宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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【第15話】墓標(グレイブマーカー)

ナレーション(永井一郎)

U.C.0079年1月11日、月面にあるフェイズ5ハイブ。

ジオン軍は前日に“吐出級”BETAを撃破し、初のハイブシャフトへの侵攻に成功した。

 

しかし、それは決して「勝利」と呼べるものではない。

高い死亡率、高い損耗率――苦しみの果てに得た、ただの通過点。

 

それでも、人は前へ進む。

死者を背負い、生者が歩を進めるために――

 

 

 

〈月面 フェイズ5ハイブ 地下層〉

「ここが……ハイブ中枢部……か」

 

薄暗い空間に、青く発光する巨大構造物が浮かび上がる。

それは“反応炉”――BETAの膨大なエネルギー供給源とされる存在だった。

 

「通常火器じゃ、びくともしねえな……」

 

ハンマーを握った整備兵が、コンコンと叩きながらため息混じりに呟いた。

 

「モニュメント内部に設置した核に加えて、ここにももう1発仕込むしかねえか」

 

 

 

〈同・モニュメント内部構造〉

高さ200mを超えるスタブ“ハイブモニュメント”。

外装は鉱石に似た有機複合物で構成されており、ミノフスキー粒子や電磁波を反射する性質を持っていた。

 

「何かの“通信装置”か“座標標識”かと思ったが……これは“信号塔”ではない。何かを発射する役目の様だ」

 

技術士官たちが必死に分析し、結論を出したのは…

 

「このモニュメントは反応炉とシンクロしてる。破壊するなら“反応炉”もだ。単独破壊じゃBETA達がまた寄ってくかもな」

 

「だったらもう――核を設置してこんな辛気臭い所とはおさらばだ。」

 

 

 

シャア・アズナブルは、部下たちに通信を飛ばす。

 

「全機、撤収ルートを確保せよ。タイマー起爆は30分後だ。急げ」

 

重い空気の中、作業部隊と護衛MSが地下ハイブの奥から次々と撤退していく。

 

最後尾に立つシーマ・ガラハウのザクⅡS型が、モニュメントを見ながら微かに呟いた。

 

「……バカみたいにデカいくせに、中はただの臓物ってわけかい……。反吐が出るね……」

 

残骸を踏み越えながら、彼女もまた撤退の為にVLSへと向かった。

 

 

 

臨時補給基地周辺

地上では、遺体の残らなかった戦死者の弔い進められていた。

といっても、地球のような“綺麗な墓石”ではない。

敵地のこの地では鉄片の十字架が“墓標”の代わりとなる。

 

「……この金属片が、あいつの……」

 

無言で僚機のプレートを地面に立てる若きパイロットの隣で、整備兵が呟いた。

 

「もう戻ってこねえけどな。アイツのマシンガン分解整備すりゃ今でも撃てそうだ。お前が使ってやりな。」

 

 

 

〈サイド3〉

ジオン公国本国、ギレン・ザビの執務室。

 

「この勝利により、我らは人類存続の一縷の希望を繋いだ」と、ギレンは公式声明で語った。

 

だが――その陰で。

 

戦死者リストを見つめたキシリア・ザビの目が、静かに細められる。

 

「この数……想定の倍以上ね」

 

「……必要な犠牲だった、とは言えないわね。もう次は無いわ」

 

 

 

〈ジオン公国ダークコロニー研究区画・技術本部〉

 

ジオニック、ツィマッド、MIP各社の研究員と技術本部の将校たちが、月面作戦を通じて得たデータを基に新たな提案を進めていた。

 

「まず、戦車級への対応。脚部被弾率が異常に高い。それと突撃級だ、時速170kmは出てるぞ!ならば“ホバー機動が出来るユニット”への換装は急務だ」

 

「既存のザクF型はスカートアーマーの外側に推進モーターを搭載する余裕がある。改修機でも200kmは出るはずだ。APS-06試作機で試そう」

 

「モジュール式装甲もだ。戦闘後に迅速に換装できるように、構造自体を根本から見直すべきだ。ただ既存のパーツも流用出来るように考えないとな。我々は連邦の様に金を湯水のごとく使えんのだ。」

 

さらに――

 

「V作戦の学習型コンピュータが参考になる。あの採算度外視の『試作機』には、パイロットの挙動を反復学習し、リアルタイムに最適化する制御があった」

 

「同等の学習アルゴリズムをOS化して既存のMSに搭載できれば、“新人でもエース並みに”動かせるんじゃないか?」

 

「ハイブなどに突入する時や、戦車級の対処に量産性の高い“サブMS”として、4〜5m程の『小型二足歩行兵器』を活用するのが現実的だ。ザク1機で5機は作れるくらいにコストを抑えられるといいな。」

 

「既にある試製重火器があったはずだ。30mmとMSに比べて小口径だが戦車級には十分だろう。戦闘ヘリ等とも弾薬が共有化出来るはずだ」

 

「弾薬積載量も強化する。現行機の数倍、最低でも2倍は必要だ。現状では継戦能力が無さすぎる。連邦の戦艦や航空機を相手にするならまだしも数が無尽蔵に湧いてくるBETAが相手だからな!」

 

「あとは大火力だ!戦艦が侵入できない場面でも即座に展開でき、即殲滅できる兵器を新規開発したいな。確かギニアス閣下が大型メガ粒子砲の研究をしてたはずだ。コンタクトを取れ!」

 

膨大な戦死者と引き換えに、ジオンは得た。“改良すべき点”という、未来の礎を。

 

 

 

臨時補給基地

ドズル・ザビがノーマルスーツを着け、自ら月面に降り立ち、地上の戦場跡を視察していた。

 

「……これは、ただの戦ではないな」

 

彼の隣にいたシャアが、かすかに頷いた。

 

「BETAの目的は分かりませんが…。征服でも侵略でもない。人類の生存権を脅かす“生きている災厄”です」

 

ドズルは小さく目を細めた。

 

「この戦い、長くなるぞ……」

 

その時、大地の底で――爆発が炸裂した。

 

ハイブの中枢に設置された核兵器が、反応炉とモニュメントを同時に吹き飛ばす。

 

地下から吹き上がる砂塵と光柱。

大気のないこの月面でも、その衝撃は各地に明確に観測された。

 

ナレーション(永井一郎)

この“墓標”は、戦いの終わりではない。

 

それは次の戦いを告げる“鐘”であり、

人類とBETAの“抗いの歴史”の、ほんの始まりに過ぎないのだ――。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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