歳月の半神にそっくりな少女をオンパロスに投入してみた実験作 作:SUMI
新たな目標を手に入れて意気揚々と出発したかわいい妹系美少女エリシアちゃんですが、今何をしてるかと言えば……
「ふぅ、やっぱり雲石の離宮が一番だわ」
オクヘイマの
傍から見れば何遊んでいるの?なんて言われそうだけどちゃんと理由はあるのよ。
最初はいざ行かんと活きこんでいたけど、よくよく考えたら、何も知らないのだ。分かっているのはオンパロスは繰り返していて、それを知り体験しているのはたったの一人。それがカスライナであるのは知ってる。だけども彼は何時まで戻っているのか、どこで活動しているのか全然わからないのだ。私はオンパロスについて知らないことが多すぎると。
直感なのだけどおそらく途中参加組?みたいな私ですら何十週はこなしてる。たったそれだけでもたくさんのバタフライエフェクト、水に石を投げ入れれば波紋が浮かび上がるように何かが変化していくはず、だけどもそれを認識できてないのだ。
きっと私は今何をやるべき事が分からずに足踏みしているのだろう。
ふと黄金裔専用のバネテアに視線を向ける。火を追う旅、タイタンから火種を受け継ぎ世界を再創世する英雄たちを謳う言葉。お姉ちゃんから役目を継いだ私もその一人ではあるのだけど……
そもそも私自身がほとんど知らないのだ、ファイノンから聞いた以上のことは知らない、ただ彼を応援する少女でしかなかったから。
私が知ってる火種を継ぐ黄金裔は5名
1人はこのオクヘイマの実質的な為政者にして火追いの旅を先導している「金織」アグライア。継いだ神性は世界を創世せし一柱「
もう1人は自身の身を複数に裂き幾多の少女へと変じた「門職人」トリスビアス。継ぎし神性は運命を紡ぎし一柱「
いずれ継ぐ3人のうち2人は割愛として、ファイノンもその内の1人なのだ。
そうなのだ、「
それを調べるにしてもオクヘイマではただの一般市民である私では調べられることなんてたかが知れている。
ファイノンを頼れば出来そうではあるけれど、今週においては未だに知り合えない。オクヘイマにいるならば絶対に巡り合うけれど私から出逢いに行こうとしても出会ったことはない。ファイノンに見つけて貰うのを待つしかない
だから今はこうして身を休ませてその時に備えてる状態なのだ。
黄金裔のバルネアにいた誰かと視線が合った気がした。
--------キュレネ!!!!!!!!!!
直後に聞きなれたファイノンの私を呼ぶ声と共に一切の躊躇もなく飛び降りてくる。優に十メートルはある高さがあるにも関わらずにだ、そんな高さなんてなかったかのように、私が審査員ならば満点を出すくらいな鮮やかに華麗に着地をしながらも視線は私を決して外さない。
初めて会った時と変わらずのファイノンが微笑ましくも思いながら笑みを浮かべて歓迎するのもいつも通り。
「あら、何か用かしら? それともあたしに見惚れちゃったかしら?」
それから幾らかの時が経った後、私はファイノンに勉強を見てもらっていた。雲石の離宮に一画に設けられた図書室でマンツーマン形式でね。ああ見えてもファイノンは神悟の樹庭、オンパロスに置いて最高学府を出ているのでかなりインテリでもあるのだ。
「ねえ、ここってどういうことなのかしら?」
「ああ、ここは一般的な解釈だとこうだけど僕としてはこう思っているんだ」
改めて見ると何か歪な部分が気になってしまうの。最初に思ったのは意外にもオンパロスには本が殆ど存在しないのよね。紙が一般的でなく記録媒体としては布で出来た巻物が殆どだし、代わりに一般的に使われてるのは石板だったり。石板なんて重くて嵩張るのに一般的になっているのは、どういうわけかオロニクス?によって石板に書かれていることが変化するために個人端末、ス〇ホみたいなものはあるし、〇インみたいのが市民の連絡ツールとして普及していたのはびっくりした。
「ファイノン、今日はあたしに付き合ってくれてありがとう」
「それくらいどうってことはないさ。それにしても急に黄金裔、火追いの旅について知りたいってどうしたんだい?」
だからこそオクヘイマにおける教育とはローマのように口頭が主で、小さくなると家庭教師のような一対一での付きっ切りで教えるという方になっている。
「えっとね、その…恥ずかしいのだけどあたし、火追いの旅について殆ど知らないの。でもね、ファイノンもみんなも本気でその旅路を歩んでいる。だから応援するためにも先ずは知りたいの、だからファイノンならよく知っているから1番だと考えたのだけど。迷惑だったかしら」
例え、それが果たしてはいけないと知っているとしても。でも皆は本気で信じて進んでいることは決して否定してはいけないのだから。
「いいや、僕が付き合うことで君が味方になってくれるならとても心強いことはないさ。じゃあ、再開しよう。時間は限られているからね」
そんなファイノンとの勉強会は穏やかに進みんでいく中で起きた。それは読み終わった石板や巻物を踏み台を使って棚に戻している時だった。
「きゃっ!」「危ない!?」
私の不注意なのか踏み台から足を踏み外してしまい。
「「……………………」」
ファイノンが受け止めた結果、まるでお姫様を抱えるような体勢になり、顔もお互いがくっつきそうなくらいに近い状態で見つめあっていた。
私を抱える体幹は鉄骨のように揺らぐことがなく、その体はとても大きくて私の小柄な全身を覆えるほど。腕も人特有の温かさはあるけど私の柔らかな腕とは違って、がっしりとした大木ともいえるほどに太く硬い。心配して見つめているその顔はあどけなさが残りつつも精悍な顔つきは絶世の美男子とも言えるだろう。
そんな人が今この瞬間は私を、私だけを見ているの。まるで少女マンガのヒロインになったように錯覚させる。心臓の鼓動が早くなっていく、顔にたちまち紅潮していくのが自分自身でも自覚できちゃう。あっ、ファイノンもすこし赤くなっている。
「あ、ありがとう、ファイノン……もう大丈夫だから」
「…………え?あ、すまない。怪我がなくて、何よりだ」
恥ずかしさなどの色んな感情が溢れてきて、まともにファイノンの顔を見る事が出来なくて、お互いがこんな有様じゃ勉強なんて出来るはずなんてなく、このままお開きになったのは当然の流れだったんだろう。
そんな多彩の無い、すぐに歳月に飲み込まれて風化していく日常の1ページ。
胸を貫かれ、肺や心臓を掻き分けて背骨を断たれる感覚を味合わされながら大きな槍に突き刺される。
私にとっての一種のタイムリミットであった紛争による襲撃。一瞥を受けて強くなったから眷属程度なら簡単に倒せるし、数も一度に大量に対峙しなければどれだけ来ても問題はない。
でもまさか、ここに来てこの襲撃の首魁たるニカドリーの神像が来るとは思いしなかった。最初の数分位はまともに戦えはしたけれど、流石に戦闘特化のタイタンだと分が悪かったか、受けきれずにぐっさりと貫かれる結果になり意識が途絶える。
一方
ファイノンは雲石の離宮へと足を踏み入れる。此処へと踏み入れてからずっと嫌な予感が脳裏から離れない。これ以上進めばオマエは見たくないものを目の当たりにするだろうと警告が鳴り響く。
だがそれでも無理やり捩じ伏せて歩みを進める。英雄として自分は何一つなしてない、紛争の眷属を撃退することも彼女を見つけることも出来てないのに引くことなんて彼の選択肢にはなかった。
雲石の離宮の大広間に
「ああ……そこにいたんだね」
だが奴の事なんて目に入らない、手に持つ槍の先に探していた少女は存在していた。ファイノンにとって最もそこに居ては欲しくない場所だった。
ニカドリーは小手調べの牽制として槍に引っ掛かっていたモノを投げつけた程度だろう
本来ならば非情でも受け止めずに避けるのが鉄則。だけど彼にはそれは出来ない、例え隙を曝すことにもなろうとも……
ファイノンはあの日に抱えた彼女を憶えている。エリシアは僕が想像するよりも遥かに小柄で軽くて、柔らかく温かった重くて、硬く冷たくない。彼女の心臓の鼓動が聞こえてきて確かに生きているんだと鼓動が止まったキュレネの遺体じゃない、間違いなく彼女はそこにいるという事彼女はいなくなったに安堵していたんだ。
「エリシア……すまない、遅くなってしまったね」
抱えたそれは、キュレネが死んだ日と同じ冷たくて重く、すでに鼓動は聞こえない事切れた死体だった。
それは僕は守れなかった。お前はあの日のままだ
あいつが、あいつが彼女を、あいつが!!!
「ニィィカァドォォリィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
少年の憎悪を宿した咆哮が響き渡る。
エリシア:出発したのはいいものの何一つ手掛かりがないために足止め食らった子、一瞥受けたけどタイタン自体が星神を模した存在であるため、弱いわけなく最低でも一瞥クラスはあると思うので如実に戦闘経験の差が出て見事にニカドリーにぐっさりと早贄にされちゃった。死体云々はファジーな模様
ファイノン:今回はラッキースケベにより彼女の温かさによってトラウマが軽くなった模様。なお、傷はね治りかけをえぐるほうが痕になりやすいんだよ
どっかに見てる機械:流石に変数になりそうだし、思った以上に負荷がかからないから排除……こいつ、いつの間にか「記憶」の一瞥受けてるから排除したくてもできない(ガバ)