宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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生産系ばかりで退屈だと思いますがご容赦を(汗)
こうゆう設定考えるのが好きなので…。


【第60話】命の輸出

ナレーション(永井一郎)

宇宙で芽吹いた作物が、地球の命をつなぐ糧となる。

 

武力によらぬ支援──それは、ジオンが地球に差し出す最初の実利的手札であった。

 

交戦の火種を孕む中で始まったこの計画は、ある意味で“第二の前線”とも言えた。

 

そして今、食料という名の補給線が、宇宙と地球を結び始めようとしている──

 

 

 

サイド3・農業用コロニー《アグリ=アリア》 屯倉管理区画

 

巨大な真空シェルターの中、整然と並ぶ保冷コンテナ群。

それらの中には、環境制御ユニット《デメテル》で育成された農産物──エデン株を母体とした穀物や果実が、慎重に積み込まれていた。

 

作業員たちは、ノーマルスーツを着用して各便の積載状況をモニタリングしながら、次々と識別コードを読み込ませていく。

 

「輸送ラインA-3、冷却ユニット安定確認。微生物反応も問題なし」

 

「積載完了。これより第一便、《パプア級・リューネブルグ》へ搭載開始」

 

責任者である農業開発庁・ヘルムート准将は、物流データと環境測定値を交互に確認しながら頷いた。

 

「ようやく……我々の“成果”が地球へ届く。これで、わが国が武力以外でも貢献できる道が開けた訳だ…」

 

この第一便の輸送は、日本政府との協議を経て、西日本地方の農業支援基地へとテストケースとして送られることが決定していた。

 

輸送便には、栽培手順マニュアルと現地向け教育キットも同梱されており、受け取る側の自立運用を想定していた

 

作物の内容は、エデン系麦類、栄養強化果実、発酵加工済み保存食料など約24品目。すべてがコロニー農場での実証栽培を経た安全品である。

 

 

 

コロニー研究センター 食料加工技術部門

 

その頃、別の開発ラインでは、合成食材プロジェクトの中核である栄養藻類《アムルタ・クロレラ》の実用加工工程が進められていた。

 

直径3メートルのバイオリアクター内では、濃緑色の藻体が絶えず循環し、光と養分を取り込みながら増殖を続けている。

 

「これは通常のクロレラとは根本的に異なるんです。ゲノム配列に偶然見つけた変異を入れることで、光合成効率と窒素固定能力を強化しています。結果、24時間で質量が平均17倍に増殖可能に」

 

解説するのは、開発主任のエリック・ゾルゲ博士。彼は、ジオン生物工学研究局における食品バイオマス研究の第一人者である。

 

「得られた藻体バイオマスは、まず水分調整処理を経て、乳酸菌群との混合発酵に移行します。

この工程で生じる有機酸が雑菌の繁殖を防ぎつつ、旨味や芳香成分が生成されます。

次に、熱分解反応によって細胞壁の剥離・消化性向上を促し、最後に酵素処理で食感を調整します」

 

博士の背後では、試作ラインの職員たちがゼリー状、乾燥粉末、肉に似せた繊維構造を持つ高タンパク合成食品など複数のサンプルをパッキングしていた。

 

「これにより、味・匂い・食感を段階的にコントロールでき、単なる“非常食”ではなく、一般家庭での常食にも耐え得る合成食材に仕上がるわけです」

 

「先生、この工程、本当に3日で発酵が終わるんですか?」

 

「温度と菌種の調整さえ間違えなければな。だが問題は風味だ。まだ味が淡白すぎる──酵素処理の工程で少し調整が必要だな」

 

また、並行して開発された"現地用培養ユニット《アムルタ・キット》"は、以下のような特徴を持つ:

・内蔵式LED照射ユニットによる光合成最適化

・小型発酵モジュール(1週間単位で生成)

・自動pH・温度制御システム

・メンテナンス頻度は週1回程度

・重量25kg、家庭用冷蔵庫サイズ

 

このユニットは現地に送られれば、電力と養分液さえ確保すれば3日で初回収穫が可能であり、飢餓地域における即応支援資源として注目されていた。

 

 

 

サイド3・外務局長官執務室(通信会談中)

 

「……これが、ジオンが地球へ送る“最初の贈り物”ですか」

 

通信越しにそう語るのは、国連農業開発部門を代表する担当官、ベランジェ中佐だった。映像越しのその目は真剣で、目の前の輸送協定の最終草案に視線を落とす。

 

「単なる物資供与ではなく。“再生可能な食糧インフラ”──それが、この計画の本質です」

 

ジオン外務局長は画面越しにうなずき、静かに言葉を重ねた。

 

「我々は貴国に食糧を“恵む”つもりはありません。あくまで自立と共存の礎を築く支援です。

そして我々も地球から多くを学ばせていただく所存です」

 

ベランジェは映像越しに頷きながら、衛星画像に映る農業コロニーの模型図を見つめた。

 

「ならば、この輸送は単なる物流ではなく──両者の信頼の第一歩となるでしょう」

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

鉄と炎の時代に咲いた、命の種。

ジオンが示したのは、征服でも献上でもない、“共に食卓を囲む未来”だった。

 

食糧。それは最も古く、最も確かな交渉の証。

 

そしてそれは、銃よりも強く、旗よりも重い、“共生の契約”となり得る。

 

飢える地上に向け、宇宙から届く最初の命──

人類の歴史に、穏やかな革新が、いま始まろうとしていた。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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