Blue Archive: Visitor From Underground 作:暗黒星 堕零
作者は本サイトを利用するのは初めてであり、どのような機能があるのかに関しましてはまだ完全に把握しきれておりません。お見苦しいところをお見せするかもしれませんが、どうか温かい目で見て頂けると幸いです。
プロローグ
「おっと、そうはとんやが───」
言葉を紡ぎ終える前に、オレの体は大きく切り裂かれる。神聖な回廊が鮮血に染まる。
───これで何度目だろうか。オレは何度殺され、何度この世界はリセットされたのか。最早思い出す事も叶わない。ある日突然始まった人間によるモンスターの虐殺は、今も尚終わらない。
「…いいか?オレはとめたからな?」
意味の無い忠告。口にすら出したくないのに自然と口が動く。何故ならオレは『ゲーム』のキャラ、既に確定された行動をしなければならない。抵抗なんざ出来るわけがない。
「んじゃ…グリルビーズにでもいくかな」
「パピルス、おまえもはらへってるか?」
興味を失い、その場を立ち去る人間を横目に、居るはずもない弟に向けて話しかける。当然返答は来ない。その内オレの体は徐々に塵と化していき、意識が薄れていく。最初は「ようやく休める」だなんて思ったが、どうせまたリセットされ、同じ事を繰り返す。
………
「…ははっ、今回もダメだったな」
完全に塵となり、死んだオレはリセットされるまでの僅かな時間を誰も居ない真っ暗な空間で過ごす。ここでならオレはゲームのキャラクターでなくなり、自由に喋れる。
…それがどうしたって話だけどな。プレイヤーのリセットを止めれる訳でもない、ただただ空虚な時間だ。こうして自己嫌悪に陥っている間に、空間の先から光が差し込んできた。
「……やっぱりか」
あの光は言わばリセット、あるいはロードの証拠。光に包まれればオレは自宅のベッドで寝ているか、また回廊のド真ん中でつっ立っている。
助けを求める気力すらもう沸かない。何をやってもどうせ意味が無いのだから。こんな目に遭うのなら、生真面目に時空の歪みの研究なんざしなければ良かったと思う。
その内光は完全にオレを包み込む。…あぁ、また怠け者でダジャレが好きなスケルトンの
…その筈だった。
──────────────
「……はっ?」
目が覚めたオレの眼前に広がったのは全く見覚えの無い、オフィスのような場所。窓からは目を閉じたくなるぐらいの眩しい朝日と青空が広がっている。かつてほんの僅かだけ体験した、地上での生活の夢を見ているのだろうか。
そう思い古臭い方法であるが自分の頬をつねる…のは骨だから無理として、頭を叩いてみる。
「痛っ…」
確かな痛み。間違いなくこれは夢じゃない。ならどうしてこんな場所に居る?状況が飲み込めないまま立ち往生しているオレは、背後から近付いてくる声に気づかなかった。
「ですから先生!!どうしてまたこんなに課金しちゃうんですか!?」
“いやー…だって欲しかったキャラが…”
「だとしても、自分の生活費を削ってまでやる事ですか!?も〜…これだから……えっ…?」
“どうしたのユウカ……ん…!?”
ようやく声に気づき振り返る。そこには高身長の人間の男と、濃い青色の髪と頭上に奇妙な輪っかを浮かべた少女がこちらを向いて立っていた。
「…あー、アンタら、ここが何処だか…」
「…侵入者!?この厳重なシャーレのセキュリティからどうやって…何が目的かしら?」
「…!」
少女が持っていたのは細長い物体。それを『銃』だと認識した瞬間、生命の危機を察知し臨戦体制に入る。だが実力も戦法も分からない相手に戦いを挑むのは得策ではない。ましてやこちらは全てのステータスが1の最弱の存在。無謀にも程がある。
今オレが取るべき行動は────
「……ッ」
「何をするつもり?大人しく…へっ?消えた…?」
能力の『近道』を使い逃亡をする。ここが何処なのか分からない以上、何処に着くのかは一切見当がつかないが、状況を整理する為に何としてでも人気の無い場所へ向かいたい。
“消えたね。まるでマジックみたいに。”
「マジックって…先生、お怪我はありませんか?」
“うん。大丈夫だよ。”
「それなら良かったです。…しかしあの侵入者は一体…」
“…うーん…私はあの人?が侵入者とは思えないかな。”
「…どうしてですか?」
“何と言うか…あの困惑していた表情、気づいたらここに居たって感じがするんだよね。”
「何処かから飛ばされて来た、という事ですか?まさかそんな非現実的な事が…」
“でもこれは私の憶測に過ぎないよ。特に荒らされた形跡も無いし、今の事は忘れて仕事に取り組もうか。”
「そうですね。今日は書類が多いですし、早く始めちゃいましょう」
*
一体あれから何度近道を使ったのか。ある場所では銃撃戦に巻き込まれかけ、またある場所では人相の悪い集団に恫喝をされかけた。なんて治安の悪い地域なのだろうか。
ただオレが奇妙に思ったのは、街中で見かけるのはロボットやロイヤルガードのような二足歩行で歩く犬、たまに少女達が居るだけで人間の男は誰一人として居なかった。間違いなく言えるのは、『ここ』がオレの知っている地上ではないという事だ。
「……今の疲弊具合を見て、あと一回でも近道を使えばブッ倒れるな」
「何としてでも…安全な場所に…行かないと…」
疲労と混乱で滅茶苦茶になった頭で必死に考える。もう少し運動をして持久力をつけておけばよかったとつくづく思いながら、最早歩く事すら困難かと思える状態でフラフラと歩く。今の状態で銃を持った奴と出くわせば、確実に死ぬ。
「へへっ、いっその事死んじまった方が、この苦しみから解放されるし良いんじゃねぇかな…」
「……ん?」
心身共に衰弱し、自身の運命に絶望し柄にもない事を呟いていると、周囲の建物よりも一際大きな建造物が視界に入る。囲むように建てられた門の中に大小様々な建物があるのが見える。
…学校だ。パピルスととしょんか…もとい図書館に行った際に、暇潰しに読んだ本に挿絵と共にその詳細について書いてあった。大勢の人間の子供が、これから生きる上で重要となる学力や道徳を向上させる為の施設らしい。
だが人の気配は全く感じない。休日なのか、あるいは廃校となってしまったのか。どちらにせよ、人が居ないのなら休むのにはうってつけの場所だ。改めて人が居ない事を確認すると、オレは残った僅かな力を振り絞り中へと入っていくのだった。
「……誰?」
背後からその光景を眺めていた、青いマフラーを巻いた銀髪の少女にオレは気づく余裕も無かった。
次話は準備が整い次第随時投稿していく予定です。基本的にpixivに投稿しているものと内容に差異はありませんが、これから先ハーメルン限定で投稿する話もあるかも…しれません。