俺以外の奴が死ぬのはどうでもいいが、俺が死ぬのは絶対に嫌だ   作:最高司祭アドミニストレータ

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分かるよ隊長。作者も同じ気持ちだったから。


#16 敷かれたレールは地獄行き
絶望のディナー - (橘圭一 視点)


 都内の喧騒から、完全に切り離された静寂。港区の奥座敷にひっそりと佇むその料亭は、選ばれた人間だけが足を踏み入れることを許される聖域だった。手入れの行き届いた日本庭園には、夜の闇に沈む木々が微かな照明に照らし出され、幽玄な雰囲気を醸し出している。鹿威しがカコンと乾いた音を立て、静寂をより一層、際立たせていた。

 

 その最も奥にある、離れの個室。そこで橘圭一は、死を待つ囚人のような心持ちで正座していた。

 

 目の前には国宝級の職人が腕を振るった、最高級の懐石料理が並んでいる。旬の食材をふんだんに使い、器の一つ一つに至るまで芸術品のような美しさだ。だが、今の橘にとってそれは、無味乾燥な砂を噛むごとき代物だった。

 

 舌が麻痺しているのではない。心が死んでいるのだ。彼にとってこの食事会は、視察の成功を祝う祝宴などではない。断頭台へと続く階段を上る前の、最後の晩餐。処刑執行前の儀式に、他ならなかった。

 

 

「どうした圭一? 箸が進んでいないようだが」

 

 

 重厚な低音が静寂を破る。橘はビクリと肩を震わせ、恐る恐る顔を上げた。上座に座るのは父、橘厳一郎。警察組織の頂点に近い男であり、橘圭一の生殺与奪の権を握る絶対君主。彼はリラックスした様子で猪口を傾けている。その表情は普段の厳格な仮面を少しだけ外し、息子と差し向かいで酒を飲む父親の穏やかなものに見えるかもしれない。

 

 しかし橘には、その微笑みが死刑判決文を読み上げる裁判官の慈悲に見えて、仕方がなかった。

 

 

「い…いえ。あまりに美味しくて、噛み締めておりました」

「そうか。ここの料理長は腕がいい。お前のために、特に良い食材を用意させたんだ。遠慮せず食え」

「は…はい。いただきます」

 

 

 橘は震える手で箸を伸ばした。透き通るような、フグの刺身を口に運ぶ。本来なら、極上の旨みが口いっぱいに広がるはずだ。けれど今の彼が感じるのは、ゴムのような食感と喉を通る際の異物感だけだった。胃が痛い。キリキリと締め上げられるような痛みが、食事の味を完全に遮断している。帰りたい。今すぐ自分の部屋に帰って、ジャンクフードと胃薬を交互に貪り食いたい。…だが、そんな逃亡が許されるはずもなかった。

 

 厳一郎は上機嫌だった。彼の手酌で注がれた日本酒は琥珀色に輝き、芳醇な香りを漂わせている。彼は満足げに息をつくと、ゆっくりと語り始めた。

 

 

「今日の視察。実に見事だったぞ、圭一」

 

 

 その言葉が、橘の心臓を鋭利な刃物のように刺した。見事。あの地獄絵図を指して、父はこの言葉を使った。

 

 

「あの部隊の練度と規律。そして何より、お前への忠誠心。どれをとっても一級品だ。私が想像していたレベルを、遥かに超えていた」

 

 

 厳一郎の目は本気で感心している。そこには皮肉の色など微塵もない。純粋な称賛と息子への誇りが満ちている。それが、橘には何よりも恐ろしかった。父が見ている幻影と現実とのギャップが、あまりにも大きすぎる。その乖離が、いずれ破滅的な崩壊を招く未来しか見えない。

 

 

「黒澤隊員のあの射撃。あれはただの技術ではない。迷いなき精神の表れだ。彼女はお前を信じ切っているからこそ、あのような神業が出来るのだ」

(違います父さん。あれは信じているんじゃなくて、獲物を狙う目なんです。俺の背中越しに、俺を狙撃する隙を窺っていただけなんです)

 

 

 橘は内心で血を吐くようなツッコミを入れた。表面上は能面のように表情を殺し、「はい」と短く頷くことしか出来ない。

 

 

「赤城隊員の破壊力も凄まじいな。あれほどの力を持ちながら、決して暴走せずお前の指示一つで動く。猛獣を手懐けるとは、よく言ったものだ」

(手懐けてなんかいません。あれは猛獣がじゃれついてきているだけです。ただじゃれつかれただけで、俺の骨が折れる可能性があるというだけで。俺はいつ食い殺されるか怯える、か弱いウサギなんです)

 

 

 橘は刺身を飲み込むのに、多大な労力を要した。喉が、拒絶反応を起こしている。

 

 

「そして白石隊員だ。あのドローンの演出。あれには驚かされたよ。『祝橘家』とはな。あれほどの忠義を尽くす部下を持てて、お前は果報者だ」

(あれは忠義じゃありません。呪いです。公共の場でのマーキングです。デジタルタトゥーです。あいつは俺の個人情報を握っているんです。俺の検索履歴も銀行口座の暗証番号も全部知られているんです。あれは脅迫なんです! 雪乃のランジェリー姿が送られてきたんだぞ!? 谷間に俺がシャワー浴びてる写真が挟まってたんだ…興奮なんかするものか!! 俺以外が盗撮されてもどうでもいいが、俺を盗撮するなんてクソ喰らえ!!)

 

 

 橘の内心の絶叫は誰にも届かない。厳一郎は息子の沈黙を「謙虚さゆえの無言」と解釈し、さらに上機嫌に杯を重ねていく。

 

 

「それにしても、お前があれほどの人心掌握術を身につけているとはな。やはり血か。私の血が、お前の中で覚醒したというわけだ」

 

 

 父は嬉しそうに笑った。その笑顔が悪魔の哄笑に見える。血など関係ない。あるのは生存本能と事なかれ主義だけだ。生き残るために必死で嘘をつき、誤魔化し媚びを売ってきた結果がこのザマなのだ。

 

 

「圭一」

 

 

 不意に、厳一郎の声色が真剣なものに変わった。橘は背筋を凍らせて、父を見た。その瞳には強い光が宿っている。

 

 

 期待。

 信頼。

 そして重圧。

 

 

「ニーズヘッグの件。必ず成功させろ」

 

 

 その言葉は命令であり予言であり、そして呪いでもあった。

 

 

「この作戦はお前のキャリアにおける、最大の分岐点となる。これを成し遂げれば、お前の評価は、不動のものとなる。警視正への昇進も夢ではない。もっと上の、最年少での警視長。ゆくゆくは警視監。そして…」

 

 

 厳一郎は言葉を切り、猪口の中の酒を一気に飲み干した。

 

 

「私の後を継ぎ、この警察組織の頂点に立つことも、決して夢物語ではない」

 

 

 レール。橘には見えた。目の前に敷かれた鋼鉄のレールが。それは父が敷設し父が磨き上げた、輝かしいエリート街道。だが橘にとって、それは燃え盛る炎の上を走る、地獄への直通列車が走るレールだった。そのレールの先にあるのは、栄光のゴールではない。責任という名の十字架と、過労という名の拷問器具。そして、猛獣たちとの終わらない共同生活だ。

 

 頂点になど立ちたくない。責任を負いたくない。ただのんびりと窓際で、給料泥棒をしていたい。適当に仕事をして、適当に遊んで定年後は退職金で南の島で暮らしたい。それが橘圭一のささやかな夢だった。だが目の前の男はその夢を許さない。絶対に許さない。お前は私の息子なのだからなれと、強要してくる。

 

 

「…はい。肝に銘じます」

 

 

 橘の口から出たのは、魂の抜け落ちた空虚な肯定の言葉だけだった。拒絶すれば勘当。肯定すれば地獄。どちらを選んでも破滅しかないなら、先延ばしにするしかない。それが、橘の処世術。

 

 

「うむ。良い返事だ」

 

 

 厳一郎は満足げに頷いた。息子の目が死んでいることに、気づきもしない。彼にはそれが、「覚悟を決めた男の静かな瞳」に見えているのだ。高性能すぎる親バカフィルターは、時に残酷なまでに真実を歪める。

 

 

「頼もしい限りだ。お前とあの部隊なら、日本の治安は安泰だな」

(安泰なわけあるか! 俺の胃袋が崩壊寸前だ! あんたが敷いたレールの上を走らされる俺の身にもなってみろ! 脱線したい! 今すぐこのレールから脱線して全力で逃亡したい!)

 

 

 橘は心の中で泣き叫びながら、次の料理に箸を伸ばした。椀物だ。蓋を開けると、金箔が散らされた吸い物が現れる。その豪華さが、今の橘には虚しいだけだった。金箔の味もしないし、出汁の香りもしない。ただ温かいお湯を飲んでいるような感覚。

 

 父は語り続ける。警察組織の未来について。正義について。そして橘家の誇りについて。その言葉の一つ一つが鉛の塊となって、橘の肩にのしかかる。重い。息が出来ない。この部屋の酸素が薄くなっているような、錯觉に陥る。

 

 

「食べているか圭一。遠慮するな」

「は…はい。美味しいです。本当に」

 

 

 嘘だ。味がしない。砂だ。これは砂だ。橘は機械的に口を動かし、咀嚼し飲み込む。消化器官が悲鳴を上げているのが分かる。早く終わってくれ。頼むから解放してくれ。この拷問のような時間はいつまで続くのか。

 

 窓の外では、鹿威しがカコンと音を立てた。その音が、橘には自分の寿命が削られる音のように聞こえた。

 

 食事も終盤に差し掛かり、給仕の女性が温かいお茶と甘味を運んでくる。そのタイミングを見計らったかのように、父が口を開いた。厳格な表情がふと緩み、父親としての顔が覗く瞬間だ。

 

 

「圭一。敬語はやめろ」

 

 

 唐突な言葉に、橘の思考が一瞬停止した。箸を持つ手が、空中で凍りつく。

 

 

「ここは職場ではない。親子水入らずの席だ。昔のように話せ」

 

 

 父は猪口を置き、静かにそう告げた。それは提案ではなく、絶対君主からの命令だった。橘の背筋に、冷たいものが走る。敬語をやめろ。それは今の橘にとって、防弾チョッキを脱げと言われるに等しい恐怖だった。丁寧語という鎧で身を守り、距離を保つことで辛うじて平常心を維持していたのだ。それを剥ぎ取られ、素の自分でこの怪物と対峙しろというのか。

 

 

「あ…ああ。分かったよ…父さん」

 

 

 橘は喉に引っかかる違和感を無理やり飲み込み、ぎこちない笑みを浮かべた。声が震えないように、必死で腹に力を入れる。素に戻れと言われても、今の自分の中身は小心者のクズだ。それを父に見せるわけにはいかない。あくまで「成長し自信に満ちた息子」という虚像の演技プランを修正し、タメ口バージョンに書き換えなければならない。脳内CPUが悲鳴を上げている。

 

 父は満足げに頷いた。その仕草一つで、室内の空気が少しだけ緩和されたように感じる。だが、それは嵐の前の静けさに過ぎなかった。父が懐から、桐の箱を取り出したのだ。古めかしいが手入れの行き届いたその箱は、テーブルの上に重々しく置かれた。ゴトッという鈍い音が、橘の心臓を直接叩いたように響く。

 

 

「これを…お前にやろう」

 

 

 父が静かに告げた。橘の視線がその箱に釘付けになる。嫌な予感しかしない。箱の大きさからして拳銃ではないだろう。辞令書にしては厚みがある。ならば、中身は一体なんだ。

 

 

「開けてみろ」

 

 

 促され、橘は震える指先で箱の蓋に手をかけた。桐の箱特有の密閉された空気が抜ける感触。ゆっくりと蓋が開く。そこに収められていたのは、一つの腕時計だった。銀色に輝く、スイス製の最高級機械式時計。シンプルだが洗練されたデザインは、その輝きだけで一般的なサラリーマンの年収を軽く超える価値があることを、雄弁に物語っていた。

 

 パテック・フィ◯ップか、ヴァシュ○ン・コンスタ◯タンか。時計に詳しくない橘でも、そのロゴが放つ威圧感だけは理解できた。

 

 

「こ…これは…」

「私の愛用品だ。スイスの職人に特注で作らせた、世界に一本しかない」

 

 

 父の声には、隠しきれない誇らしさが滲んでいる。

 

 

「次長就任の祝いに、祖父から譲り受けたものだ。それを今、お前に譲る」

 

 

 継承。その言葉の意味を理解した瞬間、橘の胃が激しく収縮した。ただの高価なプレゼントではない。これは橘家の家督と権力の象徴だ。それを譲るということは。

 

 

「裏を見てみろ」

 

 

 父に言われるがまま、橘は時計を裏返した。磨き上げられたステンレスの裏蓋に、刻印が彫られている。その文字を読んだ瞬間、橘の目から光が消えた。呼吸が止まる。心臓が早鐘を打つどころか凍りついて動かなくなる。そこには英語の筆記体で、こう刻まれていた。

 

 

『To the future Deputy Commissioner General, from Father』

(未来の次長へ 父より)

 

 

 ガシャン。橘の頭の中で、檻の鍵が閉まる音がした。これはプレゼントではない。手錠だ。逃れられない鎖だ。しかも、未来永劫外すことの出来ない、呪いの装備だ。

 

 

(いらねえええええええええッ!!!)

 

 

 橘の魂が絶叫した。声には出せない悲痛な叫びが、脳内で木霊する。

 

 

(なんだよ『未来の次長へ』って! 気が早すぎるだろ!? 誰がなるか! い、いやね、確かに過去の俺はなりたい気持ちあったよ? でも…誰がそんな過労死確定のポジションになんか就くかよ! 俺の意思はどこにあるんだよ!? 俺は楽がしたいんだ! 責任なんて負いたくないんだ!)

 

 

 この時計を受け取るということは、その刻印された未来を受け入れるということだ。父が敷いたレールの上を脱線することなく走り続け、最終的には警察組織の頂点という名の処刑台に登ることを誓う、契約書にサインするようなものだ。拒否したい。全力で拒否したい。「父さん俺には荷が重すぎるよ」と言って、突き返したい。

 

 しかし目の前の父の顔を見て、橘は絶望した。厳一郎は少年のように目を輝かせ、息子の反応を待っている。「喜んでくれるはずだ」「感動しているはずだ」という疑いようのない、確信に満ちた瞳。その純粋な親心を無下にすればどうなるか。

 

 

 勘当。

 破滅。

 

 

 この場の空気が凍りつき物理的な制裁が飛んでくるかもしれない。

 

 

(これじゃあ、もう本当に…本当に逃げられないじゃないか…!!!)

 

 

 退路は断たれた。完全に塞がれた。橘は震える手で、その重すぎる時計を手に取った。ずしりとした重みが、掌に食い込む。それは物理的な重量以上の重さとなって、橘の全身を縛り付けた。これは鉛だ。希望を沈めるための、鉛の塊だ。

 

 橘は、必死に顔面の筋肉を動かした。引きつりそうになる口角を無理やり持ち上げ、目元を緩める。感動で言葉が出ない息子という役を、演じ切るために。

 

 

「あ、ありがとう。と、父さん」

 

 

 喉から絞り出した声は掠れていた。

 

 

「大切に…します」

 

 

 それが橘圭一の、精一杯の降伏宣言だった。父は満足げに頷き、「うむ」と短く応じた。彼には息子の顔が責任の重さを噛み締め、決意を新たにした男の顔に見えているのだ。恐るべき親バカフィルターの補正能力。真実はただ、絶望に打ちひしがれているだけだというのに。

 

 橘は左手首にその時計を巻いた。革のベルトが肌に吸い付く。カチリッという留め具の音が、手錠のロック音のように聞こえた。冷たい金属の感触が脈打つ血管の上に鎮座する。それはまるで、自分の脈拍が父に管理されているかのような錯覚を覚えさせた。

 

 もう逃げられない。この時計が時を刻む限り、橘圭一は「未来の次長」という呪縛から逃れることはできないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 

 

 長い長い食事が、ようやく終わった。料亭の玄関で、女将と仲居たちが深々と頭を下げている。その見送りを受けながら、橘と厳一郎は外に出た。夜風が熱を持った頬に冷たく当たる。最も橘の火照りは酔いによるものではなく、極限のストレスによるものだったが。

 

 黒塗りの高級車が、二台滑り込むように目の前に停まる。一台は父の車。もう一台は、橘を送るための車だ。

 

 

「ではな圭一。明日の業務に支障が出ないよう、早く休め」

 

 

 父は最後に短くそう告げると、車に乗り込んだ。ドアが閉まる直前、彼はこちらを見てニヤリと笑ったように見えた。「逃がさんぞ」と無言で告げているかのような笑み。車が静かに走り去っていく。赤いテールランプが夜の闇に吸い込まれて消えるまで、橘はその場から動けなかった。

 

 一人残された橘は、夜空を見上げた。東京の空は明るすぎて、星など見えない。あるのは、人工的な街の明かりと終わらない喧騒だけだ。

 

 ふと、左腕に目を落とす。街灯の光を受けて、スイス製の腕時計が鈍く銀色に光った。その輝きは美しく、そして冷酷だった。秒針がチチチチッと規則正しい音を立てて、時を刻んでいる。その音はさながら、地獄へのカウントダウンのようだった。もしくは、地獄行きの列車の車輪の音かもしれない。

 

 

「ハハ…」

 

 

 橘の口から乾いた笑いが漏れた。もう笑うしかなかった。部下たちは猛獣。父は絶対君主。そして自分は、その狭間で踊らされる道化師。この時計は囚人の識別標だと、橘は断言した。

 

 

(詰んだな…完全に)

 

 

 彼は悟った。自分が乗せられたレールは、もはや後戻りも脱線も許されない。途中下車できる駅など存在しない。終着駅は「死」か「精神の崩壊」か。あるいは、「次長という名の地獄の頂点」か。いずれにせよ、そこまでノンストップで走り続けるしかないのだ。ブレーキは壊れている。ハンドルは父が握っている。燃料は部下たちの狂信的な愛だ。これほど絶望的なドライブが、他にあるだろうか。

 

 

「参りました。お車にお乗りください」

 

 

 美しい女運転手がドアを開けて、恭しく頭を下げる。その丁寧な態度すら、今の橘には皮肉に思えた。自分は偉くなったわけではない。より高い牢獄へと、移送されるだけなのだ。

 

 橘は重い足取りで、車に乗り込んだ。ふかふかのシートに体を沈め、深く息を吐く。革の匂いが鼻につく。窓の外を流れる東京の景色が、色あせて見えた。左手首の時計が、微かな重みを主張し続ける。その重みを感じながら、橘圭一は静かに目を閉じた。彼の心の中には、ただ純粋な絶望と諦念だけが広がっていた。抵抗する気力すら削ぎ落とされた、完全なる敗北。

 

 

「ふふっ、お疲れ様です。今日も素敵だ…監禁してしまいたい

(嗚呼、神よ! 私が何をしたと言うのですか!)

 

 

 車は、夜の闇を切り裂いて走り出す。その先には、確定された地獄が口を開けて待っていた。




か、感想が欲しいな…チラチラ。
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