【第28話】開発会議
ナレーション(永井一郎)
宇宙世紀0079年4月15日。
月での戦いの勝利からおよそ四ヶ月──
ジオン公国は、新たな課題に向き合っていた。
それは、敵との戦いではなく、
自らの技術と理性とを問い直す静かな戦い。
そしてその最前線に立つのは、
兵士でも将校でもない。
名もなき研究者、技術者たちだった。
サイド3・第3技術省統合会議室
鋼鉄とガラスで構成された会議ホール。
複数のプロジェクターが天井から吊り下がり、壁面には各研究機関からの実証データが映し出されていた。
会場にはジオニック、ツィマッド、MIP──
ジオンを代表する主要開発企業の主任技師と、軍技術本部から派遣された実務責任者たちが一堂に会している。
その中央、壇上に立つのは技術省長官代理、ハイゼン・リッケルト技術准将。
彼は、深く一礼したのち、開口一番こう告げた。
「本日の議題は三点。
第一に、地球側との技術的連携の検討。
第二に、現在進行中の戦術・技術開発の進捗報告。
そして第三に……我が公国が向かうべき“戦略”の再定義だ」
ざわ……と会場に微かな緊張が走る。
スクリーンに、鮮やかな青で浮かび上がる三つの技術計画が表示された。
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■計画一:学習支援型OS “AOS-79” 試験実装
ジオニック社から派遣された青年技術士官が立ち上がる。
「本プロジェクトは、鹵獲されたルナツーの機体──いわゆる“V作戦”系列機から回収された学習型コンピュータに着想を得たものです」
「ただし我々は、これを“AI”とするのではなく、“兵士を支援する補助脳”として位置づけています」
複数の技術者が頷く。
AIではなく、あくまで「学習支援型」──
それは、兵士の意志と判断を補完する道具であり、制御者ではない。
「訓練データを蓄積し、パイロットの癖を分析、操作性を最適化する。現段階ではザクⅡF型への限定実装で、平均反応速度が24%向上しています」
ツィマッドの主任が思わず眉を上げる。
「……24%? 本当か、それは……もはや機体のリミッターを超えている」
ジオニックの担当官は誇らしげに頷く。
「現時点では訓練機だけですが、条件次第では更に伸びます」
「学習型コンピュータは?OSのみなのか?」
「搭載予定はありません。あくまで“OS”のみ搭載でハードは既存の物を改修するくらいです」
会場がざわつく空気が広がった。
懸念されていた「懸念されていた高コストコンピュータ搭載」は、これで払拭されたかに見えた。
■計画二:ホバー換装MS “ZAKU-HV改” 初期試作完了
次に立ち上がったのは、月面部隊から帰還したオリヴァー・マイ技術中尉。
彼は実際に突撃級BETAとの交戦記録を解析したうえで語る。
「突撃級に対抗するには、跳躍力と再加速力が鍵になります。従来の脚部スラスターでは能力不足です」
スクリーンに、改修型ザクの足元が映る。
ホバー推進用のインテークと補助スラスターが取り付けられた機体だ。
「これにより、接地摩擦を抑えつつ、突撃級との衝突を回避しやすくなります。
また、砂塵環境での被視認率低下にも効果があります」
ツィマッドの主任が苦笑する。
「ウチで試作してた熱核ジェットエンジンが役に立ってよかったよ」
静かに、だが明確に“戦い方”が変わろうとしていることを示していた。
■計画三:AT(アーマード・トルーパー)局地仕様開発計画
最後に映し出されたのは、小型MSことAT(Armored Trooper)のシルエット。
「ATと呼ばれてきたこの歩兵支援兵器に、局地戦仕様を追加する計画が始動しています」
「AGS-04 “Assault Glide System”に次ぐ派生型として、寒冷地・砂漠・高重力用を順次開発予定です」
「さらに、既存のバーニア推進装備により、短距離跳躍・緊急離脱・バーティカル展開が可能となります」
ジオニックとツィマッドの技術者が、珍しく頷き合う。
「……これは面白い」
「戦線維持の即応兵力として、重宝されるだろうな」
会議終盤・香月夕呼からの通信文
そして、会議も終盤に差しかかったころ。
一人の通信士官が手を挙げた。
「失礼します。本日、横浜基地より新たな通信が届いております」
会場の空気が一変する。
スクリーンに表示されたのは、香月夕呼の名を冠した正式な外交文書だった。
≪To: Zeon Principality – Science Ministry
Regarding: Protocol for Mutual Bio-Sample Exchange
From: Yukko Kouzuki, Chief Science Officer, Yokohama Base
Date: UC2001/4/15≫
「内容は……“生体試料交換の正式プロトコル案”とのことです」
「……ついに来たか」
誰かがぽつりと呟いた。
添付資料には、以下の三項目が明記されていた:
1. BETA種族に関する非感染性サンプルの相互提供
2. 分析技術および測定器具の型式開示
3. 試料交換時の医療的・倫理的ガイドラインの遵守
技術者たちの間にさざ波のようにさまざまな意見が飛び交う。
「まさか、ここまで早く……」
「彼らも、“理解しよう”としている……」
しかし──その空気を断ち切ったのは、サブスクリーンに映るギレン・ザビ総帥の音声だった。
画面越しに、重厚な声が響く。
「“見せ札”は出してよい。だが“ミノフスキー物理学”は出すな」
会場が静まり返る。
「理性なき進歩は、滅びを早めるだけだ。あの地に、それを悟れる者がいるか──」
「地球は、試すべき対象だ。
彼らが我らを理解するのに足る理性を持つか。
それを見極めるまでは、主導権を渡してはならん」
その言葉に、誰も異を唱えなかった。
ナレーション(永井一郎風)
人類は、戦うことでしか進めなかったのか。
あるいは、理解しようとする者たちも確かにいたのか。
技術とは、兵器か。希望か。
それを決めるのは、“使う者の意志”だけである。
今、宇宙と地球を結ぶ細い線が、初めて“理性”でつながれようとしていた。
だが、それは同時に──
“信頼”という、もっとも不安定な戦場の幕開けでもあったのだ。
連邦も途中で転移した方がいいかな?
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一部隊
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一個艦隊
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モブコロニー(生産性向上の為)
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サイド7(天パと親父込み)
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ジュピトリス(若いシロッコ込み)
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連邦なんて腐敗した奴らは要らん!