宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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【第35話】視察団帰還

ナレーション(永井一郎)

宇宙世紀0079年6月6日。

ジオン公国視察団は地球降下任務を終え、再び宇宙へと戻ろうとしていた。

 

その帰還は、ただの往復航路ではない。

それは「この世界の真実」に触れた者たちが、祖国へと持ち帰る重みある“記憶”だった。

 

彼らが見たもの──それは、滅びの縁に立つ文明。

そして、その滅びに抗おうとする者たちの、かすかな灯火だった。

 

 

 

横浜基地滑走路/ ザンジバル級特務艦《ザンジバル》

 

灰色の空を背景に、巨大な艦体が静かに姿を現す。

耐熱コーティングを施された重装甲。そして艦尾に備えられた、大出力推進ブロックが鈍く赤く脈打っていた。

 

「地鳴りのような音とともに、ミノフスキークラフトによりザンジバルがゆっくりと浮かび上がる。補助推進器が咆哮を上げ、機体は重力をものともせず上昇していった――あたかも、空そのものを裂いていくように」

 

「浮いたぞ…」

 

「…重力そのものを制御しているとでも言うのか……?」

 

「まさか……この船、単独で宇宙へ戻れるのか?」

 

発射区画に居並ぶ国連軍関係者の中から、驚きの声が漏れる。

数名の整備士がモニターに目をやりながら、息を呑む。

 

「ロケットブースターなしで大気圏離脱……この質量で……?」

 

「こんな艦、ウチにはないぞ……」

 

横浜基地副司令の技術参謀が言葉を失いながら、目の前のザンジバルを見上げていた。

 

クルト・メルカ少将は舷側ハッチから振り返り、小さく一礼する。

 

「我々はまた来る。共に歩める道を、探るために──」

 

香月夕呼はそれに応えるように無言で頷き、片手を上げた。

 

やがて振動とともに機体が浮かび上がり、黒煙と振動音を残して、ジオン艦は空へと吸い込まれていく。

 

 

 

宇宙空間・ルナツー帰還軌道 / 《ザンジバル》艦内・報告ブリーフィング室

 

艦内ではすでに“帰還報告書”の草案がまとめられていた。

 

各部門ごとに内容は多岐に渡り──

外交面での意義、技術交換の可能性、BETAに対する戦術的考察。

だが、その全ての背後には「この世界は滅びつつある」という共通認識が横たわっていた。

 

レオノーレ・ヴァイス博士が端末を閉じ、低く呟いた。

 

「……見なければよかったと、思いたくなるほどの現実でしたね」

 

すると、シェンク准将が無言で席を立ち、モニターに投影された地球の荒廃した衛星写真を指差す。

 

「いや、まだ足りん。我々は“地球を知る”ために降りた。そして、“何を為せるか”を問うために戻る」

 

 

 

サイド3・ズム・シティ / 軍務局・特別会議室

 

帰還から三日後。

軍務局、政治局、技術局の高官らが集う非公開会議が、地下区画で開かれた。

 

メルカ少将が手元の映像資料を示しながら、低く語る。

 

「地球は……“荒廃した星”だ。

我々が知っていた地球とは似て非なる、破壊と崩壊の大地。

我々の居た世界の時代と照らし合わせると技術的な先進性は散見されたが、文明全体としては瀕死の状態にある」

 

ある政治局員が静かに反論する。

 

「つまり、関わるべきではないということか?」

 

保守派の代表──ダルシア・ハバロが、険しい目つきで口を開いた。

 

「地球は壊れている。

彼らは理解不能な重力兵器と思わしきものを使い、その正体も明かさない。補給も限界で、全てが統制不可能な状態。そんな相手と“連携”など、我がジオンの歩みを乱すだけだ」

 

場の空気が一瞬、張り詰める。

 

だがその瞬間、ギレン・ザビ総帥が口を開いた。

 

「ハバロ議員。力とは“存続”することではない。“導く”ことだ」

 

「……?」

 

ギレンは椅子に深く座ったまま、指先で机を叩きながら続けた。

 

「滅びの予兆に手を差し出すのは、力ある者の責務だ。

我々はただ生き延びるのではなく、文明そのものの再構築に関与すべきだと、私は考える」

 

「……それは、地球に肩入れしろと?」

 

「いや。彼らに依存するのではなく、彼らを観察し、導く。調停者の様な存在になるべきだ。その中でジオンの技術と理念が“正解たり得る”ことを証明すべきなのだ」

 

室内に重い沈黙が落ちる。

 

ギレンは一同の視線を集めたまま、モニターに転送された通信文を手で示した。

 

「香月夕呼博士からの公式書簡だ。

 ──“地球とジオンとの定期的な情報交換および技術連携会議の設置”を求める提案だそうだ」

 

一部の官僚が顔をしかめる。

 

だがギレンは、静かに口元を緩めるとこう言った。

 

「面白い。ならば、我々も“扉”を閉ざす理由はない」

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

 

ジオンと地球。

その距離はあまりに遠く、あまりに危うい。

 

だが、確かに“接点”は生まれた。

 

この星の荒廃と絶望に、手を差し伸べようとする者。

それを拒み、閉じこもろうとする者。

そして、その先に希望を見出そうとする者──

 

今、宇宙世紀とは別の並行世界の歯車が、ゆっくりと噛み合い始めていた。

 

それは、救済か、それとも侵略か──

未来を定める選択の時は、すでに始まっていた。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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