に魔剣を握りしめて、我流の構えで振り被る。だが、俺が少し剣を振り上げた瞬間には……アイツは既に俺の後ろで刀を鞘に納めていた。

 

「ッ!?……がはっ!?」

「蝸牛の如く動きだ。」

 

 俺は、既に切られていた。

 いや、切られてすら居ない、峰打ちだ。手加減された。俺の中にある感情はより沸々と湧いてきていた。全身に迸る痛みに耐えながら俺は振り返り剣を構える。

 

「てめぇッ!!??」

 

 だが、既にそこにはアイツの姿は無かった。

 首元に冷たい感覚が走る……抜かれた刀の刃が、俺に突きつけられていたのだ。

 

 アイツは、俺の耳元で囁いてくる。

 

「このまま、首を裂かれたいのか?」

 

 目に見えた脅しだ。だが、下手をすればやりかねないという確信もあった……ここまで近づかれては、もはや成すすべてはない。あのスピードの差をみれば、流石のオレでも理解できた。

 

 だが、だからそこでハイそうですかと降参なんて真似は出来なかったし、今も出来ないと思う。

 

「嫌ッ……だねェッ!!」

「っ!?」

 

 俺は咄嗟に突きつけられた刀の刃を掴み、手を切り裂きながらも刃を退かす。

 

 そして、また剣と刀が相まみえた……しかし、片腕は刃を直に掴んだせいで血だらけだ。力を入れると痛む。もう片方の腕で凌ぐしかなくなってしまった。

 

「……まさか、そこまでやるとはな。」

「へへっ……少しは見直してくれたかよ?」

 

 ……あそこまでの実力を見せつけられれば分かる。目の前にいる奴は、格が違うと。だが、まだ俺は諦めきれずに居た。

 

 せめて一太刀入れてやろうと、その意気込みのまま俺は剣を握りしめる。今思えば、あの頃の俺がアイツに一太刀入れられる道理なんて、万に一つもなかったのにな。

 

 それでも、下がりたくないなかったし、下がらなくて良かったと今でも思ってる。下がったら、俺が俺でなくなる予感がしていたから。

 

 俺は剣に力を込めれば、刃に緑炎が疼く。

 俺は込めた力のまま、アイツへ剣を振るった……だが、アイツは……

 

「既に、終わっている。」

 

 まるで同じ光景を見ているかのようだ。アイツは既に刀を抜き、鞘に納めていた。胸に鋭い衝撃が走ると、俺は後方まで大きくふっとばされていた。

 

「があああぁぁぁあぁッッッ!!!」

 

 積まれた瓦礫に激突して、漸く衝撃は収まった。俺は、立つ気力すら沸かない状態で、剣だけは握りしめたままゆっくりと前を見る。

 

 すると、アイツは悠々と静かに歩いてきていた。きっと、アイツにとっては運動にすらなっていないのだろう。

 

「……ほう、まだ剣から手を離さないか。」

「離したくても離れねぇんだよ……」

「そうか。」

 

 どうにも一度剣を握ると、決着が突くまで離したくなくなる。もう、この勝負決着はついていると言うのに。……すると、アイツは一言呟いた。

 

「……その意気に免じて、私から名乗ろう。星見雅、それが私の名だ。」

 

 アイツは……星見雅はそう言って俺に視線を向けてきた。まるで、次はお前が名乗れと言わんばかりに……だが、俺はおとなしく名乗ることにした。元は、それが始まりなのだから。

 

「星見雅か……オーケー、覚えた。……俺は『タツヤ』。苗字は無ぇ……それが俺の名前だ。」

「タツヤ、タツヤか。覚えておこう。私はもう行かなければならないがな……縁があれば、また逢おう。」

 

 少し端末を確認した星見雅は、そう言うと文字通り()()()その場から消えさえってしまう。俺はかすれた声で「待て……」と呟くが、そんな声が聞こえるはずもなかった。

 

 戦いにもならなかった戦場に独り残された俺は、剣を杖代わりになんとか立ち上がる。

 ……一太刀どころか、鍔迫り合いすら出来なかった。実力が違いすぎる。

 

 それを、心底痛感した。自分は所詮井の中の蛙だったと言うことも。俺は今まで、自分の力だけを頼りに生きてきた。自分の力だけを育ててきた。しかし、その誇りはあっさりと砕け散ってしまった。

 

 

 

 だが、同時に空っぽだった心が埋まる感覚がした。小さな灯火が宿った気がした。星見雅、星見雅、その名を俺は心のなかで何度も復唱して刻む。

 

 必ず、いつかこの手で星見雅を倒す。

 

 それを剣に誓い、俺は歩き出す。

 まずは星見雅を調べるところからだ……あそこまでの実力、何かしらで噂や情報がでているはずだ。

 

 俺自身も強くならなくては……今のままではありとあらゆる面でアイツに負けている。

 

 星見雅に、絶対に勝つ。

 

 その意地を胸に、俺は果てしないが、確実に満たされた道を歩きだすのだった。これが、俺と星見雅の出会いだった。

 

 ……何?逆恨み?荒くれ者?俺もそう思う。

 だが、この出会いは少なくとも、俺にとって悪いものではなかった。空っぽだった人生に目標をくれたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……そうだ、俺は星見雅を倒しに来たんだ。

 なのに……

 

「あ、タツヤさん。すいません、課長は今留守で……えぇ、()()です。」

「おっ、タツヤ久々だねぇ。また()()しにきたの?飽きないねぇ〜。」

「タツさん!遊んで遊んで!」

 

「駄目だ、タツヤは私に勝負しに来たのだからな。不本意だが私が相手しよう。」

「課長いつの間に……」

 

「さぁタツヤ、訓練室は開けておこう。いつでも受けて立つぞ。」

 

 ……違う。

 なんでこんな受け入れムードなんだ!!なんでここまで顔パスで来れたんだ!?一応六課の拠点だろうここは!?

 

「……どうした?タツヤ?行かないのか?」

 

 そんなションボリするな!!

 こんなのはなぁ!解釈違いだ(俺の想像と違う)!!!

 

 




タツヤ:雅にプライドとか色々ぶっ壊されて打倒星見雅と言う人生の目標を得る。その過程で星見雅のクソデカ感情強火限界厄介オタクになってしまった。

 星見雅の事はライバルだと思っているが実力は全然対等じゃないしそもそも星見雅は一番強いから早々ライバルになれるわけもないしあらゆる面で自分とは格差があるからこっちが勝手にライバル視してるだけだと思っている。というかそうであって欲しい。(早口)

星見雅:ホロウに人が居たので話しかけたら喧嘩売られたので返り討ちにした。そしたら全力で自分を超えようとしてくるようになって少し嬉しくなった。タツヤの事は良い友人だと思っている。

六課面々:タツヤとはすっかり知り合いというか友人レベル。無論タツヤの心情は誰も知らない。
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