宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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第二章
【第10話】降下開始


ナレーション(永井一郎)

U.C.0079年1月9日。

人類の月面における初の大規模反攻作戦が、ジオン公国の手により開始された。

 

その敵は地球連邦ではなく、異星起源の生物――BETA。

 

サイド3より放たれた鋼鉄の巨人は、かつてない死地に挑もうとしていた。

 

それはジオンの、否、人類の存亡をかけた決死の一矢でもあった。

 

月面に降り立った彼らを待ち受けていたのは、荒涼たる灰色の大地。

 

そこに築かれし“ハイブ”――地球外生命体の巣窟。

 

だが、その月面には決定的な違いがあった。

 

そう、月のBETAはまだ“地球のBETAに比べて大規模な人型兵器とまともに戦ったことがなかった”のだ。

 

 

 

軌道上、ジオン艦隊。

巨大なHLV(再突入降下艇)が、次々に射出装置へ接続されてゆく。

月面の“フェイズ5”ハイブ――直径2.4キロ、深度およそ5キロの地下構造体。

そこへ向かう最初の矢は、MS一個大隊、計48機。その中にシャア・アズナブルの姿もあった。

 

 

 

ムサイ級〈パグマ〉艦内。

艦橋のスクリーンには、月の地平線がゆっくりと迫っていた。

 

「全艦、最終着弾点計算終了。HLV、第一波射出まで残り30秒!」

 

機械的なアナウンスが響く中、パイロットたちは黙して出撃を待つ。

シャアは自機のコックピットで、静かに計器を見つめていた。赤い塗装をされた専用機は「彗星」の名を冠した異名は未だ無い。ただ、一機のザクにすぎなかった。

 

「……母上、アルテイシア。俺は今、ザビ家への復讐を後回しに人類の敵と戦おうとしている。父上と母上の仇も取らずに…。これでいいのだろうか……。」

 

ヘルメット越しに呟かれた声は、誰にも届かない。

だが、その目は空虚ではなかった。燃え上がる復讐心ではなく、何かを見定める者のまなざしが、計器の先を射抜いていた。

 

艦外では、ムサイ級・チベ級が一斉にメガ粒子砲と大型ミサイルによる艦砲射撃を開始。

BETAの出入り口と想定される地表の亀裂部を集中的に砲撃する。

轟音は真空にかき消され、ただ光と震動だけが瞬く。

 

「地上制圧砲撃終了! 降下艇、射出開始ッ!」

 

シュゥゥゥン――

振動とともに、第一波のHLVが射出された。十数機が光条を引いて月面へと突入してゆく。

 

 

 

HLV内、シャアのザクはカプセル内で身じろぎ一つしない。

機内の計器音だけが静かに耳を打つ。

そして、突入フェーズへ。

 

《こちら第17降下艇。全機、HLV突入態勢に移行》

 

《BETAの反応……無し。艦砲射撃の後で遠くから接近はしているが、突入地点での明確な迎撃行動は見られない》

 

《やはり……月面では、連中はまだ“人間と戦ったことがない”のか》

 

通信の合間に、微かに誰かが笑う気配があった。

だが、それは慢心ではなく、恐怖の裏返しだった。

 

突入!

月面の灰を巻き上げながら、HLVが着地する。

 

「……シャア・アズナブル、出る」

 

ハッチが開くと同時に、赤い色のザクが跳ねるように飛び出す。

続けて、黒を基調とした三連星のザクが三機、シーマのカーキ色のザク、ラルの青いザク、他部隊のMSも続々と地表へと進出する。

 

 

 

第一波着地地点――月面フェイズ5ハイブ周辺。

 

視界は開けていた。だが音はない。

戦車級BETAの姿が散発的にあるものの、連携はなく、動きも鈍い。

 

「連中……索敵がうまくいっていないのか?連携がとれていないな」

 

「こっちのミノフスキー粒子が効いてるんだろ。反応がバラバラだ!」

 

各小隊が円陣を組み、慎重に前進を始める。

シャアは左翼の援護に回りつつも、敵の動きをつぶさに観察していた。

 

「……確かに連携がない。“これがBETAか”人類を絶滅寸前まで追い込んだという印象とは、少し違うな……」

 

ザクの120mmが、迫る戦車級を粉砕する。

その脇で、別のザクがジャンプ噴射で戦車級を踏み潰し、噴煙を上げる。

だが、それでも――奇妙なほど静かだった。

 

「こっちは無傷か?」「もう片付いた?」「……ちょっと肩透かしだな」

 

そんな会話が交わされ始めた、その時だった。

 

《こちら第3小隊……! 地下に、空洞構造を確認! 異常な振動値の反応が……ッ!!》

 

直後、地面が裂ける。

 

突撃級BETA――10メートル超の灰色の異形が、数十匹地中から飛び出した。

その動きは速く、狂気的で、何より初動にしては異様な鋭さがあった。

 

「連携はないが、本能で反応しているか……!」

 

シャアのザクが咄嗟にバズーカを構えるも、突撃級は方向を逸らし、別小隊へ突撃。

新兵のザク一機が胴体ごと砕かれ、爆散する。

 

「一機、やられた!? くそ、囲まれるぞ!」

 

「下がれ! 敵は群れじゃない、地面全体だ!」

 

爆発。絶叫。閃光。

無音の月面に“戦場の音”が満ちていた。

 

「囲まれるな!左右展開!突撃級、五、いや七体確認ッ!」

 

「下がれ、前に出るなッ!連中、地中からも来る!」

 

地震など存在しないはずの灰の大地が、次々と崩れ落ちる。

割れた地面から突き上がるように出現する戦車級と突撃級――

BETAは“戦った経験”などなくとも、殺し方は本能で理解しているかのようだった。

 

隊列が乱れた。後続部隊の到着が遅れている。

残されたMSたちは、月面に不似合いな格闘戦に突入していた。

 

「甲殻が硬すぎて120mmが効かない!? 関節を狙え、関節部と柔らかいケツを撃て!!」

 

ザクのヒートホークが数千度まで加熱されプラズマを発生させながらも突撃級の頭部を叩き割る。

だがその瞬間、別方向から跳躍してきた戦車級2匹が、腕部をもぎ取るように噛みついた。

 

「ッ……くそッ! 腕部爆発ボルト作動、ファントム2中破!」

 

シャアは跳び退いた。視界を走る赤い警告。すでに3機が撃破、4機が行動不能。

戦況は“想定より優勢”どころか、“崩壊寸前”だった。

 

それでも――彼は叫ばない。ただ、全体を見ていた。

 

「こちらシャア。右翼、6機で突撃級を誘導、中央突破を図る。俺に続け」

 

そう言い終わるやいなや、ザクが地を蹴った。

背部スラスターが月面の静寂を切り裂く。

赤い鋼が、咆哮を上げて突撃級へ斬りかかる――

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

やがて、第一陣を殲滅し夜が来た。

月面に日はないが、ジオン兵たちは今、自らが“何と戦っているのか”をようやく理解し始めていた。

 

それは意思なき群れではない。

本能と生存だけで動く、破壊衝動の化身。

 

初の“BETAとの接触”は、ジオンにとって勝利とも敗北とも言えぬ不気味な開始だった。

 

シャアのザクは、今も沈黙のまま戦場を睨んでいた。

 

赤い彗星の胎動は、まだ名もなき静けさの中にあった。

 

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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