ギャンブル中毒者が挑む現代ダンジョン配信物   作:パラレル・ゲーマー

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第417話

【SeekerNet 掲示板 - 総合雑談スレ Part. 1882】

 

 1: 名無しのゲーマー

 スレ立て乙。

 さて、と。今日も推しの配信見ながら、まったり雑談でもしますか。

 

 155: 名無しのリフト周回マン

 …おい。

 …おい、お前ら。

 ちょっと待て。

 俺、今、ネファレム・リフトのランク20を、いつものパーティで周回してきたところだ。

 それで、なんか、変なもん落とした。

 おっ、なんかリフトボスが落とした。なにこれ?

 

 その、あまりにも純朴な、そしてどこまでも不穏な書き込み。

 それに、スレッドの空気が、わずかに変わった。

 

 156: 名無しのゲーマー

 

 155

 どうせまた、ちょっと珍しいMODが付いたレア装備だろ。

 見飽きたわ、そういうの。

 

 157: 名無しのリフト周回マン

 

 156

 違う!違うんだよ!

 アイテムじゃねえ!石ころだ!

 

 彼は、震える指で、その神々の遺産のスクリーンショットを、スレッドへと投下した。

 

 158: 名無しのリフト周回マン

 

 名前:

 絶望(ぜつぼう)せし(もの)残響(ざんきょう) (Echo of the Despairing)

 

 レアリティ: 伝説の宝石(Legendary Gem)

 

 効果:

 

 移動速度が低下している敵、または行動阻害効果を受けている敵に対する、あなたの全てのダメージが 10% 増加する。(ランクごとに+0.4% / ランク100で50%)

 

 この宝石は、指輪(Ring)または首輪(Amulet)のソケットにのみ、はめ込むことができる。

 

 同じ名前の伝説の宝石を複数装備しても、その効果は重複しない。

 

 ランク25ボーナス:

 

 15メートル以内にいる敵の移動速度を30%低下させるオーラを展開する。

 

 フレーバーテキスト:

 

 足掻けば足掻くほど、鎖は固く、闇は深くなる。

 我らの絶望は、お前の力となるだろう。

 お前が敵を討つたび、その亡骸の耳元で、我らが最後の嘆きが、静かに木霊するのだ。

 

 静寂。

 数秒間の、絶対的な沈黙。

 スレッドの、全ての時間が止まったかのような錯覚。

 そして、その静寂を破ったのは、一人の、あまりにも素直な、そしてこのスレッドの全ての住人の心を代弁するかのような、一言だった。

 

 165: 名無しのゲーマー

 …は?

 

 その一言が、引き金となった。

 スレッドは、爆発した。

 

『なんだこれ!?』

『伝説の宝石!?新しいレアリティか!?』

『フレーバーテキスト、かっこよすぎだろ!』

『いや、それより効果を見ろ!効果を!ダメージ50%増加!?ランク100で!?』

 

 その混乱の渦の中で、一つの、あまりにも重要な情報が、別のユーザーによってもたらされた。

 

 172: 名無しのA級(お忍び)

 …おい、待て。

 ソケットにはめ込む…だと?

 これ、スキルジェムじゃなくて、装備に直接付けるタイプの宝石か?

 ルーンとは、違うのか…?

 

 その、あまりにも的確な指摘。

 それに、スレッドの空気は、新たな謎に、その頭を悩ませ始めた。

 そして、その混沌の中心へと。

 この世界の、理を知り尽くした、賢者たちが、降臨した。

 

 255: ハクスラ廃人

 …おいおいおいおい、待て待て待て待て。

 なんだよ、これ…。

 伝説の宝石だと?

 聞いたこともねえぞ。

 だが、この効果。ヤバいどころの騒ぎじゃねえぞ。

 ダメージ50% moreだぞ?それも、条件付きとはいえ、ほぼ常時発動じゃねえか。

 ランク25のボーナスも、イカれてる。移動速度低下オーラだと?

 これ一つで、ビルドの根幹が、ひっくり返るぞ。

 

 261: 元ギルドマン@戦士一筋

 うむ。

 ハクスラ廃人の言う通りだ。

 これは、革命だ。

 これまでの我々のビルド構築は、「いかにして限られた装備スロットの中で、火力と耐久を両立させるか」というパズルだった。

 だが、この宝石は、その前提そのものを破壊する。

 指輪か、首輪。その、たった一つのソケットで、これほどの火力を得られるというのなら。

 他の部位の装備を、全て耐久に回すことができる。

 あるいは、その逆も然り。

 ビルドの、自由度が、爆発する。

 

 268: ベテランシーカ―

 ええ。

 そして、何よりも重要なのは、これが「育成可能」であるという点です。

 ランク100。

 その、あまりにも遠い頂き。

 これは、我々探索者に、新たな、そして終わりなき「目標」を与えるための、神々からの、新たな挑戦状なのかもしれません。

 

 その、あまりにも壮大で、そしてどこまでも美しい、専門家たちの分析。

 それに、スレッドは、本当の意味での「爆発」を起こした。

 もはや、それは賞賛ではない。

 一つの、世界の理そのものが、根底から覆された瞬間への、畏敬の念だった。

 そして、その熱狂の、まさにその中心で。

 あの、最初の発見者であるB級タンクが、一つの、あまりにも人間的な、そしてどこまでも切実な「問い」を、投げかけた。

 

 311: 名無しのリフト周回マン

 …いや、すごいのは分かった。

 すごいのは、よーく分かったが…。

 で、これ、どうすりゃいいんだ?

 俺、今、パーティメンバーとゲートの前で、これ見ながら固まってるんだが。

 

 その、あまりにも素朴な、そしてどこまでも当事者意識に満ちた一言。

 それが、引き金となった。

 スレッドは、もはやお祭り騒ぎではない。

 一つの、巨大な実験の、観測室と化していた。

 

『人柱だ!』

『そうだ!お前が、やるんだよ!』

『世界の、最初の目撃者になれ!』

 

 その、あまりにも無責任な、しかしどこまでも熱狂的な声援。

 それに、B級タンクは、観念したように、深くため息をついた。

 

 315: 名無しのリフト周回マン

 …分かったよ。

 やってやるよ。

 どうなっても、知らねえからな。

 で、どこにはめればいいんだ?

 指輪か、首輪か…。

 

 318: 名無しのC級ヒーラー

 

 315

 首輪がいいと思います!

清純(せいじゅん)元素(げんそ)】、装備してますよね!?

 あれなら、もし呪いのアイテムだったとしても、聖なる力で浄化してくれるかも!

 

 その、あまりにも非科学的で、そしてどこまでも乙女チックな、提案。

 それに、スレッドは、温かい笑いに包まれた。

 

 321: 名無しのリフト周回マン

 

 318

 …そうか?

 まあ、いい。それで、やってみるか。

 見てろよ、お前ら。

 

 彼は、その言葉と共に、一枚の画像を、スレッドへと投下した。

 

 スレッドの、全ての住人が、息を呑んだ。

 そして、その宝石が、首輪のソケットに、カチリと、完璧に収まった、その瞬間だった。

 首輪が、淡い、しかし確かな共鳴の光を放った。

 彼のステータスウィンドウに、新たなバフアイコンが点灯する。

 その、あまりにもあっけない、しかしどこまでも確かな、力の顕現。

 それに、スレッドは、安堵と、そしてそれ以上に大きな、興奮のため息に包まれた。

 

 401: 名無しのリフト周回マン

 …おお。

 …付いた。

 マジで、付いたぞ。

 俺のステータスに、「移動速度が低下している敵へのダメージ+10%」って、表示されてる…。

 

 その、発見者自身の、魂の呟き。

 それが、この世界の、新たな「常識」が生まれた瞬間だった。

 伝説の宝石は、呪いではない。

 自らのビルドを、さらなる高みへと導く、究極の「力」なのだと。

 その、あまりにもシンプルで、そしてどこまでも力強い真実。

 それを、世界の、全ての探索者が、その胸に、確かな高揚感と共に、感じていた。

 

 

 

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