歳月の半神にそっくりな少女をオンパロスに投入してみた実験作   作:SUMI

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特定の日に確定で死ぬからそれ以前はキャストリスに何度も触れても大丈夫な設定を思いついたが物語が狭くなるので没になりました。


第3話

それはまるですべてが夢のように。されど微かな足跡を残して崩れていく。そして私は三度目の目覚めを迎える。

 

「また、この景色……」

 

目を覚ますと始まりの光景が目に入る。それは悲しいかな最初と二度目と一寸違わず同じ景色だった。

 

「ループしているって事?」

 

流石の私も三度目になれば理解出来た。繰り返してる時間に囚われていることを。ただそれ以上になんとなくなんだけどムカついた。

 

「こうなったら、生きて生きておばあちゃんになるくらいしわしわになるまで生き残ってやるわよ!」

 

天寿を全うするまで生き延びてやるともはや反抗心に似た心持ちで三度の始まりの一歩を踏み出したのだ。

 

 


 

 

今までと似たような道を今回も辿って、二回目と同じくタイタンの眷属を相手に頑張って時間稼ぎをして、あの黒衣の剣士に助けられて、ファイノンが襲いかかって、そして……

 

(この終わり方は、予想外ね)

 

背中に突き刺さる剣が、私の命を奪い去っていく。倒れ行く私に、1人は仮面を被って表情が見えないはずなのに、2人共何も理解できなくて呆然としててなんだかおかしかったのよく憶えている。

 

なぜ私の背に剣が突き刺さる奇妙なことになったのかと言えば、前回と同じように黒衣の剣士が私を助けに来てくれて、ファイノンが彼に攻撃する。これは推察になっちゃうけど以前ファイノンが語ってくれた過去において故郷を焼いた仇と同一人物なんだろう。だからきっとこれは私を護るためなんだと。

 

前は私が庇う結末だったが今回は違った。

 

「愚か者がっ!!!!!!!!!」

 

気付いてなかったはずの黒衣の剣士がファイノンの剣を切り払ったのだ。それも私に向ける優しさなんて初めから存在しなかったように憎悪と私には理解できない何かを孕んだ一撃はあっさりと剣を弾き飛ばしたのだ。

 

その後の光景はきっと、私も黒衣の剣士もファイノンすらも予想出来なかったことが起きたのだ。それは弾き飛ばした剣が私の命を奪う死神(タナトス)の導きになるなどとは。

 

把握出来なかったのだろう、弾き飛ばしたファイノンの剣が跳弾を引き起こしエリシアへと突き刺さるなどと。傍から見た第三者でなければ理解など出来ない悲劇的な偶然が起こってしまったのだ。

 

そんなあっけない結末が私の三度目の生が終わりを告げた。

 

「今回も……失敗しちゃった」

 

四度目の目覚めを迎える。今度こそはと性懲りもなくオクヘイマに向かい、何度も何度も、似たような終わりを迎える。

 

その後も同じように繰り返してはあの場面で奇妙な死を経験するようになっていた。なんといえばいいのかあの黒衣の剣士が私を死なせないために自分に向かってくる剣を手放さないよう避ける様にいなしたり、タイタンの眷属を片付けたらここから一刻でも居たくないのか。攫うように無理矢理移動させたりと、脅威から遠ざける為に様々な手段を持ってしても最後には私の死へとつながるのだ。

 

まるで世界によって定められたようにあの出来事によって私は死に沈む。

 

そしてまたも同じ始まりの場所で目を覚ます。そんな繰り返しの中で少しだけ私の心は疲れていた。

 

「よし!今度はオクヘイマから離れてみよう」

 

だからこそ一念発起して私のいる環境を変えることを決意した。ファイノンのことが気がかりだけれどもこのままだとずっと私は彼を傷つける。私が死ぬたびに悲痛に歪む彼を見る度に心が締め付けられる。

 

なら…………私のほうから去ればいい。そうすれば最初からいないのなら彼が傷つくことはないんだから。

 

後ろを振り返れば見慣れた白亜の街並みが見えてくる。もうどれだけの時をあそこで過ごしたか分からないけどきっと今の私の故郷はどこかと言われれば、間違いなくあそこであるほどに。

 

「さあ、行きましょう……さようなら、オクヘイマ」

 

一抹の寂しさを振り払うように、向かう先はヤヌサポリス。私が信仰している歳月のタイタン、オロニクスがおわす神殿へ。

 

 


 

 

ヤヌサポリスでの生活は、どうして難民達がオクヘイマを目指すのかを身に染みるほどに思い知らされた。たびたび聞かされていたオクヘイマこそ、暗黒の潮に侵されぬことなき最後の聖域だと。そのことが事実である事を実感させられるほどにここでの日々は困窮していたのだ。

 

ここでの人々はその日の食事すらもありつけず、そればかりかそこらにいる紛争の眷属や押し寄せてくる暗黒の潮がいつここへ襲ってくるのかと不安と絶望が蔓延る場所はあった。

 

「エリシアお姉ちゃん、またお話をしてよ!」

「ええ、いいわよ。そうね今度はどこまでお話ししたんだっけ?」

「うんとね、救世主様とクレムノスの王子様が戦うところから!」

 

それでもよそものである私が受けられているのは運命の三柱であるオロニクス、その神跡を扱えるからこそだろう。こうして数少ないオロニクスの祝言で貴重な家財を修復できる術を扱えたからこそ受けいられるのだ。

 

「エリシアさん、オクヘイマの人は来てくれるのでしょうか。たかが一部族の生き残りでしかない私たちが…」

 

「大丈夫よ。必ずオクヘイマの人たちが来てくれるからそれまでの辛抱よ」

 

絶望に染まる難民たちとは違って希望が持てるのはきっと、彼が来てくれると信じているから、幾度も繰り返した中で彼が助けに行かなかったことは一度もなかった、だから絶対に来てくれると確信があるから気丈にふるまえてるし。私がそうやって信じて明るく振舞っているからか。

 

「はい、今日はこれでおしまい。続きはまた明日ね」

「えー、もっと聞きたいよー。エリシアお姉ちゃんのお話すっごいいいところでやめちゃうんだもん、続きが気になって仕方がないよ」

「ふふ、ダメよ。一気に語っちゃうとつまらないわ?それにこうして続きが気になるから生きたいって思えるでしょ?」

 

救世主(ファイノン)が辿った足跡が皆に希望を感じたのかわからないけど、ほんの少し前を向き始めている。

 

それだけでも私がここに来たことに意味はあったんだとそう信じている。

 

そんな終末感溢れてるヤヌサポリスではあったが収穫はあったのだ。それは、念願の武器を手に入れたのだ! みんなのための物資を探していたところにこれを見つけたの。三日月みたいな刃に持ち手がついてるような奇妙な剣で実際は儀礼剣と扱われる実用性なんてない一品の筈なのに私の手にとても馴染んで自分の体の様に振り回せる事ができるのだ、おかげで……

 

「これでぇ! おしまい!」

 

両手で儀礼剣を掲げ振り下ろす、限界を超えたのかその人型は形を保てなくなり、砂へと崩れ落ちていく。遂にあのにっくきタイタンの眷属を倒せる様になったのよ。

 

「怪我はしてないかしら」

 

「エリシアお姉ちゃん、血が、血が!?」

 

「大丈夫……こんな怪我なんて治せば……へっちゃら、なんだから」

 

とは言っても子供達を守る為に相打ちであるのだけども。やっぱりと言うべきか今回の私の旅路はここで終わると慣れてしまった死の気配が近づいてることに気付いた。

 

 


 

 

僕たちが救援に来た時、ここにいた難民の人たちは来てくれたことを歓迎してくれた。気になるのはやけに僕から話を聞きたがってる人が多いということだ。

 

「救世主様ー!クレムノスの王子様と10日間にわたる戦いを聞かせてよ!」

 

「モーディスとの闘いか、よかったら幾らでも話そう。でもそれはオクヘイマに着いてからだ。それまでは我慢できるだろう。君は強い子なんだから」

 

「うん、僕我慢する!だってエリシアお姉ちゃんだって強いんだって言ってくれたんだから!」

 

彼らが聞いた物語はどれも僕が辿った道跡でどうしてこれらがヤヌサポリスの皆に知られているのかと疑問には思うが、それ以上にそうした足跡が皆に希望を与えていることに嬉しさを伴っていた。

 

「トリビー先生、そちらはどうですか。僕のほうはとても順調に進んでいるよ」

 

「あたちたちはすこち頑固な人がいて、時間がかかりそうかちら」

 

一部の司祭は信仰を守ると言い、少しばかり説得には時間がかかりそうだが思いのほか早めに避難民たちを護送できそうだと。これはうれしい誤算でもあった。

 

「それにちてもどうちてヤヌサポリスの人たちにはちらない(知らない)ファイちゃんのことを話せる人がいるのか疑問だわ」

 

「それについてはみんながこう言ってたよ。夢で見たからって、しかもその本人は黄金裔でもあるって言っている人もいたんだ」

 

「それは本当なら……もちかちたらその子こそが、あたちたちが探してた「歳月」の……」

 

その直後だった、その話題に挙げていた黄金裔の凶報が上がったのは。

 

彼らの中で精神的な支えになっていたが僕たちが来る直後に紛争の眷属から子供達を護る為に闘い大きな傷を負ってしまったんだと、今すぐにも治療をしなけば命が危ういと。僕としても彼らの支柱が居なくなるのはとてもまずい事態だと、幸いな事に先行して持ってきた物資の中には医療用の物資もあるから急いで向かい。その先で有り得ないものを見た、みてしまった……

 

「キュ、レネ……?」

 

そこには失ったはずの幼馴染が……そうじゃない、僕ですら見間違うほどに似ている少女がそこにいた。彼女に刻まれた傷跡は素人でも一目で分かるほどに重症で一刻も早く治療をしなければならないほどの傷だった。

 

恐ろしい程にあの日(故郷が焼かれた日)に似ていたのだ。ゆっくりと目蓋が上がる、その瞳の色もまなざしも同じ。

 

「やっと……来てくれたのね」

 

奇しくも声すらも同じなのが余計にもういないはずの幼馴染を思い起こしてしまう。

 

「喋らないで! 今、治療する!」

 

「ううん、もういいのよ……この傷じゃ、あたしは……」

 

僕に向けられた眼差しをを知っている。黒衣の剣士に切られたキュレネが僕に向けたのと同じ自分の死を悟った眼差しだ。

 

「そんなことはない!君が信じてた通りに来たんだ……来たんだよ。だから……!」

 

僕だって分かっている。戦場で同じ傷を追った人たちを数えきれないほどに見てきた、皆例外なく死んだんだ。手遅れなのはとっくに分かってる。

 

「死なないでくれ……!君が居なくなったらヤヌサポリスのみんなは、君の話を聞きたがってたあの子に続きを聞かせてあげるのはどうするんだ?!」

 

ただ彼女は微笑みかける、言葉はなくとも分かる、それは何の心配もなく後を託せる人が見せる最後の……

 

「彼らを助けてあげて……あなたならきっと……」

 

それが彼女の末期の言葉だった。目蓋を閉じ、力が抜けて崩れていく、それは彼女の魂がタナトスの導きによってスティクスへと沈んだことに他らなず。僕はまた救えなかった、間に合わなかった。その眼は最後まで僕を信じて待っていた希望が秘められていた。そんな彼女を僕は……

 

ただ膝をつき、悲しみに暮れる。ああ、僕はまだ無力なままだ……

 

 

 




エリシア:念願の武器、儀礼剣を入手したぞ。なんかよくわからない何かで手元に出せる模様。でも元が弱々なのでそんなに強くない。フレスティ君は使いこなしてはいるがあれは使い手が強いだけ。

ファイノン:難民たちの支えになって自分が来てくれると信じてた幼馴染そっくりのエリシアちゃんの死に目に微ダメージ。なお、あるものを継承すると宇宙猫化する模様。なんで彼女、ヤヌサポリスに居るの???……あれ?何で僕の過去知ってるの???

フレスティ君:急にハシゴ外れされて困惑する模様。未だにアグライアの金糸が硬いので襲撃時じゃないとオクヘイマへはいけないのがヤキモキしてる。

傍観者:急に変な動きし始めてオモロ

???:なにかとても懐かしい気配がする
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