宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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マ・クベ個人的には好きなんよね。


【第57話】連鎖する対話

ナレーション(永井一郎)

時に西暦1973年4月19日──

異星起源種BETAを乗せた落着ユニットが、中国・新疆ウイグル自治区カシュガルに着陸した。

 

これは人類とBETAとの、最初にして最大の遭遇であった。

 

月面から地球への“跳躍”を伴い、BETAは地球へと侵攻を開始。

 

BETAは地球各地にハイブを構築し、その勢力圏を中東、さらにインド亜大陸へと広げていった。

 

その後数年で、東欧・中欧へと侵攻を拡大し、各国は混乱と恐怖に包まれていった。

 

そして1998年、BETAの大波は極東へ──日本列島にも、侵略の影が落ち始めた。

 

だが──そんな絶望の只中に、宇宙より訪れたもう一つの人類。"ジオン公国"

 

技術と信念、対話と戦略。

彼らは新たな秩序と希望を地球に持ち込もうとしていた。

 

今、人類の未来は“静かなる再編”を迎えつつある。

 

 

 

ズム・シティ政庁舎

舞台はズム・シティ中心部にある政庁舎の特設応接室。

深紅の絨毯に足音を忍ばせながら、マ・クベは外交資料を静かに読み込んでいた。

 

その指先がふと止まり、視線は部屋の壁へと逸れる。

飾られたタペストリー──中央アジア由来の古布であることは一目で見抜けた。

 

「……ウズベク織か。緯糸の並びに品はあるが、いささか粗雑だな。

 ああ、これがもし16世紀ペルシャ染めだったなら──……フフ、いけない。

 今は趣味の時ではない。キシリア閣下の言葉を思い出すのだ……」

 

彼は思考の中で、数日前、地球から帰還したキシリア・ザビの言葉を反芻する。

 

「地球の空気は濁っていた。人も、環境も、もはやかつての面影を留めてはいない……だが、執念深く生き残ろうとする意思だけは感じ取れたわ。

香月夕呼──あの女、侮れない。科学者の顔をしながら、その目には政治家すらも利用しようとする光もあった。

こちらが利用するなら慎重に。交渉においては、我らが一歩誤れば、主導権を持っていかれる可能性がある」

 

「なるほど……さすが閣下、慧眼であられる。理知に長け、腹も読める者となれば……まさに“外交向きの才”」

 

「相手の懐に入るのはあなたの役目よ、マ・クベ。

ただし、気を許しすぎて手玉に取られるようなことがあれば──そのときは……覚悟しておくことだな」

 

「……お戯れを。閣下の信頼に応えるのが私の本分。ご期待には応えてみせましょう」

 

現在へ戻る

キシリアの冷静な洞察を胸に、マ・クベはゆっくりと端末に手を伸ばす。

彼の前に並ぶのは、地球圏を構成する各陣営──

その一つひとつが、今や“新たな秩序”を前に揺れているのだった。

 

 

 

国連/日本政府

国連と日本政府の橋渡しを受け、ジオンは複数の陣営と水面下での通信交渉を開始した。

 

交渉先は以下の4つの連合勢力:

・欧州連合

・中東連合

・アフリカ連合

・大東亜連合

 

いずれの勢力も、「鉄原間引き作戦」におけるモビルスーツの電撃展開、戦術機との連携による被害最小化の成功を目の当たりにしていた。

 

その軍事力と技術力が、単なる“宇宙文明の幻想”ではなく、現実の力であると証明された今、各国はジオンとの提携に明確な関心を寄せ始めていた。

 

 

 

一方で、ジオンとの直接対話がなされていないアメリカ合衆国、統一中華戦線、ソヴィエト連邦は動揺を隠せなかった。

 

情報源はすべて国連経由。

ジオンが自分たちを外し、他の国々と密かに連絡を取り始めている──その冷徹な現実。

そして、「鉄原間引き」での戦果に、彼らは明確な脅威を感じていた。

 

米国国防委員会・上層部

「……ジオンはなぜ我々を避ける? 技術だけでなく、外交でも包囲されつつあるのか?」

 

統一中華戦線・幕僚代表

「このままでは、アジアの主導権が帝国と大東亜連合とジオンに奪われる……!」

 

ソ連外政委員会

「……地球の主導権が、宇宙から来た異邦者に握られるなど──許容できん!」

 

焦りに駆られ、各国が国連を介してジオンにコンタクトを試みるが──

ジオンからの返答は、一切なし。完全な黙殺。

 

まさに“梨の礫(なしのつぶて)”──その沈黙が、3カ国をさらに焦らせた。

 

 

 

マ・クベは、各国に対してジオンからの支援が“無償の恩恵”ではないことを明確に示す。

だが、その語り口はあくまで冷静かつ理性的であった。

 

提示した交換条件は次の通り:

・地球固有のレアアース等の希少土壌

・宇宙では育成困難な動植物個体(野生種や家畜、穀物・薬草等)

 

これらはすべて、農業・牧畜コロニーでの試験栽培・育種研究の素材として必要であると説明。

 

マ・クベ

「……おわかりでしょう。国連によって可決されたこれらの物資は、我々が“欲している”のではなく、“支援を継続可能にする”ために必要な要素なのです。

……地球圏に眠る素材と、我々の技術が融合すれば人類はより“自然に近い”生態系すら宇宙に再現できるかもしれません。

もちろん、それはあなた方の未来にも繋がる。実に……有意義な協力関係だとは思いませんか?

……とはいえ、未だに反発を続ける国もあるようで。実に──滑稽ですな」

 

この提案に対し、各国首脳部は「植民地的搾取」ではなく「共創」として受け止め始めていた。

 

 

 

外交の進展は、各国の軍内部にも波紋を広げていた。

 

・戦術機では歯が立たなかったBETAに、ジオンのMSが圧倒的効果を発揮したこと

・戦術機パイロットの犠牲を劇的に抑える戦術運用

 

これらの事実が、“協力こそが生存への最短ルート”であるという認識を生み始めていた。

 

ある中東連合軍幹部はこう呟く。

 

「……これは我々がかつて支配されていた欧米列強の“侵略”ではない。“支配”ですらない……だが、いつしか気づけば──我々は、彼らなしには戦えなくなっているのだろう。

それが……本物の支配だというのかもしれん」

 

 

 

ズム・シティ司令本部

玉座のような高座に腰かけたギレン・ザビが、

世界の情報と外交の進展状況を確認しながら、誰にともなく呟く。

 

「ふむ……各国の軍が、ジオンとの協力に道を開き始めたか…。順調だな。

力ではなく、自ら信頼と成果で世界を導く。……やがてこの世界は、ジオンを中心にして“再編”されるだろう。

我々は連邦とは違うやり方で──人類の舵を取っていくのだ!」

 

その瞳は、既に戦争の先──人類の未来の覇者たる構図を描いていた。

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

対話は、銃声よりも静かに人を動かす。

欲望ではなく理で誘い、支配ではなく共存で縛る。

 

ジオンの掲げる“未来”に、世界はすでに、抗えぬほど惹かれ始めていた。

 

たとえそれが、やがて訪れる“地球再編”という激動の、ほんの序章にすぎなかったとしても──。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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