宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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【第27話】思想の綻び(ほころび)

ナレーション(永井一郎)

宇宙世紀0079年3月30日。

月面での勝利から、約3ヶ月が過ぎた。

 

ジオン公国は、かつてなかった“二つの敵”と向き合っていた。

一つは、地球という未知の文明。

もう一つは──己の中に芽生えつつある、“分断”という名の影である。

 

その亀裂は、静かに、だが確かに広がりつつあった。

 

 

 

ジオン公国・サイド3中枢議会ホール

 

円形に設けられたホールに、白と緑を基調とした正装の議員たちが並ぶ。

その中央演壇に、ゆっくりと歩み出た初老の男。ダルシア・ハバロ。

 

彼は穏やかな口調で、しかし一語一語に重みを込めて語った。

 

「諸君……我々は今、“地球”との対話という扉を前にしている。だが、それは本当に進むべき道なのか?」

 

議場にざわめきが広がる。

 

「地球の勢力は、未だに我らが何者かを理解していない。敵意も、混乱も、その返答からは見て取れたはずだ」

 

彼は手元の資料をかざす。地球側から届いた通信ログの抜粋だ。

 

「アメリカ、ソ連……彼らは“対話”ではなく、“支配”の前提で物を語っている。果たして、そんな連中と歩調を合わせて、我々に何の得があるのか!」

 

若手議員たちが頷き、拍手がわく。

 

「むしろ、宇宙で独立した文明圏を築くべきではないか。我々は、地球に戻るのではない。“地球を超える”のだ!」

 

──これが、ダルシア・ハバロ率いる保守派の主張だった。

 

 

 

控え席・キシリア・ザビ

 

その言葉を静かに聞きながら、キシリア・ザビは腕を組み、口元にわずかな笑みを浮かべる。

 

「地球を超える、か……理想としては美しいが、現実を見れば幼稚にも映るわね」

 

隣に座る若い幕僚が耳打ちする。

 

「閣下、保守派の支持率が今週に入って急上昇しています。とくに月面からの帰還兵家族層に……」

 

キシリアは首を横に振った。

 

「当然ね。“今は触れるべきでない”という意見は、ある意味で正しい。だが──」

 

彼女の視線は、別の資料に移る。

 

そこには、地球側から届いた最新通信が映し出されていた。

 

≪共闘を求む。我が国の科学データの一部を送信する。≫

≪サンプル交換希望。貴国の戦力・意志を確認したい≫

 

──各国が、それぞれ異なる“トーン”で対話の糸口を探ってきていたのだ。

 

 

 

議会外 ブリーフィングルーム

 

議会中継をモニターで眺めるギレン・ザビは、深く椅子にもたれかかっていた。

 

彼の前には、複数の分析官と作戦幕僚が並ぶ。

 

「閣下、アメリカおよびソ連からの第二次通信も、依然として高圧的姿勢を崩しておりません」

 

「特にアメリカは、我が勢力を“テロ的組織”と捉えた文言も確認されました」

 

「ふむ……まだ、彼らは我々の“規模”を知らぬのだろう。地球連邦ならいざ知らず、たかだか数億の人口しか持たぬ地球の一国家がジオンの実情を知っての対応だとは思えん。まぁ情報が行かない様にしてるのはこちらだから当たり前だがな。」

 

ギレンはわずかに笑う。

 

「だが、それも良い。“小国”と見なされている間に、こちらは態勢を整えられる」

 

一人の幕僚が問う。

 

「いかがなさいますか? このまま議会に委ねますか?」

 

ギレンは首を横に振った。

 

「否。我がジオン公国は、軍事独裁国家ではないが──有事においては、最終決定権は我らにある」

 

彼はゆっくりと立ち上がり、窓の外──サイド3のコロニー郡を見つめた。

 

「……この“沈黙”の時代を、どう終わらせるか。それを決するのは“意志”の強さだ。私に、迷いはない」

 

 

 

ルナツー 戦略通信管制室

 

通信制御官が、緊張した声で叫ぶ。

 

「……司令! 通信捕捉!」

 

「送信元は?」

 

「“国連太平洋第11方面軍・横浜基地”と名乗っています!」

 

室内が静まり返る。

横浜──“BETA戦線の最前線”とされていた地だ。

 

「……あそこは、かつて日本に降下したハイブに建設された軍事拠点だったな」

 

「はい、司令。ハッキングした資料によれば日本主導のオルタネイティヴ4の本拠地とあります」

 

通信士官が、画面を指さす。

 

≪This is UN Pacific Sector 11 Command, Yokohama Base.≫

≪We propose cooperative engagement with extraterrestrial forces. Request mutual bio-sample exchange and technology liaison.≫

 

通訳班が訳文を読み上げる。

 

「……“宇宙勢力との協力関係を模索したい”、とのことです。BETAに関する生体情報と、戦術データの共有を申し入れています」

 

「こちらの技術水準を察したうえで、対等な“交換”を望んでいるようです」

 

「……文末にサインがあります。香月……夕呼博士?」

 

キシリアの目が鋭く細められる。

 

「博士……? 軍人ではないのか?」

 

「オルタネイティヴ計画に関与していたとされる科学者です。通信記録には“横浜基地副司令官”“オルタネイティヴ4最高責任者”と署名があります」

 

キシリアは低く唸る。

 

「なるほど……これは単なる軍の使者ではない。対話の意味がある、“頭脳”が動いたと思うべきか……」

 

一瞬の沈黙。

それは、他国の高圧的な交渉とはまるで異なる“交信”だった。

 

キシリアがすぐさま動く。

 

「本件、ギレン閣下に報告。議会には伏せ、外交チームを動かしなさい。……この相手には“対話の土台”がある」

 

ギレンは思案し呟いた

 

「……またもや潮目が変わったな。意志のある国家と、愚かなる国家か、見極める時だ」

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

 

対話とは、ただ“言葉”を交わすことではない。

その裏にある“思想”こそが、最も深い溝を生む。

 

宇宙に生きるか、地球と歩むか。

孤立か、共闘か。信頼か、猜疑か。

 

今──ジオン公国の中で、その“綻び”が静かに広がりつつある。

 

だがその一方で、確かに“何か”が繋がろうとしていた。

横浜──かつて地球文明の一端を担っていたその地から、思わぬ返答が届いたのである。

 

戦うための通信ではなく、理解するための通信。

その意味を見抜ける者だけが、未来を選び取ることができるのだ。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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