宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

28 / 70
【第25話】交信

ナレーション(永井一郎)

宇宙世紀0079年3月20日。

人類の敵――BETAと対峙する以前に、

ジオン公国は“かつての地球”と向き合うことになった。

 

だがその対話は、いきなり友好的なものではなかった。

むしろ、ジオンが想定していたよりも──“幼く、拙く、危ういもの”だった。

 

 

 

ルナツー 戦略情報局・特別通信室

 

薄暗い通信室内に響くのは、断続的な電子音とホロスクリーンのざわめき。

アメリカ合衆国、ソビエト連邦──かつて超大国と呼ばれた国家群からの“返答”が届いた。

 

≪…This is the United States Department of Defense. We demand immediate identification. You are entering restricted orbital space. Cease transmission.≫

 

≪Вы нарушили радиомолчание. Немедленно сообщите координаты. В противном случае…≫

 

(訳:通信封鎖を破った。直ちに座標を報告せよ。さもなくば──)

 

翻訳された音声が、室内に低く響く。

内容はいずれも「正体を明かせ」「そちらの勢力は何だ」という要求に終始していた。

しかも、その語調は……明らかに高圧的だった。

 

技術士官の一人が顔をしかめる。

 

「……こちらの発信内容は完全匿名でした。座標は隠蔽していたはずですが……」

 

「逆だ。奴らは“知らない”のだ。我々が何者なのか、どれほどの規模なのかを」

 

ギレン・ザビは、静かに呟いた。

 

 

 

ルナツー 中央司令フロア

 

会議室のホログラムには、各国からの通信記録と音声ログが並べられていた。

ギレン、キシリア、ドズル、そして複数の幕僚たちが集っている。

 

「アメリカは“敵対的存在の可能性あり”として、宙域封鎖措置を検討中。ソ連は“座標開示を強制する手段”の模索……か」

 

ギレンは冷ややかな眼差しをホログラムに注ぐ。

 

「彼らは、まだ我々を“少数の勢力”と誤認している。サイド3の存在すら把握できていない」

 

「逆に言えば……だからこそ強気に出られる。こちらの手札を見ていないからな」

 

キシリアは腕を組み、ゆっくりと語る。

 

「だが、いずれは知る。ならば、今の反応はむしろ──“地球各国の性格”を知る好機」

 

「性格……?」

 

「ええ。どういう刺激に、どう反応するか。その傾向が通信一つで分かるのなら、それは戦術よりも価値がある。彼らはまだ、こちらの“本質”を知らない」

 

ドズルが低く呻いた。

 

「だが、ここで下手に“対話”を急げば……こちらの足元を見られるかもしれん」

 

ギレンは席を立ち、背を向けたまま語る。

 

「それゆえに、外交チームを正式に立ち上げる。各国言語、文化、通信傾向──すべてを分析した者たちによる“対話部門”だ」

 

「……地球と対話するのではなく、“試す”ための部門でしょうか?」

 

キシリアの言葉に、ギレンは小さく頷いた。

 

「こちらから“交渉”を持ちかけるつもりはない。向こうが求めるのなら、その窓口を用意するまでだ」

 

 

 

同日・戦略通信局地下 第4会議ブース

 

新設された“戦略対話局”では、十数名の外交・心理・言語専門士官がデータ整理に奔走していた。

 

「この国は“正面衝突”には強く出るが、長期的な情報戦には弱い」

「この国家は“世論の影響”を受けやすい。つまり民間情報への工作が有効だ」

「この言語圏は“直訳”では通じないニュアンスがある。“間接表現”を重視すべきだ」

 

──それはまさに“戦場”だった。

 

銃弾は飛ばずとも、言葉の機微と沈黙の裏側を読む闘いが始まっていた。

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

対話とは、交渉とは、ただ言葉を交わすことではない。

その奥にある“意図”と“恐れ”、そして“欲”を読み解くこと。

 

ジオン公国は今、地球と通信を始めた。

だが、それは決して“平和”の始まりではなかった。

 

敵意の裏にある“無知”。

強圧の奥に潜む“不安”。

そして、通信越しに見え始めた“彼の国々の性格”。

 

ジオンは、その全てを武器に変えようとしていた。

なぜなら、沈黙の次に来るものは──言葉ではなく、選択だからだ。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。