ズム・シティの朝は、いつもより静かだった。
駅前広場には、マハルの名が刻まれた小さな慰霊碑が仮設されており、その前に人々が列をなしていた。花束、ロウソク、小さな人形──誰かの手によって、ひとつずつ丁寧に捧げられている。
老婦人が一輪の白い花を手向け、静かに目を閉じた。
その隣で、幼い孫がぽつりと尋ねた。
「おばあちゃん、マハルってこわいところだったの?」
「……いいえ。とっても、にぎやかで、優しい人がたくさんいたのよ」
震える声に、涙が混じる。
「もう二度と、こんなことが起きませんように──」
コロニーに差す人工太陽の光が、献花台の上で揺れる蝋燭を照らしていた。
――整備区画・午前10時
ザクⅡの脚部装甲が、慎重に運び込まれていた。モノアイユニットの整備が終わったばかりの機体が、ゆっくりと格納ラックへと戻されていく。
工具を持つ整備兵たちは無言だった。
「……昨日、配備された2機、もう廃棄だってよ」
「マハルの奴か?」
「うん。帰ってきたけど、コックピットの中は……そのまま」
誰も次の言葉を継げなかった。
中年整備兵がそっとタオルを使い強酸で焼けた装甲を拭きながら、ぽつりと呟く。
「この世界に転移して戦争なんてもうやらなくていいと思ってたよ。地球連邦とやるだけでも嫌だったのに、こんな……化け物と戦うなんてな」
若い整備兵が、その横で唇を噛みしめる。
「でも、俺たちがやるしかないんだろ?次は、俺たちの街かもしれない」
遠くでサイレンが鳴った。だがそれは空襲警報ではなく、演説の予告を知らせる信号だった。
――兵舎・食堂
若い兵士たちが、黙々と朝食を口にしている。味噌汁とパンという奇妙な組み合わせにも、誰も文句を言わなかった。
「……もしさ、次が自分だったらって考えるよな」
「何言ってんだ。全員そうだよ。あいつら、人間を殺すためだけに生きてるんだ。人間を食うんだぜ」
「俺たちのザクで、本当に勝てるのかな……」
そんな声が、ボソリと漏れる。
そこに、壁のスピーカーから重々しい音声が響いた。
◆ギレン・ザビの演説
「ジオンの民よ、聞け!
我々は見た──マハルにおける惨劇を。
あの日、我々の同胞は無力にも蹂躙され、命を奪われた。
それは、地球連邦ではない!
それは、我々を奴隷の様に扱った宿敵ではない!
人の言葉も持たぬ、理解も交渉も通じぬ、真に恐るべき敵──BETAだ!
我々は、決して忘れない!
奴らがもたらした恐怖と絶望、そして血に染まった子らの亡骸を!
だがジオンの民よ! 我々は嘆くためにここに居るのではない!
奪われたならば、奪い返せばよい!
傷ついたならば、牙を研げばよい!
今こそ立ち上がる時だ!
怪物に、死を与えよ! 恐怖に、報復を与えよ!
これは復讐ではない──人類とBETAの生存競争である!
わがジオンは、この全宇宙の未来を護るため、月面へと進軍する!
国民よ!悲しみを怒りにかえて、立てよ!国民
我らジオン国国民こそ選ばれた民であることを 忘れないでほしいのだ。
優良種たる我らこそ人類を救い得るのである。
ジーク・ジオン!」
――街のあちこちで起こる小さな“決意”
◆広場の片隅、パン屋の青年が拳を握る。
「……やるんだな、とうとう」
◆工場の休憩所、女性作業員が立ち上がる。
「私、後方支援部隊に志願する。逃げるのはもう、やめる」
◆整備ドック、若い整備兵が仲間に告げる。
「前線行きの志願、出してくる」
「おい、お前……!」
「いいんだ。兄貴も、マハルにいた。俺は、俺のやることをやる」
◆兵舎内、演説を見終えた一人の新兵が立ち上がる。
「俺は、ジオンのためにじゃない、俺達人間のために……」
――参謀本部:キシリアとドズル
演説の終了とともに、司令部内では次なる作戦会議が始まっていた。
「一個師団規模のモビルスーツ部隊を月面へ投入予定。艦艇はムサイ級24隻とパプア級10隻を随伴」
「ミノフスキー粒子の散布は?」
「目標地点付近での試験データあり。ミノフスキー粒子によりBETAの動きに干渉を及ぼす模様です。我々のMS戦術には有利です」
キシリアが頷く。
ドズルが重々しく言った。
「いいか、これは“報復”ではない。“殲滅”だ。やるからには一撃で叩き潰すぞ!」
ナレーション(永井一郎)
U.C.0079年1月3日。
それは、かつて地球連邦とジオン公国が開戦した“史実”の始まりの日であった。
だがこの世界では違う──
ジオンが、人類を守るためにBETAという決して相容れぬ怪物に立ち向かった“開戦の日”であった。
連邦も途中で転移した方がいいかな?
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一部隊
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一個艦隊
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モブコロニー(生産性向上の為)
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サイド7(天パと親父込み)
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ジュピトリス(若いシロッコ込み)
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連邦なんて腐敗した奴らは要らん!