ナレーション(永井一郎)
宇宙世紀0079年4月20日──
地球と月の間に、いまだ確かな“信頼”の糸は張られていない。
だが、ジオンと地球との間には、
ごく僅かではあるが、“合意”という名の橋が架けられ始めていた。
それは軍人の剣ではなく、技術者の手による静かな戦い。
戦火の代わりにデータが飛び交い、流血の代わりに信号が交わされる戦場。
誰にも知られぬままに、
“連携”は──ひっそりと、だが確かに進んでいた。
ルナツー開発区画・中距離通信実験棟
冷却コイルの唸りと、送信器から響く微細なビープ音。
モノリス状の実験装置が、静寂の中にひときわ異質な存在感を放っていた。
「──受信成功。0.12秒の遅延で、データパケット正常通過」
報告したのはツィマッド社の主任技術者、ヴァン・ハルシュ。
彼の背後には、実験用の光通信ノードと、軌道上のレール型中継機を模した可動台。
「中継」と「遮蔽」を同時に試験する複雑な統合環境だ。
「レーザーの指向性と粒子層ノイズの干渉角度は既定値内。レールユニットとの同期も問題なし」
会場には、ジオニック社や技術省の関係者たちが固唾を飲んで見守っていた。
「これで、ミノフスキー粒子下でも艦隊間の限定通信が可能になる」
一人の参謀が息をのむ。
「これを前線配備できれば……月面や地球上どの地形での連携も現実味を帯びてくる」
通信が途切れた戦場──
それは、孤立と死を意味する空間だった。
だが今、その絶望の砂漠に、小さな“声の灯”が点ったのだ。
ダーク・コロニー試験区画・ホバー型ザク実装テストフィールド
シャア・アズナブル少佐は、灰色に染まるコロニーの地平を見つめていた。
彼の機体──ホバー換装型ザクⅡRSは、複数の補助スラスターと浮上ユニットを装備した試験機である。
静かに加速、浮上、方向転換。
「……なるほど。地表との摩擦が減る分、推進制御は滑らかになる。だが──」
彼の指は、コクピットの操縦桿をわずかに震わせた。
「“足の感覚”が……消えるな」
ホバー走行は、確かに有効だった。突撃級との衝突回避においても、また砂塵地帯での加速維持にも。
だが、“脚”で戦うことに慣れたモビルスーツ乗りにとって、
接地感覚の喪失は、まるで“身体の一部を失った”ような錯覚をもたらした。
「これは……学習が必要だ。いや、補助OSが自動補正してくれれば──」
思案の最中、機体通信に地上管制からの通信が入る。
《シャア少佐、中央管制より指示あり。作戦司令部に戻られたし》
彼は一度小さく息をつくと、軽やかに反転し、ホバーで滑るように地平線へと戻っていった。
サイド3・技術本部臨時会議室
香月夕呼博士から届いた提案文は、短く、しかし濃密だった。
≪次回、視察団が降下する際に、可能であれば技術者同士の意見交換を。
当方もBETA由来の物質解析における初期成果を、共有できる可能性があります≫
会議室では数人の将校と科学顧問たちが、その言葉の裏を読み取ろうとしていた。
「“BETA由来物質”か……それは、地球側が持つ“切り札”だな」
「だが逆に言えば、彼らも我々の“何か”を欲している──だから提案してきた」
ギレン・ザビからの返信はまだない。
しかし、この段階で技術情報の一部開示を示唆したのは、地球側の本気度の表れだった。
会議の終盤、横浜基地からの補足資料が届く。
≪拠点位置:国連太平洋第11方面軍・横浜基地
区画備考:G弾跡地(五次元効果爆弾)処理済み、汚染封鎖解除後の再活用地区≫
その文字を読んだ途端、部屋の空気が変わった。
「G弾…五次元効果爆弾……?」
誰かが呟いた。
別の技術士官が、資料の端末を睨みながら応じる。
「五次元効果爆弾……アメリカ合衆国が極秘に開発していた兵器だ。
空間構造そのものに干渉し、局所的な物理法則を崩壊させるという……」
「空間歪曲、時間的遅延、質量消失現象……。まさかこの文明レベルの世界で実戦投入されていたとはな」
「まさか、転移時の重力異常は“それ”のせいで?」
「いや、断定はできん。だが少なくとも──“無関係”ではない」
室内の全員が、黙り込んだ。
ただの“拠点座標”で終わるはずだった一文が、
今やジオン全体の存在意義を揺るがす仮説の導火線となりつつあった。
ナレーション(永井一郎風)
技術とは、戦争のためにあるのか。
それとも、未来を紡ぐためにあるのか。
ホバーで地を滑るザクの影。
通信の光を結ぶレーザーノード。
そして──沈黙の中で交わされる、疑念という名の問い。
まだ始まってもいない“対話”の時代に、
その布石はすでに、見えぬ場所で動き始めていた。
静かに。だが確実に。
連邦も途中で転移した方がいいかな?
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一部隊
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一個艦隊
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モブコロニー(生産性向上の為)
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サイド7(天パと親父込み)
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ジュピトリス(若いシロッコ込み)
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連邦なんて腐敗した奴らは要らん!