第1話「帰還、そして閃の剣聖」
「エルザが……帰ってきたぞーーーーっ!!」
ギルド内に響く誰かの声。それを皮切りに、空気が一変した。
重たい扉がきしみを上げて開かれ――そこに立っていたのは、赤い髪の女剣士。
金属の鎧に身を包み、鋭くもどこか気品ある視線を投げる彼女は、まさに“騎士”そのものだった。
「なっ……あれが……」
ルーシィが呆然と見つめていると、カウンターの奥から歩み寄ってきたのはミラジェーンだった。
「ふふ、驚いた? あの人が《妖精女王(ティターニア)》エルザ。ギルドでも屈指の実力者で、S級魔導士のひとりよ」
「S級魔導士……?」
「うん。ギルドの中でも特に強くて、難しい依頼をこなせる限られた人たち。……で、今日はね――」
ミラが微笑んだその瞬間、さらにもう一つ、どよめきがギルドを包んだ。
「リィンも……帰ってきたぞ!!」
「マジかよ、久々だな……」
「やっと戻ってきたのか……」
ギルドの扉が再び開く。
白のロングコートに身を包み、腰に一振りの刀を携えた黒髪の青年が現れた。
剣士でありながら、炎の滅竜魔法をも操る――
“炎の滅竜剣魔導士”
「リィン? ……って誰ですか?」
ルーシィがぽかんとした顔で尋ねると、ミラが少し嬉しそうに説明してくれた。
「リィン君はね、私たちのギルドに所属するもう一人のS級魔導士よ。
魔法は《滅竜剣魔法》。炎の滅竜魔法と剣術を組み合わせた、ちょっと珍しいスタイルなの」
「剣術と……炎の滅竜魔法!? ナツ以外にも滅竜魔導士っていたの!?」
「ふふっ。ナツとはちょっと違うけれど、同じように“ドラゴン”の力に関わる存在。
閃の剣聖とも呼ばれているわ。」
「閃の剣聖……」
ルーシィは思わずリィンの背中を見つめた。ナツとはまた違う、落ち着いた雰囲気。だがその立ち姿には、凛とした威圧感があった。
その時、ナツがリィンのもとに走り……
「リィン!俺と勝負だぁ!!」
炎を纏った拳をリィンに放ったが、
「勝負はまた今度な」
軽くかわし、手刀でナツの意識を刈り取った
「ナ、ナツが一撃!?」
「はっ、だっせぇなクソ炎」
その時、グレイがリィンのもとに歩み寄り、静かに拳を突き出した。
「久しぶりだな、リィン」
「ああ、久しぶりだなグレイ。前と比べて魔力は上がってるが、
相変わらず脱ぎ癖治らないんだな……」
「うぉ!いつの間に!!」
ミラがルーシィの横で小さく笑った。
「ね? 彼はフェアリーテイルではかなり落ち着いてる子だけど……本当に、仲間想いなのよ」
「……なんか、すごく“信頼されてる”って感じがします」
「エルザもね、彼には一目置いてるの」
ちょうどその時、エルザがリィンにだけ目線を送り、小さく頷いた。
「リィン。明日、私に同行してもらう依頼がある」
「わかった。詳細は後ほどかな?」
「そうだ。ナツ、グレイもだ。明朝には出発する。準備しておけ」
「へぇ〜。リィンと任務一緒か、楽しみだなー!」
ナツがにやりと笑いながら、リィンの肩を軽く叩いた。
「って!いつの間にか復活してるし!」
リィンは苦笑しつつも、その手を払いのけることはなかった。
――こうして、“閃の剣聖”と呼ばれる青年の帰還は、ギルドに新たな風を運び込んだ。
その力が、これからどんな場面で発揮されるのか。
ルーシィの胸は、期待と少しの不安でいっぱいだった。
閃の軌跡とフェアリーテイルが好きなので思わず執筆しちゃいました。