妖精の軌跡   作:あんきも00

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第2話「炎と剣、そして歪な依頼」

――それは数日前のことだった。

 エルザは一人、任務の帰りに立ち寄った小さな村で、居酒屋の片隅に腰を下ろしていた。

 その時、隣のテーブルからこんな言葉が耳に入った。

 

 

 「ったく!酒がおせぇよ!」

 

 「そうカッカするな」

 

 「これがイライラせずにいられるかよ!せっかく見つけたララバイ!封印が解けやしねぇ!」

 

 「バカ!声でけぇよ」

 

 「くそがっ!!!」

 

 「あの封印は人数がいれば解けるものじゃない。エリゴールさんに伝えといてよ。

 必ずララバイを持って帰るって……」

 

 

 (……エリゴール。確か鉄の森の……)

 

 その場では聞き流すふりをしたが、エルザの目が鋭く細められた。

 “鉄の森(アイゼンヴァルト)”――かつてギルド本部でも問題視された闇ギルドのひとつ。

 中でも“エリゴール”と呼ばれる男は、暗殺系の依頼を多くこなしておりと狡猾さ戦闘を併せ持つ危険な存在だ。

 

 

 ――ギルドへ戻ったエルザは、即座に対応を決めた。

 

 

 ララバイ。そしてエリゴールの名。鉄の森の活動が噂される地点――

 これらの断片を繋ぎ合わせた結果、一つの依頼に目が留まった。

 

 “辺境の村に出現した魔獣の調査・討伐”

 

 内容だけ見れば平凡な依頼。だがその発生地は、鉄の森が過去に現れたとされる地域と一致していた。

 

 

 「この依頼……調べる価値がある」

 

 

 すぐさま仲間を選ぶ。ナツ、グレイ、そして――リィン・シュバルツァー。

 

 

 「俺でいいのか?」

 

 

 ギルドの片隅で話を聞いたリィンは、静かに目を細める。

 

 

 「ただの魔獣退治なら他にもいるだろう」

 

 「“ただ”ではない気がする。……不穏な匂いがする。お前には感じられないか?」

 

 「……そうだな。確かに、妙な胸騒ぎがする」

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 翌朝ギルド玄関前でナツ、グレイ、そしてルーシィが集まっていたが……

 

 

 「なんでお前といっしょに行かなきゃいけないんだよ氷野郎」

 

 「知らねぇよ。つーかこんな依頼俺1人で十分なんだよ」

 

 

 ナツとグレイはいつもの喧嘩していた。

 

 

 「あー!もう!喧嘩よしなさいよ!!」

 (なんであたしがこんな目に…泣)

 

 

 本当にそうである。

 

 

 「あれ?なんでルーシィいるの?」

 

 「ミラさんに頼まれたのよぉ。この2人必ず喧嘩するから止めてあげてって」

 

 「……止めてないし。」

 

 

 その時赤髪に鎧を着たエルザと、黒髪に白いコートを着たリィンが来た。

 

 

 「すまない少し遅れてしまった」

 

 「いや荷物多!!!!」

 

 

 なぜかエルザは大量の荷物を抱えて。

 

 

 「「キョウモナカヨクイッテミヨー!!」」

 

 「出たハッピー2号」

 

 「ん?、君は昨日ギルドにいたな」

 

 

 ルーシィはエルザとリィンにまだ挨拶していないことに気づき、改めて自己紹介をした。

 

 

 「新人のルーシィと言います。ミラさんの頼みで同行することになりました。

よろしくお願いします!」

 

 「私はエルザだ。よろしくな」

 

 「俺はリィンだ。よろしく頼むよ」

 

 「よろしくお願いします!エルザさん!リィンさん!」

 

 

こうして、4人+1匹――エルザ、ナツ、グレイ、ハッピー、リィンに加え、支援役としてルーシィも同行することとなった

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

――依頼場所に向かう道中――

 

 

ルーシィは昨日初めて見た“彼”――リィン・シュバルツァーの存在が、なぜか強く印象に残っていた。冷静で、どこか影を纏っているような雰囲気。でも、ナツやグレイと自然に言葉を交わすその姿からは、確かな信頼が伝わってくる。

 

ルーシィは意を決してリィンに話しかけた。

 

 

 「あの……リィンさんって、いつからフェアリーテイルに?」

 

 「“さん”はつけなくていい。俺はリィンで構わないよ」

 

 「あ、うん……リィン。昨日は、びっくりしちゃって……ナツと同じ“滅竜魔導士”って、聞いたから」

 

 「正確にはちょっと違うが……そうだな。ナツとは“ルーツ”が違う」

 

 

 リィンは歩きながら、淡々と説明する。

 

 

 「俺の魔法は《滅竜剣魔法》。“炎の滅竜魔法”と“剣術”を合わせたものだ。……ドラゴンから教わったわけではないが、その力を受け継いだ形だ」

 

 「ドラゴンから教わってないのに……滅竜魔法が使えるの?」

 

 「色々あってな。……でもそれは俺だけの話じゃない。ナツと同じように、“ドラゴンと関わった人間”だとだけ、思ってくれればいい」

 

 

 リィンはそれ以上を語らず、静かに前を見つめた。

 

 

 (……あ、やっぱりどこか影がある。けど……)

 

 「……うん。ありがとう、教えてくれて」

 

 

 ルーシィが笑いかけると、リィンも少しだけ口元を緩めた。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 依頼地の村に到着した彼らは、早速森に足を踏み入れた。

 

 

 「うぉおおお!! 俺のほうが多く倒すぞおおぉおお!」

 

 

 ナツがいきなり走り出し、炎を纏った拳で魔獣に突っ込む。

 

 

 「バカナツ!、突っ込みすぎだ!」

 

 

 グレイが氷の刃を放ちながら呆れた声を上げる。

 ルーシィは慌てて星霊の鍵を構え、後方支援の準備に入っていた。

 その中で、リィンは一歩後ろから戦況を見据えていた。

 

 

 「……この動き、やはり妙だな」

 

 

 群れで動く魔獣。統制されたような動き。

 

 

 「八葉一刀流・陸の型《緋空斬》」

 

 

 リィンの刀から迸る炎が、弧を描き、正確に敵の急所を貫いた。周囲の木々さえ一瞬たじろぐような熱量に、ナツも一瞬手を止める。

 

 

 「うぉ……まじかよ、一刀で……」

 

 「すごっ……ナツも凄いけど、リィンも別ベクトルで凄い……!」

 

 「いや、これは……やはり“操られている”可能性がある」

 

 

 リィンは地面に倒れた魔獣の痕跡を指でなぞり、残る魔力の流れを読んだ。

 

 

 「自然な個体じゃない。何者かが魔法で誘導してる」

 

 「つまり……誰かが裏にいるってことか」

 

 

 グレイも魔獣の身体を観察しながら眉をひそめた。

 

 

 「この依頼、偶然じゃない。あの噂の続きかもしれない……」

 

 

 エルザの目が鋭く細まった。

 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

 

 討伐を終えた後。村の掲示板の前に立ったエルザとリィンは、依頼書の認可印に目をやる。

 

 

 「……やはり、違う。正式な依頼印じゃない」

 

 「つまりこれは……偽の依頼」

 

 

 ギルドを偽り、彼らを誘導するように仕組まれた“何者か”の存在。

 その意図が分からぬまま、彼らは村の外れで“それ”を見つける。

 

 焦げた木製の板に、焼け残った文字――

 

 

 《鉄……の……》

 

 

 リィンがその痕跡を静かに見つめた。

 

 

 (やはり……鉄の森)

 

 

 ――脅威は既に動き始めていた。




原作と少し違う動きかもしれませんが、それでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
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