ナレーション(永井一郎)
U.C.0079年1月10日 午後。
ジオン公国軍は、月面フェイズ5ハイブ攻略作戦の最中、未曾有の脅威に直面していた。
それは“人”や“MS”ではどうにもならぬ、絶望の出現。
BETA――その中でも分類不能の超大型種。
それは戦車級や突撃級を無限に吐き出す、“地獄の門”そのものだった。
そしてこの日、ジオンは初めて“人類の生み出した禁断の炎、メギドの火”の投入を決断する。
「前方の振動パターン、変化ッ!……これは……ッ!?」
月面に設けられた臨時観測室のオペレーターが叫ぶ。
観測機器のスクリーンには、これまでにない“波”が現れていた。
しかもそれは、ハイブ外郭から部隊が進行中のハイブ坑へと向かう。
「これは……掘削振動!? 巨大な質量が、地中から……上がってくるだと……!?」
誰かの声が、戦慄混じりに呟く。
直後、地面が、裂けた。
大気のない月面でありながら、まるで雷鳴のような“地響き”が戦場に轟く。
そして――それは現れた。
「……っ、バカな……あれは、なんだ……!」
それは、グロテスクで、巨大で、異形だった。
全長1000メートル超、胴体直径150メートル以上。
巨大な“円筒”のような有機生命体が、地表を突き破って出現したのだ。
「あ…ああ……、ハッ!み、未確認超大型BETA出現!!!」
ある者は“絶望”を叫び、ある者は“呪詛”を呟いた。
だが、その瞬間。
その“口”が、開いた。
轟音を伴って開かれた“吐出孔”から、戦車級、突撃級が――“吐き出された”。
数百、いや数千――流れ出すかのように、無限の敵があふれ出てくる。
「未確認超大型種……仮称“吐出級(エジェクター級)”、形式番号BETA-X-05とする!」
旗艦〈ファルメル〉艦橋
「……これが、やつらの“切り札”か……!」
ドズル・ザビ中将は、戦術スクリーンに映るその異形の姿を見つめながら唸った。
「閣下! このままでは戦域全体が崩壊します!」
「前線部隊が飲み込まれるのも時間の問題です!」
次々と寄せられる悲鳴と映像。ザクの部隊が突撃級の奔流に押し潰され、戦車級が縦横無尽に跳躍しながら装甲を食い破る。
「我々が手をこまねいていれば、全軍崩壊もあり得ます!ご決断を!」
「――核だ。核を撃て!」
沈黙を破ったのは、ドズル・ザビその人だった。
「今撃たねば、奴は補給基地も飲み込み、地上部隊の全滅もありうる!ここで仕留めねばならんッ!」
幕僚たちがざわめく中、ただ一人進言したのは――補給基地に戻ってきたアナベル・ガトー中尉がモニター越しに発言する。
「閣下。核装備のザクⅡC型を1機、ご用意いただきたい。私が仕留めます」
「……お前が行くのか?」
「ええ。死地と知ってなお突撃するのが、我ら大義あるジオンの軍人かと」
ドズルは黙った。数秒の静寂のあと、拳を強く握る。
「……行け。奴を止められなければ、どの道ここで我が軍は崩壊する。全隊、ガトーの道を切り拓けぇーい!」
臨時補給基地格納庫
ザクⅡC型――核バズーカ装備仕様。
ガトーはその機体に乗り換え、最後の出撃へ赴こうとしていた。
「各員!ガトー中尉の核搭載機はC型ザク……機動性に劣ります。全隊、援護しつつ前線を押し広げて下さい!」
通信を聴き、シャアらエース部隊が先行して周囲を掃討する。
「了解、護衛任務に入る!各隊、持ち場を死守しろッ!」
吐出級に呼応するかの様に次々とハイブ坑から現れるBETAの群れを、近接戦と連携で押しとどめる。
「左前方、接近!俺が抑える!コズンは左翼の援護に向かえ!」
ラルのザクが飛び出し、ヒートホークで斬り伏せる。
その背後、三連星が連携してマシンガンとクラッカーを投擲。敵の勢いを削ぐ。
「マッシュ、左後方だ!」「了解、援護に入る!」
黒い三連星の連携は、まさに戦場の舞踏。密集する突撃級の中を縫うように滑走し、斬撃と射撃を交差させる。
「右からも来るぞ!」「オルテガ!それからヒヨッコ!お前もだ!構えろ!」
戦場はまるで“肉の津波”――突撃級と戦車級が止めどなく湧き出し、護衛線を幾度も押し返す。
それでも彼らは退かない。
「核搭載機が射線に入るまで、絶対に突破させるな!!」
シーマ・ガラハウ大尉のザクⅡS型が、新たに降下中に投入してきた海兵隊とともに左翼を死守していた。
「こう至近距離じゃバズーカ部隊は撃てやしない……だったら、あたしらが体で止めるしかないじゃないか!」
両腕のマシンガンを乱射しながら、正面に跳び出す。
味方機が次々に撃破される中、F型ザクの脚部に付けた即席の爆薬コンテナを抱えた僚機が、突撃級の群れに投擲する。
「今だ、時限信管作動!」「了解、起爆まで5秒!」
爆炎。一瞬の空隙。
「隙間が出来たッ!シーマ様!今の内に下がってくだせぇ!」
「バカ言うんじゃないよ、コッセル!ここで止めなきゃ何のための海兵だい!海兵隊は道を切り開くもんさ!!」
再び跳躍、ヒートホークで要撃級の首を斬り裂く。
だが、シーマ隊の損耗率はすでに50%を超えていた。
中央ではシャア・アズナブルが護衛線の指揮していた。
「ライデン、ドナヒュー、前線まであと約100秒。対艦ライフルで吐出級の“咽頭部”を狙え」
《ダメだシャア!……あれは“ライフルで撃ってどうにかなる相手”じゃない!》
ライデンのASR-78が何発撃ち込もうが、吐出孔から流れ出る戦車級が止まらない。
その“数”が、物理的に防衛線を“押し潰し”にかかっていたのだ。
「仕方ない、ここは俺が抑える!デニム、スレンダー行くぞ!」
シャアのザクが猛加速し、敵群の只中に飛び込む。
120mmマシンガンを撃ち尽くし、クラッカーを撒き、ヒートホークで突撃級を叩き斬る。
「全隊、前進!前線を押し上げろ!もうすぐだ!」
「搭載完了。……まさか、こんな形で核を使うことになるとはな」
アナベル・ガトー中尉が、核バズーカを搭載したザクⅡC型に乗り換え、静かに呟く。
「狙うは吐出級ただ一体のみ!」
彼の機体が中央戦線に向けて滑走し始める。
シャアから通信が入る。
《ガトー中尉、核の照準位置、咽頭部最奥。構造的に、そこなら例え映画に出てくる怪獣/KAIJUでも確実だ!》
「フッ、あのシャアアズナブルが洒落とはな。了解です。大尉!これより最終段階に入る」
最終防衛線は崩壊寸前、護衛部隊はすでに限界だった。
三連星は弾薬を使い果たし、オルテガのザクは片腕をもがれている。
シーマ隊は通信圏内に4機しか残っていなかった。
「……時間を稼げ、あと60秒で撃てる!」
「60秒……地獄の長さだな……!」
爆発。煙。断末魔。
それでも誰一人退こうとはしなかった。
そして、その時が来た。
「こちらガトー。目標確認、発射体勢入る――距離、1500、1200……射角、固定」
「核バズーカ――発射ッ!!」
閃光。
地響き。
そして、吐出級の咽頭部に、核の閃きが突き刺さった。
沈黙。
次の瞬間、巨大な爆炎と衝撃が戦場を呑み込んだ。
⸻
崩れる巨体と、押しつぶされるBETA達。
吐出級は断末魔のように身をよじり、そのままゆっくりと崩れ落ちていく。
体内から吐き出されかけた要塞級もろとも、月面の地表に激突。
砂と灰の雲が舞い、戦場に一時の静寂が訪れる。
通信が復旧し、各機の生存信号がひとつ、またひとつと戻る。
シャアのザクは膝をつきながらも、モノアイを明滅させた。
「……やった、のか……?」
ナレーション(永井一郎)
かくして、ジオン公国軍は
のちに地球側のコードネーム“母艦級”なる
未知の存在を核にて撃破した。
だがそれは“栄光の勝利”ではない。
それは“苦し紛れの勝利”に過ぎなかった。
そして誰もが知ったのだ――
この敵に、人類の常識は通用しないと。
連邦も途中で転移した方がいいかな?
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一部隊
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一個艦隊
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モブコロニー(生産性向上の為)
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サイド7(天パと親父込み)
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ジュピトリス(若いシロッコ込み)
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連邦なんて腐敗した奴らは要らん!