歳月の半神にそっくりな少女をオンパロスに投入してみた実験作   作:SUMI

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第5話

気がつけば私は宇宙に漂っていた。

 

いえ、私も何言ってるかわからないけどそう表現するしかないの。オロニクスから火種を預かった直後に衝撃を受けて意識が失ったと思ったら、気がつけばここにいたのだ。

 

実際には宇宙みたいな不思議空間にいるのが正しいかしら。空には星々が瞬き、その中心にはすごい何かが軸となって渦巻いていく、星も何もかもがそれには逆らえずに巻き込まれて渦の一部になっていく様はまるで銀河のよう。

 

それに足場はないように見えるけど不思議な力が働いているのかオンパロスにいた時と変わらない感覚で過ごすことが出来ちゃうのはびっくりした。

 

「それにしてもなんなのかしらこのSF染みた格好した人たちは?あたしってファンタジーな世界で生きていたはずよね。いつからSFものにジャンルチェンジしたのかな?」

 

視線を向ければ、そのには数人の人……人?が倒れている。人型だし言葉も喋っているから人だとは思うけど、なんだか妙に存在感が薄いし、みんな顔のないフードと一体化した仮面被ってて個性を消してる感じがあって断言できない。

 

ここを彷徨っていたら急に現れてオンパロスの記憶を保存するとかなんかと訳のわからないことを言ってきて襲ってきたから返り討ちにしたのだ。

 

なんだか妙に力が湧いてくるというか体のキレがいいというか、よくわからないけどここのエリシアちゃんは強いエリシアちゃんなのでバッタバッタとなぎ倒していく。

 

そうして歩みを続けていくが歩けど歩けど代わり映えのない景色が続く、歩いているうちに頭の片隅にひょっとして実際の尺度まで宇宙スケールなのでは?と浮かんでいた。ちょっと辟易し始めた時に人影が見えた。

 

「はーい!そこの人、あたしの声が聞こえてるかしら!?」

 

その人を見た時、ファイノンが私を見つけた時にこう感じていたのかなと場違いな感想だった。

 

「あら?あららら?あたしがいる?」

 

私がいたのだ。正確には私とそっくりな人がいた。活発なピンクの髪も蒼を湛えた瞳に身長も控え目なm……こほん、ほかの人から見れば見分けがつかないくらいにそっくりで、見分けられるのはきっとファイノンくらいかな。

 

「あら、本当だわ!! あたしが二人もいるなんて想像もつかないことね!」

 

あちらも私を見てびっくりしている。こんな不思議な空間でそっくりさんに出会うなんて文字通りの天文学的確率なんだもの。

 

「あたしはエリシア。見ての通りかわいい美少女よ」

 

「エリシア……ええ、素敵な名前ね。今度はあたしの番ね。あたしはキュレネ、過去のさざ波って意味があるの。特徴的で、あなたと同じくらい素敵な名前でしょ」

 

その名前には私は覚えがある、ちょっと自分の名前だと勘違いしそうなくらいに間違われて呼ばれた名前だから。

 

「もしかして、あなたがファイノンの幼馴染の?」

 

ファイノンという名前に聞き覚えがあるのか、彼女の表情が瞬く間に明るくなる。

 

「ファイノン!? あなた、もしかしてカスライナと会ったことあるの?元気だったかしら。教えて、お願い!!」

 

「慌てないで、あたしはさっきまでオンパロスにいて気がついたらここにいたの」

 

それから私がキュレネにオンパロス、と言うよりもファイノンと過ごした日々を語ってあげる。いろんな人を助けながらもそれに振り回される騒動を面白おかしく語ってあげる。その度に彼女の顔は明るくなっていく。

 

「そう、カスライナは私がいなくても変わらないのね……」

 

最後に私がオロニクスの火種を手にしたことを話した時に彼女は悲しく目を伏せた後に何かを決意をした後に

 

「あたしの話を聞いてくれるなら、お願いがあるの。とても大切なお願いよ」

 

語ってくれたことはこのオンパロスの真実だった。正直、ちょっと話飛びすぎて自分の頭だと飲み込むのに時間がかかったが、要約するとこのオンパロスはいろんなものを壊す悪者を生み出す為にオンパロスそのものが何度も再創世していて、今回の再創世で誕生しちゃうからファイノンと二人でオンパロス全体の時を巻き戻してなんとか喰いとめていると、時を巻き戻す事には素直に納得できた。

 

「そうなのね、だから私は何度もあの時に戻っているのね」

 

私は何度も巻き戻ってやり直しているし、オロニクスと言う時間を巻き戻す存在を知っているからこそだ。

 

目の前にいるキュレネは特別で別扱いだから、おそらく何度も巻き戻すたびにその週のキュレネは……いえ、彼女はそれも覚悟の上でその選択をしたのだろう。そして自分もこの何もない空間で一人寂しく過ごすことも。

 

「だから、お願い。オンパロスに再創世をさせないで、それにずっと一人で頑張ってるカスライナを助けてあげて」

 

このまま一人寂しく取り残されることも承知の上で未だに中で戦っているであろう大事な人の無事を選ぶのだ。

 

だから私はこうしたくなったのだ。

 

「任されたわ、妹にお任せしなさい!……え?だって私が居始めたのは最近でキュレネはずっと前にいたからお姉ちゃんでしょ?だから私が妹、あなたがお姉ちゃん。そう私が決めたの! それに誰が見たってそっくりの双子だしね」

 

私の言葉に唖然としていたのか二、三回瞬きしたけど、最後にお腹を抱えて大笑い、涙さえにじむほどに。でもその後の見せた笑顔はとっても眩しくて綺麗だったんだから。

 

「すっごい久しぶりだわ、大笑いしたのは。でもありがとう。あたしの話を聞いてくれて……そして、ごめんなさい。きっとあたしじゃ想像もつかないような辛いことや苦しいことが待ち受けてる役目をあなたに託すことを」

 

「大丈夫よ! これでもあたしは何十回もループしてるんだからどんと来なさい!」

 

そして私はオンパロスへと戻る道へと足を踏みいれる。

 

「さようなら、エリシア。あなたと会えてとっても嬉しかったわ」

 

「それ違うわ。お姉ちゃん、こういうときはね、こうやって応えるの「また明日」ってね。それにかわいい女の子は笑顔が一番なんだから」

 

「あ……そうよね。「また明日」。また、会えたら嬉しいわ」

 

そうして別れを告げる。

 

意識が落ちていく、いえ降りていく。その最中、誰かの視線を感じた、かつて相対したオロニクスと似た気配だけど存在規模があまりにも違いすぎる。私がアリだとするとみている人は星そのものに等しい質量を備えた巨人。

 

振り向けば、想像がつかないくらいに巨大なそれは全身がとても美しい氷で作られた人に近しいそれ、それはきっとお姉ちゃんが話してくれた。「記憶」の星神(アイオーン)浮黎

 

私の旅路を見届けるかのように一瞥を向けた

 

 

 

 

目を開ければ、何十回も見慣れた始まりの景色。

 

「さて、張り切って行くわよ。かわいい美少女は強いんだから!」

 

そうして私は歩き出す。




エリシア:オロニクスの火種とフレイムスティーラーが持っていた儀礼剣に刺された結果、ちょっと一時的に彼女と繋がった。ちょっぴりオロニクスの火種の影響のためかそこら辺にいるメモキーパーなら倒せるくらいに強くなった模様。そして勝手に姉妹判定する

キュレネ:魂は儀礼剣にあるけど開拓者(魂は冥界にいたけど元気にオクヘイマを走り回ってた)の例もあるのでそれ以外は外に出された子として今作ではそう定義している。幸い時間の流れは外に準じてるためまだ負荷はマシな方。

メモキーパー:なんか手出しできないオンパロスから出てきたのがいたから確保しようとしたら返り討ちにされた人たち
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