宇宙世紀マブラヴ   作:vault101のアルチョム

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【第6話】開戦の日

ズム・シティの朝は、いつもより静かだった。

 

駅前広場には、マハルの名が刻まれた小さな慰霊碑が仮設されており、その前に人々が列をなしていた。花束、ロウソク、小さな人形──誰かの手によって、ひとつずつ丁寧に捧げられている。

 

老婦人が一輪の白い花を手向け、静かに目を閉じた。

その隣で、幼い孫がぽつりと尋ねた。

 

「おばあちゃん、マハルってこわいところだったの?」

 

「……いいえ。とっても、にぎやかで、優しい人がたくさんいたのよ」

 

震える声に、涙が混じる。

 

「もう二度と、こんなことが起きませんように──」

 

コロニーに差す人工太陽の光が、献花台の上で揺れる蝋燭を照らしていた。

 

 

 

――整備区画・午前10時

 

ザクⅡの脚部装甲が、慎重に運び込まれていた。モノアイユニットの整備が終わったばかりの機体が、ゆっくりと格納ラックへと戻されていく。

 

工具を持つ整備兵たちは無言だった。

 

「……昨日、配備された2機、もう廃棄だってよ」

 

「マハルの奴か?」

 

「うん。帰ってきたけど、コックピットの中は……そのまま」

 

誰も次の言葉を継げなかった。

 

中年整備兵がそっとタオルを使い強酸で焼けた装甲を拭きながら、ぽつりと呟く。

 

「この世界に転移して戦争なんてもうやらなくていいと思ってたよ。地球連邦とやるだけでも嫌だったのに、こんな……化け物と戦うなんてな」

 

若い整備兵が、その横で唇を噛みしめる。

 

「でも、俺たちがやるしかないんだろ?次は、俺たちの街かもしれない」

 

遠くでサイレンが鳴った。だがそれは空襲警報ではなく、演説の予告を知らせる信号だった。

 

 

 

――兵舎・食堂

 

若い兵士たちが、黙々と朝食を口にしている。味噌汁とパンという奇妙な組み合わせにも、誰も文句を言わなかった。

 

「……もしさ、次が自分だったらって考えるよな」

 

「何言ってんだ。全員そうだよ。あいつら、人間を殺すためだけに生きてるんだ。人間を食うんだぜ」

 

「俺たちのザクで、本当に勝てるのかな……」

 

そんな声が、ボソリと漏れる。

 

そこに、壁のスピーカーから重々しい音声が響いた。

 

◆ギレン・ザビの演説

「ジオンの民よ、聞け!

 

我々は見た──マハルにおける惨劇を。

あの日、我々の同胞は無力にも蹂躙され、命を奪われた。

 

それは、地球連邦ではない!

それは、我々を奴隷の様に扱った宿敵ではない!

 

人の言葉も持たぬ、理解も交渉も通じぬ、真に恐るべき敵──BETAだ!

 

我々は、決して忘れない!

奴らがもたらした恐怖と絶望、そして血に染まった子らの亡骸を!

 

だがジオンの民よ! 我々は嘆くためにここに居るのではない!

奪われたならば、奪い返せばよい!

傷ついたならば、牙を研げばよい!

 

今こそ立ち上がる時だ!

怪物に、死を与えよ! 恐怖に、報復を与えよ!

これは復讐ではない──人類とBETAの生存競争である!

 

わがジオンは、この全宇宙の未来を護るため、月面へと進軍する!

 

国民よ!悲しみを怒りにかえて、立てよ!国民

我らジオン国国民こそ選ばれた民であることを 忘れないでほしいのだ。

優良種たる我らこそ人類を救い得るのである。

 

ジーク・ジオン!」

 

 

――街のあちこちで起こる小さな“決意”

 

◆広場の片隅、パン屋の青年が拳を握る。

 

「……やるんだな、とうとう」

 

◆工場の休憩所、女性作業員が立ち上がる。

 

「私、後方支援部隊に志願する。逃げるのはもう、やめる」

 

◆整備ドック、若い整備兵が仲間に告げる。

 

「前線行きの志願、出してくる」

 

「おい、お前……!」

 

「いいんだ。兄貴も、マハルにいた。俺は、俺のやることをやる」

 

◆兵舎内、演説を見終えた一人の新兵が立ち上がる。

 

「俺は、ジオンのためにじゃない、俺達人間のために……」

 

 

 

――参謀本部:キシリアとドズル

 

演説の終了とともに、司令部内では次なる作戦会議が始まっていた。

 

「一個師団規模のモビルスーツ部隊を月面へ投入予定。艦艇はムサイ級24隻とパプア級10隻を随伴」

 

「ミノフスキー粒子の散布は?」

 

「目標地点付近での試験データあり。ミノフスキー粒子によりBETAの動きに干渉を及ぼす模様です。我々のMS戦術には有利です」

 

キシリアが頷く。

ドズルが重々しく言った。

 

「いいか、これは“報復”ではない。“殲滅”だ。やるからには一撃で叩き潰すぞ!」

 

 

 

ナレーション(永井一郎)

U.C.0079年1月3日。

それは、かつて地球連邦とジオン公国が開戦した“史実”の始まりの日であった。

 

だがこの世界では違う──

ジオンが、人類を守るためにBETAという決して相容れぬ怪物に立ち向かった“開戦の日”であった。

連邦も途中で転移した方がいいかな?

  • 一部隊
  • 一個艦隊
  • モブコロニー(生産性向上の為)
  • サイド7(天パと親父込み)
  • ジュピトリス(若いシロッコ込み)
  • 連邦なんて腐敗した奴らは要らん!
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