宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

1 / 70
【プロローグ 】焔の序章

宇宙世紀0078年末――

ジオン公国・ズム・シティ、中央広場。

 

冬の冷気も凍りつくこの日。だが広場に集った民衆の激情は、むしろ空気を灼き尽くすほどに高まっていた。

 

万単位の人々が黒山のように押し寄せ、地を揺らすような声で一つの名を叫ぶ。

 

「ジークジオン! ジークジオン! 」

 

壇上に立つのは、ジオン公国総帥ギレン・ザビ。背後には国旗がはためき、周囲を取り囲むのは将官たち――キシリア、ドズル、そして若きガルマ。その傍らに、デギン・ソド・ザビの姿もある。

 

ギレンは一歩、前へ出た。

 

腕を大きく広げ、雷鳴の如く言葉を放つ。

 

「諸君。我々は、生まれながらにして“棄民”であった。

地球という母なる星は、その温もりを我らには与えず、空気にさえ税を課し、労働の果実すら搾取してきた!」

 

「奴らは言った。“地球に住めるのは地球に生まれた者だけだ”と!

ならば問おう。地球人とは何だ? 彼らだけが人類なのか?」

 

「否!!」

 

群衆が呼応する。拳を振り上げ、怒声と歓声が混ざり合う。

 

「宇宙に生きる我らこそが、人類の新たなる進化である!

重力に囚われぬ者たち! 苦難と試練を乗り越えし者たち! 我々こそが、選ばれし人類であると断言しよう!」

 

「この星のカスどもによる搾取の時代は、今日をもって終焉する!

地球連邦の支配は腐敗しきった蛆の巣だ! 我らスペースノイドが自らの血肉で築いた世界を、奴らに奪われてはならぬ!!」

 

ギレンの声音が、鋼のような冷徹さを帯びる。

 

「自由を望むなら、独立を勝ち取れ。

栄光を求めるなら、戦え!

我らがジオンの名のもとに!」

 

最後の言葉に、広場が爆発する。無数の旗が打ち振られ、ジオン・ズム・ダイクンの名を叫ぶ声がこだました。

 

キシリアは目を細め、内心で兄ギレンの煽動性に反感を抱きつつも沈黙を守る。

ドズルは太い腕を組み、「流石だな、兄貴……」と唸るように呟いた。

そしてガルマは、一歩後ろで控えながらも誇らしげに、兄たちの背を見つめていた。

 

――その群衆の遥か後方、警備隊の列の中に、若き将校が一人立っていた。

 

銀の仮面、金色の髪、鋭い視線。シャア・アズナブル。

その瞳の奥に燃えるのは、熱狂とは異なる、静かな冷笑だった。

 

(……ザビ家よ。貴様らのやり方に心酔する気はない。だが、今この時代に“力”を持つのはお前たちだ)

 

彼の口元が、わずかに動こうとした。

 

――その直後だった。

 

 

 

サイド3外周・重力潮汐監視ステーション。

 

「……なんだこれは!? 惑星間潮汐に異常収束、数値が跳ね上がっていく!」

 

オペレーターたちが絶叫する。全方向から押し寄せる重力波の異常が、空間そのものを歪め始めていた。

 

「太陽フレア? いや違う! コロナ質量放出と一致しない波形です!」

 

「空間重力レイヤーが……崩れていくッ!」

 

赤い閃光が宇宙を裂いた。警報が鳴り響き、機器が一斉にダウンする。

 

 

 

その時、ジオン公国と10億の民、そしてア・バオア・クー、ソロモンを含む全宇宙拠点は、

――異なる世界へと“転移”した。

 

 

 

数時間後。哨戒艦ブリッジ。

 

「……地球と思われる惑星を発見しました。だが、色が……」

 

「大地が、赤い……?」

 

映像には、赤茶けたユーラシア大陸と、青い海が広がっていた。サイズ、軌道、重力は地球と一致する――しかし、その姿はまるで焦土。

 

「これは……本当に“我々の知る地球”なのか……?」

 

ザビ家の面々が、報告を静かに聞く。ギレンが、ゆっくりと瞳を閉じた。

 

「……我々は、未知の宇宙に来たらしいな。だが、ジオンは、どこにあろうと生き延びる」

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

それは、すべての始まりだった。

彼らはまだ知らない。この星にBETAと呼ばれる“敵”が存在することを。

 

この世界で、ジオンの名がいかなる意味を持つことになるのかを――。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。