ナレーション(永井一郎)
異世界への転移から、半年。
ジオン公国は月の制圧を果たし、地球との接触に踏み出した。
だが、真の戦いは銃弾の届かぬ場所──
思想と信念が交差する、水面下にこそあった。
技術を渡すということは、力を与えるということ。
声が届くということは、魂が交わるということ。
そして──
そのすべては、未来を選び取る“者たち”の手に委ねられていた。
ズム・シティ/総帥私室
ズム・シティの夜は静かだ。市街地は眠りにつき、灯火すら遠ざかる深夜。だが、ジオン公国の中枢──ザビ家本邸地下にある総帥私室の明かりは、絶えることがない。
ギレン・ザビは執務机に座り、幾重にも重ねられた電子ファイルと紙資料を睨んでいた。ディスプレイには、地球降下視察団の報告、地球環境の衛星写真、そしてフラナガン機関からの最新レポートが並ぶ。
「……地表の生存域、全体の一割にも満たぬか。まさしく焦土だな……」
荒廃した大地と、壊れた都市。その片隅にわずかに残された人類の痕跡。それは彼にとって、同情でも哀れみでもない。冷徹な現実認識だった。
“この星は、もはや旧文明の残骸に過ぎん。だが、我らがもたらす技術と秩序があれば──”
ギレンの目が細まる。と、その時、重厚な扉が開き、二人の人物が入ってくる。
「遅くまでご苦労ですわ、兄上」
「ふむ、やはり起きてたか、兄貴」
キシリア・ザビとドズル・ザビ。共にザビ家の中枢を担う血族が、資料を手にして入室してきた。
「技術移転の件、検討は進んでいるのか?」
ギレンが低く問いかける。ドズルは頷き、指を一本上げた。
「先日、香月夕呼博士より、再度“正式な技術交流と共同作戦の打診”が届いた。視察団の働きもあって、信頼構築は進んでいる……だが──」
「渡す技術は選ばねばならない、というわけね」
キシリアが冷静に口を挟む。
ドズルは壁のディスプレイを操作し、3Dモデルを立ち上げた。そこにはルナツーで回収された、地球連邦軍の兵器設計群が表示されている。
「この“量産型ガンキャノン”。基本設計は古いが、構造が単純で防御力と火力に優れる。弾薬増量とビームコーティングの追加で、レーザー級の防御もできる陸戦支援兵器として再設計できる」
「……ガンタンクもあったな」
ドズルが頷く。
「こちらも重装甲、履帯式で安定性がある。120mmキャノンは射程距離200kmと驚異的だ。遠距離からの火力の連続投射には適している。問題は機動力だが……拠点防衛には十分だろう」
ギレンが目を向けたのは、次の立体モデル。巨大な艦体構造が浮かび上がる。
「ビッグトレー級陸上戦艦──ルナツーに保管されていた設計図だ。砲塔数と弾薬搭載量を強化すれば、地上戦の中核となり得る」
「砲塔数の多いヘヴィ・フォーク級陸上戦艦も……まだ検討する余地はある」
ドズルが唸るように言った。
「ただし、問題はドック設備。ア・バオア・クーの造船ドックは宇宙用に最適化されている。建造には時間がかかる」
「……建造は後でも良い」
ギレンは静かに言い切った。
「重要なのは、技術を誰に、どの順番で、どの意図で提供するか。まずはこちらが“誠意”を示す必要がある」
キシリアが組んだ腕を緩めて口を開く。
「……つまり、思想を輸出するのね。我らの“統制された秩序”を」
「その通りだ」
ギレンの声はぶれなかった。
「それに総力を上げて建造ドッグとMS生産設備を現地地球に作るつもりだ。連邦軍の“全自動統合設計機構(OMNIA-AUTO)”があるのでな。」
キシリアとドズルが、わずかに視線を交わす。
「ザクの武装バリエーションも、そろそろ見直しの時だ」
ドズルが提案する。
「……俺のような現場畑の人間でも、アイデアはいくらでもある。徹甲榴弾、拡散バズーカ、高火力スナイパー。必要なものは山ほどある。
兄貴、月面作戦で得た知見を反映させ、局地戦用装備の開発も推進すべきだ!」
ギレンは頷くと、短く言った。
「明日、技術局に再指示を出せ。“第二世代MS構想”、この時代に適応した新戦術体系の礎を築く」
それは単なる戦力増強ではない。
ジオンが、この“異世界”の覇者として認められるための第一歩だった。
フラナガン機関・第3観測室。
夜更け。照明は落とされ、モニターだけが淡く光を放っていた。
フラナガン博士は一人、ララァ・スンの精神共振データを繰り返し再生している。
「このパターン……従来のニュータイプ反応とは、まったく異なる」
データシートには、こう記されていた。
《観測不能領域における波動干渉:位相のズレ2.14/遡及反応あり》
「……“観測点を持たない情報干渉”……まるで、空間と時間の境界を滑るように……」
彼は記録映像の中のララァを見つめた。微笑みながら、彼女は“誰か”に手を差し伸べていた。
「ララァ……君は無意識に、それを守ろうとしているのか。鑑純夏──あの少女が内包する、“因果”とやらを」
映像を止め、彼は机の奥から一冊の資料ファイルを取り出す。
表紙に刻まれたタイトル──《Project ELNATH》。
「……ララァと同等の存在。もう一人、必要になるかもしれん」
その独り言は、誰にも聞かれることなく、電子記録の海へと消えていった。
フラナガン機関(リラクゼーションルーム)
ララァ・スンは、白い壁の部屋で、ひとり窓際に座っていた。
外は暗く、見えるのは、ただ虚空。
だが彼女の目は、その先にある“何か”を確かに見ていた。
「……あなたの声が、届いたの。初めて──はっきりと」
思い出すのは、あの言葉。
『……お前は、誰だ……なぜ、俺に語りかける……』
震えていた魂が、ようやく応えてくれた。
「でも、急がなくていい。私は、待つわ」
ララァは胸に手を当て、微笑む。
「彼が、自分の“道”を見つけるその時まで──私は、この籠の中で見守っている」
精神世界では、再びマリオンの気配が近づいてくる。
その輪郭はまだ曖昧だが、確かに、そこに“繋がり”は存在していた。
横浜基地、夕暮れ。
戦術機の再起動試験が終了し、オペレーターたちが片付けを進める中、香月夕呼は一人、モニターを見つめていた。
その横に立つのは、霞。
「……どう? あの“ララァ”という少女の解析は進んだ?」
副官のピアティフは肩をすくめる。
「まったくです。記録されてる接触時の波形は、サンプルにすらなりません。
まるで……観測した瞬間に“消える”数値です。あれは計測不可能な存在かと…」
霞が静かに頷く。
「でも……あの人、言ってた。純夏さんに“あなたの心は、私に届いてる”って」
香月は、ふっと目を伏せた。
「そう……だったわね。鑑純夏の意識が、あの時……確かに“何か”を返してた」
短く黙った後、香月はつぶやいた。
「……最終的に、この星の未来を決めるのは、力じゃない。“誰かの想い”よ」
赤く染まる西の空。
リアリストな科学者の彼女が、理屈ではなく信じようとした、“可能性”。
それは、ララァ・スンという少女が示した、無形の“つながり”に他ならなかった。
締めナレーション(永井一郎風)
声が届くということは、そこに魂があるということ。
意識が交差するその場所に、“未来”は芽吹いているのだ。
いまはまだ、誰も気づいていない。
だが、この静かなる“連鎖”こそが──
やがて人類の運命を、大きく変えていくことになるだろう。
それは、戦いの果てに芽吹くものではなく。
“理解”という名の、最も深い共鳴なのである。
連邦も途中で転移した方がいいかな?
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一部隊
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一個艦隊
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モブコロニー(生産性向上の為)
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サイド7(天パと親父込み)
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ジュピトリス(若いシロッコ込み)
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連邦なんて腐敗した奴らは要らん!