歳月の半神にそっくりな少女をオンパロスに投入してみた実験作 作:SUMI
それからもいくらかの時が経ってファイノンが難民たちの救助に向かったりしてそのいつものオクヘイマ襲撃などがあったりもしたけど、他の黄金裔の協力もあって無事に乗り越えられた(過去形)
眷属がいくら来ようと問題ない、それこそニカドリーと一対一を強要するような状況でないと命の危機にはならない。それよりも私が誰かの指示をする事になるとは思いもしなかった。
黄金裔側に立って知った事なのだが、実は紛争の眷属の襲撃自体は予見されていて、予め各所には通達して避難計画とか準備はしてたみたい。悪戯に不安を煽りかねないとして、市民に伝えなかったのは仕方ないとしても。今までのあれは何だったかと思い至ってすっごいモヤモヤしたりもしたけど来る時期までは予見できなかったみたいでファイノンたちが遠征から戻ってくる前に起きたのはそれなりに焦ってたみたい。
幾ら計画を立てたからってその通りに行くわけでもないから逃げ遅れた人も少なからず出るのが仕方ないことなんだろう。
そこから改めて生き延びる事が出来たエリシアちゃんです、喜んだのも束の間に、黄金裔にはやる事が沢山なのだ。
先ずはファイノンとモーディスは襲ってきた紛争のタイタンへと逆襲を仕掛けてクレムノスへと遠征。今回の襲撃によって漸く紛争のタイタンの居場所を特定できたみたいで千載一遇と言わんばかりに勇んで向かって旅立った。
アグライア様は為政者として被害の立て直しや被災した人々のケアなどで大忙し、それと何かを準備しているような?おそらく次の何かに対する対策なんだろうと「歳月」が知らせてくる。
トリビー先生たちは各所に通達、調整やファイノン達を送り届けたりで大忙し。
キャストリスはこの機に乗じて悪さをしないようにオクヘイマの治安維持の見回りで忙しい。
最後に私は何をしてると言えば……
「エリちゃん、次はあっちをお願い。まだまだ直さなきゃいけないものが沢山あるからね」
オクヘイマの修繕に駆けずり回っていた。今回の襲撃で破壊された街の施設は数知れず、中には住居が全損した人もいるし、なんなら橋とかいろんなインフラがダメージを受けている。それを作り直すには時間がかかりすぎるのでオロニクスの祈言で時そのものを巻き戻して壊れた事自体を無かったことにした方が時間も費用も段違いに安いので私がこうして駆けずり回っている。
一応トリビー先生たちも使えはするけど私と比べて規模も巻き戻せる時間の幅も少ない為にこうして私が駆り出されている訳である。
その最中、アグライア様から呼び出しがあったのだ。その近くには遠征に行っていたはずのファイノンも居た。
「ニカドリーの過去を探してほしい?」
「その通りです、エリシア。「歳月」の継承者として貴方だけにしかできない事なのです」
「僕からもお願いだ。頼む、エリシア。君の力を貸して欲しい」
なんでも今のニカドリーは自身に細工を施してる為に実質的な不死身になってるそうでこのままではニカドリーを討伐するどころか逆にこっちがやられる事になりかねないので、過去に何が起こったのかを調べて欲しいって事だ。過去を呼び起こせる私にしか出来ない事なんだろう。
「今この瞬間にもモーディスが戦っているんだ」
そして情報を届ける為に今もモーディスが1人でニカドリーと闘い留めてるために自体は一刻の猶予もない、ならば私も今すぐにでも行くべきなんだろう。そこで魔が刺した、最後にはなかったことになるならば入れ込む必要はないのではと。
……違う、本当に無意味にするならば既に諦めてる。そうさせない為にも今も足掻き続けてる人がいる。ほんの少し頑張ってるだけの私が諦める理由にはならない。
「わかったわ、微力ながらも全力を尽くすわ」
手元にとある本を出現させる。浮黎の一瞥を受けてから出せるようになったもので見た目は本なんだけど中は無限になっているみたいで幾らページをめくっても終わりが見えないし、読みたいページを念じて捲れば直ぐに開ける便利な一品。それにいままでは記憶と儀礼剣だけしか持ち越せなかったのがここに来てもう一品増えたのだ。
「それにしても過去を再現するなんて、やろうと思えば出来ちゃうのは改めて無茶苦茶ね」
なんとなくだけどどうすればいいのかはわかる、元となる記憶さえあれば過去を呼び起こすことは可能なのだ。映画館みたいに記憶をフィルムとして投影して再現するのが1番近いかな。要は超超高度な空間投影型再現?とも言えるだろう、実際に触れたり歩いたりも出来るのが……もう神跡で色々やりたい放題だし色々ツッコむのとても今更なのでしょうけど。
過去の記憶を集めていく、嘗ての栄光に溢れた詩にクレムノス様式の武具の鍛造光景、最後に黎明に照らされたクレムノスの写真、なんてあったんだと改めて驚きもあったがおおかた集め終わり
「ここがクレムノスなのね」
クレムノスへと降り立つ、なんでもこの都市自体が遊牧民みたいなもので常に移動をしているらしく、どうやって移動しているとか動力はどうしているとかすごい疑問に思ったけど、過去を再現するなんて無茶苦茶を実現出来てるわけでこの位ならば訳もないんだろうなと自分を納得させる。
もう誰も居なくなって久しいのか特に手入れもされずに辺りに草木が覆っているのがそこら中に広がってるのが無常にも栄枯盛衰の言葉が頭に過ぎる。
実際のところはヤヌサポリスよりはマシなんだろう、あっちは完全に廃墟となっているのに対しこちらは荒廃こそすれども都市機能はまだ生きているのだから修繕さえ出来ればまたこの都市は人が暮らせる場所になるのがわかる。そこがニカドリーの居城にして、モーディスの故郷である場所。
「今の咆哮は一体……それにここまで届くなんてどれだけの激戦が繰り広げられてるのか」
「この咆哮……ニカドリーの。ここまで届くなんて、急ぎましょう」
ファイノンは今も戦っているモーディスの助力に私とキャストリスは一緒に過去へと行く、とにかく今は時間との勝負だ。
そうして再現出来たそれは正しく栄華を誇る都市だった。文化こそ違えど賑わいはオクヘイマに劣らず、人々に話しかれば皆クレムノスを誇る言葉ばかり。難民たちがかつてを懐かしむのも理解できるほどに栄光に溢れていた。
「ここは、もしかすると黄金戦争の末期なのかもしれません。この時代のクレムノスは」
そこでゴーナウスっていう現地の人の協力を得て、祭典に乗っかりクレムノス内部を進んでいく、祭典と名乗っているが内容が「生き残れ」なスパルタもびっくりな過激なサバイバルであるために眷属たちがこぞって襲いかかってくる。
「ふん、これがタイタンの眷属だと? あまりにも弱すぎる」
だがゴーナウスさんが大部分を薙ぎ払っていく。この人はとても強い。私もキャストリスも戦える事自体はできるがファイノンやモーディスとは違い権能ありきの強さだ。体捌きに戦闘技術も段違いに巧い上に勇猛果敢とはこのことだろう、それに合わせて冷静沈着な知性もある。私たちが違う時から来たことを見抜いてたのだ。
そうして、どんどん突き進む彼をフォローするような形で歩みを進めていく。
なんと言うか言動が良くも悪くも苛烈だ。でもその裏には優しさや紳士な面も見え隠れしている。それはまるで戦争そのものを体現したと言えるくらいに。そして最後にニカドリーを語る時、まるで自分の事を語るように話すのだ。ここまでヒントがあれば私でも彼の正体は察する事はできる。
彼はおそらく……いや、間違いなく
もうまどろっこしいのは辞めて本丸へと切り込むことに覚悟を決めて、改めてゴーナウスさんへと向き合う。
「ゴーナウスさん……いえ、改めて尋ねましょう
「エリシア様、いったい何を仰っているのですか?」
キャストリスも私が唐突に何を言い出しのか理解していないのだろう。それはそうだ、彼女にとってタイタンとは超常たる存在であり今目の前にいる人がタイタンの意思なんて想像すらもついてないだから。私だって黄金裔達がタイタンを代替わりしていることを知らなければ確信まではいかなかっただろう
「何を世迷言を……ああ、そうか……私はそうだったのだな。エリシアよ、礼を言おう。貴公の言葉にて我が何者であるか思い出した。そうだ、我こそがニカドリーの理性である」
ニカドリーが語る、かつては一撃で地形すらも変えることすら容易な強大な存在であり、最初に外から訪れた脅威に立ち向かったのだが
「
そして浸蝕され堕ちる前にニカドリーは最も重要な神性である理性を切り離したのが、時を経て今ここにいるゴーナウスになったのだと。そしてただ愚直にここへ向かおうとしたのも、既に取り返しのつかないところまで壊れてしまった自身の神性の叫びを無自覚にも感じ取っていたのだ。
知らず知らずに彼に敬意を抱いていた。長きにわたり孤独に戦い理解も得られず護るべき存在から裏切られようとも
本来の「紛争」とは気高き存在だと改めて思い知らされる。その基となった黄金裔が持つ気高さもまた。
「一つ気になるのだが、何故私がニカドリーの理性だと見抜いたのだ?」
「それは気になっていました。よければ私にもお教えいただけるでしょうか」
「詳しくは言えないわ。それでも一つだけ言えることはねあたし達黄金裔とタイタンの違いは力だけ、この胸に抱いているものはみんな同じだってことかしら」
そうだ、幾度も繰り返そうともこの一瞬一秒でも皆は生きている。英雄たちはこのオンパロスを守るために同じ志を持っているのだから、私や
そうして、当時クレムノスの王だったオーリパンの主導のもとに別たれて壊れたニカドリーの神性を元に戻してく
「これですべての神性が集まった。後はこれを私に鋳ればニカドリーの神性は完全になるだろう」
「そうするしかないのですか。自分が犠牲になる選択を」
「そうだ、もうどうにもならん。
それでも優しいキャストリスは説得を諦めない、きっとそれは私と言う穏便に譲渡された例があるからなのだろう、だがゴーナウス―――
「エリシアよ、貴様の瞳には果てなき闘争へと向かう強き決意が見える。言うまでもないが敢えて言葉にしよう。全てには終わりがある、だが成し遂げてこそ偉大なのだ、一時の感情に惑わされて止まれば全てが無為になる事を忘れるな」
「ええ、偉大なる「紛争」の金言しかと胸に刻んだわ」
空気が変わっていく、かつてニカドリーの神像と戦った時と同じ狂気を孕んだ闘争の気配だ。
「我は天罰の鉾――
そしてニカドリーは英雄たちによって安息を得られたのだ。これがニカドリーの、いいえゴーナウスの旅路の終着点。
あと何回見届けなければいけないのかな?
エリシア:祝、最大生存日数更新、でもそれもつかの間オロニクスの祈言があるために結構酷使されることになった人。身内なら躊躇する理由なんてないのでこき使わされる。浮黎に一瞥されてるので本編におけるミュリオンと同じことが出来るため奇しくも似たようなルートをたどった人。本の色は透明感のある蒼に赤と銀のアクセントが掛かってる