宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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【第33話】亡国の記録

ナレーション(永井一郎)

宇宙世紀0079年6月02日

 

ジオン視察団は地球への降下を果たし、今まさにこの世界が直面する「現実」を、目に焼きつけていた。

 

それは、かつての敵ではない。

文明そのものの“終焉”──あるいは、それすらも超えた絶望だった。

 

そして、記録という“亡国の遺骸”が、静かにその全貌を語り始めていた。

 

 

 

横浜基地・旧地下庁舎・第2映像資料庫

 

一歩足を踏み入れた瞬間、冷気と埃の混じった空気が、ジオン視察団の背筋を撫でた。

 

眼前に広がる大型ディスプレイが、低く唸る音とともに次々と映像を映し出していく。

 

「香月博士……これは?」

 

レオノーレ・ヴァイス博士が尋ねる。

 

「地球各地における、BETA戦のアーカイブです。未公開区域を含め、あなた方の照会に応じて、一部開示を許可しました」

 

香月夕呼は淡々と言い放つと、リモコンパネルを操作した。

 

スクリーンに浮かび上がったのは、ウラル山脈の山嶺。

 

だがその山腹には、明らかに“自然”とは言い難い巨大な縦穴が口を開けていた。

 

「ウラル戦線。“ソヴィエト第8軍”が防衛を試みましたが……」

 

映像が切り替わる。

 

雪原を這うように突撃級が群れを成し、要撃級が防御陣を食い破っていく。

 

前衛部隊は散開しながらも火線を維持していたが、やがて戦線が飲み込まれ、悲鳴と共に映像がブラックアウトする。

 

「生還者は3名。BETAの数、およそ16万体。」

 

香月は淡く息をついた。

 

「ただし、カシュガル方面では別です。あそこだけは──“何か”が、違う」

 

 

 

次に表示されたのは、インド戦線・カルカッタ北東部。

 

大規模な市街戦後の映像には、ねじ曲がった戦術機の残骸と、潰されたバンカー、そして炎に包まれた都市の影が映っていた。

 

「これは……?」

 

クルト・メルカ少将が問いかける。

 

「カルカッタ第11基地。包囲後、味方の増援が届かず──最終的に撤退。その直前の監視記録です」

 

画面内、逃げ遅れた兵士が1人、丘の影に隠れる。

 

次の瞬間、戦車級が土中から飛び出し、彼に襲いかかる。

 

助けを求める無線の声は、断末魔に変わり、映像は無言の砂煙へとフェードアウトしていった。

 

誰も、口を開こうとはしなかった。

 

レオノーレが、ただ絞り出すように言った。

 

「……人間が、あんなにも脆いなんて……」

 

 

 

やがて、スクリーンにアフリカ大陸の戦線図が映し出される。

 

「こちらは、アフリカ戦線。スエズ絶対防衛線は現在も維持されています。中東連合軍は国連軍に再編され、防衛の主軸を担っています」

 

リヒャルト准将がうなる。

 

「アフリカは、まだ生きているのか?」

 

「はい。ですが、補給は限界。次に大規模な侵攻があれば、陥落する可能性は高いでしょう。……少なくとも、我々だけでは守りきれません」

 

 

 

静寂と、呟き

 

視察団の面々は席に沈んだまま、動こうとしない。

 

この世界の“現実”が、静かに全身を覆っていた。

 

武官の1人は、誰にも聞こえないような声で呟いた。

 

「……これは、“限界”じゃない。“破局”だ……」

 

誰も返事はしなかった。

 

香月だけが、振り返ることなく言った。

 

「……我々は、“滅びつつある文明”の残り滓です。

 それでも、まだ“残滓”が残っているうちに、手を伸ばし抗うしかないのです」

 

 

 

ナレーション(永井一郎風)

 

記録されたものだけが、全てではない。

 

だが──残された映像の一つ一つが、確かに語っていた。

 

「かつて、ここに“人間”がいた」と。

 

滅びの足音は、誰にも聞こえなかった。

それでも、人は抗う術を探し、他者に希望を見出そうとする。

 

そして、ジオンは今──

“亡国の記録”を通じて、この世界と真正面から向き合おうとしていた。

 

その先にあるのは理解か、断絶か──

まだ、その答えは誰にもわからなかった。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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