歳月の半神にそっくりな少女をオンパロスに投入してみた実験作   作:SUMI

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3.7すっごい良かった。でも絶賛消化しきれず胃もたれ引き起こすくらいにはロマンチックだったね。おのれ焼き鳥。大丈夫だ、カスラナからカスライナになっているからエリなんとかさんも微妙に変化があると思っているから大丈夫だ(オイ
それにブローニャと銀狼と言う似た2人がいるから彼女も行ける行ける。


第17話

あれから永い時を繰り返してきた。いろんなところを何度も何度も渡り歩いく、オンパロスの旅路でいろんな事が起きたりもした。

 

エリュシオンから旅立った後、放浪中だったモーディスの一団と旅を共にした輪廻もあった。その時はモーディスから話しかけられることが多く、ファイノンとの競争が激化の一途を辿ったのが印象に残っている。

 

その逆にオクヘイマへと向かうはずのファイノンがクレムノスへと渡り、無二の友として戦場を駆けた事もあった、その時は国としての体勢を保っていた為にオクヘイマに併合することもなくなり、火追いの旅が完遂することすら難しくなり、私が表に出て火種集めに奔走することになった。

 

 

その戦いの栄光はカスライナと私によって呆気なく踏み潰された。終末の暗闇には彼らの栄光はか弱い光でしかなった。

 

 

時には樹庭の賢人となってもう一度調べ直したこともあった、結局は徒労に過ぎなかったけれどファイノンの先生になって手取り足取り教えるのはちょっと背徳感があったのは憶えてる。ただ私とファイノンを題材にしたナマモノの同人はちょっとかk、コホン……没収したりも。

 

今度は逆にファイノンが賢人になったことも、アナクサゴラス先生の教えを受けてないせいかいつもより考えが固くて、先生と衝突する度に生徒として仲裁をすることが日常茶飯事になった事も。

またもファイノンと先生に挟まれる私なんて題材の同人を作られてて勿論かく、いえ没収させてもらったわ。

 

 

その最後は葉の隅々まで炎に焼き尽くされて倒壊した聖樹ともに終わりを告げた。理性は迫り来る終末に何一つ切掛を見出せなかった。

 

 

時には昏光の庭を築く前のヒアンシーと出会い共に医者になった事もあった。看護婦として医者となったファイノンを支えていたことも、その時の彼は癒す事で世界を救うと決意を胸に奔走していたのを憶えてる。

 

 

その癒した人々を傷口を抉り返すように私とカスライナは鏖殺した。産まれた時から歪なものは癒そうとしても正常なものになどなりようがないのだから。

 

 

とっておきの変わり種として一回だけだったけど、エリュシオンにいたもう1人の私が奇跡的にも生存したことがあった。何も知らない私がファイノンと一緒に火追いの旅を歩む光景を見守っていたのはなんだか気恥ずかしさがあった。

 

 

最後は何一つ変わることはなかった、ただの村娘でしかないもう1人の私は誰も知られずに道半ばで息絶え、結局はいつも通りになった。

 

 

何度も、何度も繰り返してき、様々な人たちの歩みを見届けてきた。

 

 

それでも全ての結末は変わらない。どんなに形を変えようがオンパロスの全土の戦力を掻き集めて集結させても、結局は終わりに立ち向かうことすら許されない。

 

それでもと徒労を積み重ねていく。心がだんだんすり減っていく錯覚、このオンパロスへと降り立ってからたったの数万回だとして少しづつ心が擦り減らすのは必然だった。

 

カスライナがそれ以上の年数を耐えているのを支えると決めたからこそまだ耐えれているけど限界が薄らと見え始めていることに感じている事からは目を逸らしていることに気が付かないままに。

 

 

 

 

 

 

そして3354万回目の永劫回帰。

 

オンパロスは終末へと、数万回と見慣れた光景へと変わる。既に火種は集め終わり、終末は訪れた。

 

白亜の街は見るも無惨に崩れ去り、血の赤と絶望の黒に染まる。人々は襲い掛かる厄災に逃げ惑うしかなく、立ち向かうもの抗うものはいるが、意味をなさずに真っ先に厄災に飲み込まれて死んでいく様はさながらネズミたちのレミングス。

 

もはや私にとっては日常となってしまったそれを眺めながら半神になった私は矢を射つ。それに追従するように過去の私たちの残照も矢を放つ、その数は万を越えていた。

 

その様は天罰のよう、建物も人々も暗黒の潮もなにもかも一切へと降り注ぎ貫いていく。これもいつも通り。

 

だが「紛争」の拳が、「死」の鎌が、「浪漫」の剣が叩き落としていく。この程度では彼らには届くほど弱くはないのだから。その抵抗も徒労でしかないのに。

 

旅を共にしてきた仲間たちから問い掛けられる疑問はもう何度目かすらも朧げになるほどに聞いてきた。その疑問をあとどれだけ問われなければならないのかな。

 

向こうのほうではカスライナがファイノンと戦っている。次の自分へと火種を受け渡すのも変わりはなく。いつまで続ければいいんだろう。

 

それぞれが私を説得するために言葉を惜しまずにかけてくれる。それも億劫になるほどに聴いてきた。

 

「どうして、私たちが共に歩んできた時間は嘘だったのですか。最後に裏切るとしながらどうして私に優しくしたのですか」

 

「嘘じゃないわ、でもねその時間を嘘にしないためにも火種を渡して。お願いだから、あなたたちの事を無意味にしたくないの」

 

まずはキャストリスから、彼女の権能は今でも厄介、直接触れなれけば問題はないけど万が一もあるために最優先で。けどキャストリス自身を狙わずに近くにいるアグライアを確実に射抜けて、彼女を庇える位置で放てば、死の権能を持ってるだけの唯の女の子はこのとおり。

 

「ごめんね、キャストリス。いつか普通の女の子として会える日を迎えるといいな。そしたら一緒にお花畑を創りしましょう」

 

ひとり、またひとりと倒れていく。今度はアグライアの番。

 

「金糸が伝えてくれるのです。私たちに向けられる深い親愛と哀しみは人間性が薄れた私にも届いています。それなのにどうして貴女はその選択をするのですか? それほどまでに大切なものを踏み躙られねばないのですか」

 

「だからこそなのよ、アグライア。あたしがやらないといけないの」

 

アグライアが仕掛ける間もなく、過去の残照たちが仕掛ける。間違いなく彼女の力では防ぐのは不可能な量で風穴が空くだろう。

 

やらせるものかとモーディスが間に立ってその身を持って矢を受けた。何十もの矢が刺さる、脚を抉り、幾つもの臓腑が潰れる。間違いなく即死なんだろうけどそんな傷などなかったように動き出す。それが彼を彼たらしめている不死の祝福。

 

「やっぱり貴方は丈夫ね、モーディス。矢がいくらあってもたりなくなっちゃうわ」

 

「ふん、俺は不死身だからな。だが、何故お前は彼奴に付いた。救世主すらも裏切ってまでやらればならぬのか? まあ、いい。その目を見れば分かる。お前は俺の知っているままのお前だ。それが救世主に必要なことなんだろう。だが止めさせて貰うぞ!!」

 

そうしてモーディスはかける。誰よりも前に出て攻撃を受けに回るその姿は守護者そのもの、気高き誇りをいつも胸に抱いて戦う人。

 

矢を何度も浴びせる、心臓を穿つ一矢を幾度も射抜こうとも止まらない。この程度で「紛争」を止まるはずなんてなく、歩みは緩みもしない。それどころかアグライアが立て直す時間まで稼がれた。だけどこれでいい、彼を倒す本命を隠せたんだから。

 

「ごめんね、モーディス。いつか世界に必要な傷痕が癒える日が来て、競争になる日がくるといいな」

 

その歩みを止めるような矢の向かい雨の中、静かに潜ませた残照がモーディスの背中、第10胸椎を射抜く、そればモーディスの急所。かのジークフリートが不死身でも背中の一点だけそうじゃないのも同じように彼を致命へと導く場所。射抜かれたことの驚愕によって彼は本当の死を迎えた。

 

そしてモーディスと言う楯が打ち砕かれた後のアグライアの結末は想像に難くはないのは必然なのだろう。

 

「ごめんね、アグライア。いつかあなたの仕立ててくれた服で未来へお出かけできる日が来るといいな。それはきっとみんなとても素敵に輝いてる姿になるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリたん……どうして、こんな酷い事をするんですか? 昏光の庭で一緒にお茶会をした時のあなたは優しい顔をしていました。みんなが大好きだって沢山伝わってきたのに、そんなに哀しそうで苦しそうな笑顔でやらなくちゃいけないんですか」

 

次は後方で傷病者を治療をしてるヒアンシーへと向かう。この終末でも依然として治そうと立ち向かうけど、それは余りにもか弱くいつも受けべていた笑顔は陰りその頬には涙が流れている。それは彼女の絶望の深さを示していた。

 

「そうよ、ヒアンシー。こんな事なんて全部やめて、ふわふわであったかいあの庭でゆっくりと過ごせるような世界であったらこれ以上に素敵なことはないわ。でもね、この小さな箱庭はそんな風に優しく出来ていないの」

 

射抜く寸前でエリシアと呼び止める声がした。振り返ればそこにはファイノンが立っていた。ヒアンシーや負傷者たちの目に希望が戻る、ファイノンがあの強大な敵を討ち取ったことでその糸口が見えたのだと。

 

「火種はどうなっている?」

 

だが彼から発せられた底冷えするような声でその希望は消え去った。彼を良く知るヒアンシーですら一瞬だけ別人なのかと疑うほどに一体彼の身に何が起きたのか。

 

「「紛争」、「浪漫」、「死」はあたしの手に。そして「歳月」は胸の中にあるわ。どうしたのかしら?……ふふ、あたしは大丈夫よ。一足先に一休みするだけ。あなたに寄り添いたいと願ったから、だから気にしないで貴方のやらなくちゃいけないことをやって」

 

「ファイノン様? 一体何を言ってるんですか」

 

それはカスライナ(前の自分)からファイノン(新しい自分)へと受け継がれたことに他ならない。それを知らないがためにヒアンシーからは自分達への裏切りが最初から無かったかのように通じ合っているにしか見えない、一体何が彼の身にあったのかすら察せないほどに。

 

「エリシア。僕は……」

 

「はい、それまで。こういう時は『また、明日』ってね。そうでしょう?」

 

ほんの少しの戸惑いの後、私の心臓にお姉ちゃんの儀礼剣が突き立てられた。突然の凶行にオクヘイマの生き残った人は理解できなかった。私とファイノンの仲は良く知られている為に、例え裏切ったとしても手に掛けることはしない。

 

オンパロスの人々はもうすでに彼は変わってしまったのだと思い知らされたのだ。

 

 

 

「この身を薪に、次の輪廻の暁を燃やそう!!」

 

 

 

 

そして永劫回帰は為る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……一体何処かしら?」

 

目を開ければ知らない場所にいた。そこは静寂に包まれていて、生の気配はない。水や風の流れの代わりに回路に信号が流れ、機械的な無機質さに溢れている。まるで機械の中に入った様なそんな場所。

 

これこそがこのオンパロスの本当の、神話と言う舞台の下に隠れている演劇装置の姿が広がっていた。

 

「ここがオンパロスの本当の……どうして懐かしいって感じているのかしら?」

 

知らない筈なのにとても安心できて、既視感を憶えているのに何処か新鮮味を感じる奇妙な感覚。散策してみると一歩ごとに新しい何かを感じさせる。

 

私以外は何も存在していない、只々静かな駆動音だけがほんの僅かな震えを伝えるだけ。

 

あの場所に足を踏み入れた時、私が感じている奇妙な感覚が最も強くなった。空のようにとても広大な空間を埋め尽くすほどに無数の柱が建てられている。それはストレージ、記録を保存するための装置である筈なのに、それはまるで墓標の様に見えて物悲しさが飛来する。

 

「見ないうちにまた増えたのね……あれ、どうして増えたと感じたのかしら?」

 

ただその光景を眺めていた。どうしてかはわからない、でも今度こそ忘れない様に憶えていなければならないと自分の中で使命感にも似たなにかに突き動かされるように時間も忘れて。

 

どれだけ眺めていたかはわからない中でふと、何かが尋ねた気がした。

 

 

-----------モモ、帰ってきた。おはなし聞かせて。

 

 

振り返ればそこにはとってもふわふわで可愛いピンク色の妖精さんが居たんだから。

 




エリシア:流石に4000万年は堪えるものがあった。少しずつ摩耗しかけているがそれでもカスライナが踏ん張っているから強がっている。


???:一体何ウルゴスなんだ……まだ第三段階までギリギリなってない。どうやら誰かと勘違いしている様だが?
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