宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

41 / 70
【第37話】夜明けの感応

ナレーション(永井一郎)

宇宙世紀0079年6月18日

ルナツー。かつての連邦軍が築いた宇宙要塞にして、いまやジオンの最前線拠点。

 

その静かな一室で、月面進行以来“赤い彗星”と呼ばれた男は、深く瞑想に沈んでいた。

戦いの疲れでもなく、勝利の余韻でもない。

彼の精神は今、“何か”を探していた。

 

それはまだ形を持たぬ感覚。

しかし確かにそこにある、何か大きな変化の“予兆”だった──

 

 

 

ルナツー内部・士官専用居室

 

室内の照明は落とされ、唯一、壁際に置かれたキャンドル型の非常灯が、微かに揺らいでいる。

 

床に胡座かきシャア・アズナブルは、背筋を伸ばし、目を閉じていた。

深く、深く、呼吸を整え、己の精神を沈めていく。

 

月面進行以来、心の奥に燻っていた“違和感”。

戦場では異常とも言える勘が働き、危機の瞬間に“敵の動き”が見える──

 

(……あのときもそうだった。あの突撃級が飛びかかる直前、俺は……)

 

その思考の最中、静寂の中に、微かに──“声”が聞こえた。

 

……シャア……

 

(──!?)

 

目を開けた。だが、誰もいない。

 

(……今のは……)

 

鼓動がわずかに早まる。

 

ふたたび瞑想に入る。だが今度は、意識の奥で何かが“触れて”きた。

 

……あなたは……気づきはじめている……

 

(誰だ……? なぜ……聞こえる……?)

 

言葉では説明できない。

だが確かに、“誰か”がこちらに語りかけている。

 

それは音ではない。

理屈でも、視覚でもない。

 

感情の“色”。温度を帯びた“波”。

 

まるで……魂がささやくような、微かな感触。

 

……私は、あなたを……知っている……

 

(……やめろ……誰なんだ、お前は……)

 

返事は、返ってこなかった。

だが、その代わりに“別の存在”が混じる気配を、シャアは感じた。

 

それは、柔らかく、だが脆く……

まるで、記憶の底から湧き出した亡霊のように。

 

…いかないで……たすけて……ここから出して……

 

(……この声は……?)

 

一瞬だけ、ヴィジョンが脳裏に差し込む。

実験用カプセル。体に繋げれるケーブル。薄い青色の少女の叫び

 

(……あれは……知らない……だが、なぜ……苦しみが伝わる……?)

 

(……誰かが、彼女を……閉じ込めた……?)

 

シャアの手が、わずかに震える。

 

 

 

精神世界のイメージ

 

濃霧に包まれた虚無のような空間。

そこに、ふたつの“光”が浮かんでいる。

 

一つは、金色の光──ララァ・スン。

もう一つは、薄い青──マリオン・ウェルチ。

 

ララァは静かに、その光の向こうを見つめている。

 

「……彼は、まだ気づけない……でも、きっと……」

 

マリオンの意識の断片が、不安定に震えていた。

 

「……また……ここに……あなた、また来たのね……」

 

ララァはそれに向けて、祈るように手を伸ばす。

だが、二人の間にはまだ、超えられぬ“壁”があった。

 

「……届いて……あなたの魂に……」

 

 

 

ルナツー・シャアの自室

 

目を開けたシャアは、しばらく身動きができなかった。

 

額に、うっすらと汗。

手の平は、冷たく濡れている。

 

だが、その胸には確かに“何か”が残っていた。

 

……私を、見つけて……

 

もう声は聞こえなかった。

だが、シャアはそれを確かに“感じていた”。

 

(……誰だ、お前は。なぜ……俺に……)

 

彼はふと、手帳を開いてその日の日付に小さく書き込んだ。

 

(超能力的な精神感応なのか?あるいは……妄想か?)

 

静かに、照明が戻る。

 

それでも、シャア・アズナブルの思考は、もう戻らなかった。

彼はまだ知らない

その“声”が、彼の運命を大きく変えていくことを。

 

 

 

ナレーション(永井一郎風)

 

交わることのないはずだった魂が、いま、時空を超えて“触れ合った”。

 

それは偶然ではない。

運命でもない。

 

それは、戦争を超えた人類の“進化”の兆し。

 

まだ始まったばかりの“夜明けの感応”。

 

それが導くものは、希望か、絶望か──

今はまだ、誰にも分からない。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。