Blue Archive: Visitor From Underground 作:暗黒星 堕零
補習授業、スタート!
「ほらよ、ホットドッグ一丁前だ」
アビドスの借金返済の為に開店したホットドッグは連日繁盛、朝から夜まで、休日は勿論平日も多くの客で賑わっていた。
とは言えオレに毎日経営する気力なんざありゃしない、その週の始まりにその週の気分次第で営業日を決める。これがオレのスタンスだ。今日は昼までの営業、特にこれといった用事は無いが何となく、な?
「ふぁぁ…今日はこれで終い、っと…」
客が全員居なくなった事を確認し、大きく欠伸をする。片付けてからは何をしようか、贅沢に昼間から寝るか?アビドスの皆に会いに行くか?
そんな事を考えているとモモトークに一件の通知が。どうやら先生からのメッセージみたいだ。
「サンズ、今時間大丈夫かな?」
「何だ?オイラに頼み事か?」
「うん。どうかな?」
「丁度営業が終わったところだ、大丈夫だぜ」
「ありがとう!じゃあまずはトリニティに来てくれないかな?詳細は会ってから話すよ」
トリニティ学園、キヴォトスの三大校の一つだ。ホシノ救出作戦時にゲヘナ、ゲーム開発部の廃部を阻止する為に駆け回ったミレニアム、そして今回トリニティに訪れるなら、これで三大校は制覇した事になるのか。
ささっと店の後片付けを済ませた後、トリニティ行きの交通機関へと…前のオレならそうしていたのだろうが今は違う。
「これを知っちまったからには…使うしかないよな?」
ブラスターを召喚しその上に乗り、オレの意志に応じてふわり、と宙に高く浮くと振り落とされない程度の速度で移動を始める。ある日「サイズ的に上に乗る事も出来るんじゃないか?」なんて思ったのが事の発端で、今じゃブラスターは攻撃以外にもオレ専用の乗り物と化している。
あらゆる経路を無視し一直線で目的地に向かうオレの予想外の挙動に錯乱する地図アプリに若干申し訳なさを感じながら、先生が送信した待ち合わせ場所まで向かっていくのだった。
*
「よっ」
"待ってたよ、サンズ。"
"…事前に伝えられていたとはいえ、いざ実際に見てみると圧巻だね。"
先生が唖然とした表情で出迎える。待ち合わせ場所のトリニティ正門には30分程度で着いた。
…しっかし噂にこそ聞いていたがとんでもなく豪勢な学園だな。イメージしている『お嬢様学校』がそのまま現実に現れたかのような見た目だ。
「で、オイラに頼み事って何だ?こんな怠け者のオイラにしか出来ない事か?」
"うん。サンズ、君には私と一緒に…とある生徒達の勉強を手伝って欲しいんだ。"
「…勉強、か?」
勉強なんて怠惰な自分にとってはあまりにも無縁な言葉に思わず耳を疑う。「どうしてオイラなんかに頼むんだ」と尋ねる。
"セリカから聞いたんだよ。「サンズはとっても賢い」ってね。"
「…あー、あの事か…」
ここ最近あった事を振り返ってみれば、確かにオレが選出される理由になるような出来事はあったなと思い出す。時は数日前に遡る。アビドス高等学校にて対策委員会の皆が勉強会を行っている時の事だった。
彼女達は借金返済に賞金稼ぎと学生らしからぬ事をしているが一応は学生の身分、そんな訳でノノミが「今日は皆で勉強会をしましょう♪」と提案した訳だ。
「うぅーっ…何なのよこの問題!全く意味が分からないんだけど!?」
「まぁまぁセリカちゃん…時間は沢山あるんだしゆっくりやろ?」
「そうだよセリカちゃ〜ん。イライラしてたらもっと分からなくなるよー?」
「…ん、ホシノ先輩はそもそも全く手をつけてない」
苛立つセリカ、それを宥めるアヤネ、相変わらずダラダラしているホシノ、黙々と問題を解くシロコ、それをニコニコと眺めるノノミ。
…あぁ、これだ。これでいい。変わらない日常が、何よりも大切で楽しい。
「サンズも怠けていないで勉強しなさいよ!!」
「へへっ、オイラはアビドスの一員だけど厳密には学生じゃないんでな。優雅にケチャップを飲ませてもらうぜ」
「じゃあせめて…手伝いなさいよっ!!」
「ヴッ」
セリカに問題用紙を顔に押しつけられる。…言われてみれば彼女の言う事にも一理あるな。オレだけ何もしないのも、と思い勉強を手伝う事にした。
「…なんだ、この程度の計算ならパパッと解けるじゃないか。ほら、ここにはこの計算式を…」
「えぇ?そんなものじゃ……ウソ、ホントに出来た…!じゃ、じゃあこっちは!?」
「こっちはー…今やったものより難しいが慣れれば簡単さ。さっきの式を応用して、ほら…なっ?」
停滞していた問題が途端にスラスラと解けるようになったセリカは思わず感嘆の声を上げた。その後も他の皆にも呼び出されては問題を解くコツを教える。
…
「サ、サンズって賢かったのね…」
「まぁな。だってオイラ元々研究者だったし」
「へぇー、研究者だったんだ………」
「………」
「「「「「研究者!?!?」」」」」
寝ぼけていたホシノを含む全員が椅子を吹き飛ばす程に飛び上がる。何ならオレもそれに驚いて飛び上がった。
「あれ、前に言ってなかったっけ?オイラ研究者だ、って…」
「そんなの聞いた事ありませんよ!?」
…研究者。そう、かつて居た地下世界での遠い昔の話、オレはオレとパピルスを実験で作り出したガスター博士と共に日夜研究に励んでいた。
ガスター博士。本名を『W.D.ガスター』。彼はアズゴア直々に任命された王室専属の研究者。地下世界のエネルギー産業の大半を支えている『コア』をほぼ一人で完成させ、人間から『ケツイ』を発見し、オレが扱うガスターブラスターを作り出した、間違いなく『天才』と言える逸材だった。彼はオレの尊敬する人であり、創造主であり、父親でもあり…奇妙な関係性だなと今でも思う。
助手はオレを含め四人居た。どいつもこいつも個性豊かな奴らだった事を鮮明に覚えている。この頃はそれはもう多忙を極めていて、一日の大半をパソコンの画面や書類と向き合っている事はザラで、食うものは殆どがカップ麺で済ませていた。
それでも確かに幸せな日々だった、オレ達五人でならどんな困難でも乗り越えていける…そんな事を思っていた矢先、『あの事件』から全てが狂っていった。
「私はついに発見した、この世界から解放される方法を」
「私が今から向かうのは、『自由』に満たされた場所」
ガスター博士はこんな意味の分からない書き置きを残したかと思えば、事故なのか自らの意思でなのかコアに飛び込み…
その命を絶った。
何故?どうして?理由を探れば探る程混迷していく。こうして悩んでいる内にオレ以外の助手までもが消えた。まるで最初からこの世界に存在していなかったかのように。
最終的に残されたのはガスター博士の産物であるオレとまだ幼いパピルス、ホットランドの地下研究所だけだった。大切な者を一斉に失った当時のオレに最早研究を続ける気なんてこれっぽっちも無く、後任にアルフィーが決まるや否や彼女に全てを託し、あの地下研究所には一度も訪れていない。
…まぁ思い出話はここまでにしておいて、現在の話に戻すとしよう。オレが先生に案内されたのはトリニティ校舎……ではなく、そこから少し離れた位置に存在する『別館』。
年季が入っているのか古めかしい印象を受けるが、いざ中に入ってみるとつい最近清掃されたのか清潔に保たれていた。
「へぇ、中々綺麗じゃないか」
"あの子達が一生懸命掃除してくれたからね。その前はずっと放置されていたせいで…お世辞にも良い環境とは言える状態じゃなかったし。"
「あの子達…そういやその生徒達はどんな集まりなんだ?勉強って事は成績がヤバいのか?」
先生はうん、と頷く。どうやらその生徒達は様々な理由で学業不振となり落第の危機にあるんだとか。そんな彼女達に勉強を教えている最中に届いたセリカからのモモトークが、オレに手伝いを要請するきっかけになったみたいだ。
なんて話している内に生徒達の居る教室の前に到着した。アビドスにミレニアム…これまでに多くの個性豊かな生徒達に出会ってきたが、今回はどんな奴らが待ち受けているのだろうか。
"皆、待たせたね。今回から私と一緒に勉強を手伝ってくれる人を連れて来たよ。"
「よっ、オイラはサン……」
教室の扉を開け、そこに居たのは四人の生徒。ほんの少しこちらを見たかと思えばすぐに頭に生えた羽で顔を隠す少女、長い桃色の髪が特徴的な少女、背中に装飾を施された美しい純白の翼を携える少女にヒフミ…
………ん?
「……ヒフミ!?」
「サンズさん!?」
まさかの見知った顔との再会。衝撃のあまり叫んだ事でヒフミもパニックに陥りお互い慌てふためく。
「どうしてアンタがここに居るんだ!?」
「サ、サンズこそどうしてここにいらしたんですか!?」
「いやアンタこそ」
「いやいやサンズさんこそ!」
"…と、とにかく二人共一旦落ち着こう、ねっ!?"
…先生が間に入りオレもヒフミも双方落ち着きを取り戻し、簡単な自己紹介を交わすと共に先生が何故彼女達が『補習授業部』に入る事になったのかを説明する。
まずはヒフミ。彼女が愛して止まないモモフレンズのイベントに行った…これだけなら何も問題は無いが、問題はその日時。重要なテストとイベントの開催日が被っていたらしいが事もあろうに彼女はイベントを優先。結果がこれだ。
「気持ちは…分からなくもないが、普通自分の人生が懸かっているのも過言じゃないテストをスルーするか…?」
「で、ですがあのイベント限定のグッズがありまして…!ファンとして見過ごす訳には…!」
「ブラックマーケットでの件といいアンタがちょっと怖くなってきたよ…」
次に白洲アズサ。暴力騒ぎを起こしたとかで正義実現委員会に追われていたところを弾薬倉庫を占拠、数時間抵抗した後に捕らえられたという。
「…特殊部隊の出身か何かで?」
「あぁ。戦闘技術に関しては一通り熟知している」
「そういう事を聞いているんじゃない…!」
そして浦和ハナコ。水着姿で校内を徘徊しているところを…この説明で本当に合っているのか?警察に指名手配されている危険な奴の詳細が紛れ込んだとかじゃなくてか?
「サンズさん…でいいのでしょうか?先程の自己紹介で自分を『スケルトン』と仰いましたよね?」
「そうさ、珍しいだろ?」
「そうですね…ふふっ、スケルトンという事は…つまり普段私達では見えないあんなところやこんなところが、全部丸見えって事ですよね?」
「…えっ、あ、あぁ…そういう事に…なるのか?」
「何言ってるの!?エッチな話題は駄目なんだから!!」
前言撤回だ、彼女で間違いなかった。
最後に下江コハル。テストで赤点を連続で叩き出し、絶賛留年の危機だ。異彩を放つ他三人と比べれば至極真っ当な理由だが…
「何よそれ!!絶対エッチな事でしょ!!」
「い、一体何を考えてるの!?エッチなものは駄目!死刑!」
「あんたの頭の中なんてお見通しなんだから!どうせ口には出せない事なんでしょ!?」
少々、いやかなり頭の中が『ピンク』に染まっているみたいだ。
…さて、これでようやく全員の事情を把握したがまず思った事がある。
…これまたクセの強い面子が集まったなぁ。
──────────────
こんな経緯でオレを含めた勉強会が始まった。彼女達が落第を免れる為に必要なのは計3回あるテストのどれかで目標点数以上の点数を取る事。
だがオレが来た頃には既に1回目のテストは終えていたようで、ヒフミ以外は惨敗という結果だった。別館に居たのも合格するまでここで暮らせ、という命令らしい。
テストをほっぽり出した奴に一人だけ戦場に居る奴、露出狂に脳内ピンクと群を抜いて個性的な生徒達が果たしてオレの話を聞くのかと当初は心配でしかなかったが、その不安とは裏腹に全員が真面目にオレの解説を聞いてくれた。
「あら…この数字の並び…▉▉▉なんて読めたりもしますね♡」
「……?それはどういった意味なんだ?」
「なっ…!なんて事を言っているのよ!?」
ハナコが意味深な事を言ってはコハルがそれに突っ込む…なんて流れが定期的に発生するがただただ勉強するだけじゃ退屈なだけだしな。このぐらいはまぁ…容認してもいいか。
…それにしても未成年の彼女達は一体何処でそんな言葉を?
ただ勉強を教えるだけなら借金を返済したり廃部を阻止するよりもラク…なんて思っていたのも束の間、別館に訪れる回数が増えていく度に感じていた『違和感』が日に日に強くなっていく。
その違和感の正体はハナコだった。彼女はオレや先生の助けが無くとも練習問題を次々と解き、他の生徒にも分かりやすい内容で解き方を教えていた。
だが模擬試験になると一転、ほぼ確実に四人の中で最も低い点数を叩き出していた。それも『そうしないと』出せないような一桁台の点数を毎回、毎日。
「…ここの問題、練習問題にも出てきたけどアンタ正解してただろ?」
「ふふ…ごめんなさい、本番に弱いもので」
彼女本人に問いかけても曖昧な返答が返ってくるばかり。果たして本当に本番に弱いのか裏に何かあるのか、分からずじまいだ。
*
「…って事なんだが先生はどう思う?」
"…うん。私も彼女の採点をしていて引っかかる事はあったんだ。"
とある日の夜、どうしてもハナコの事が気がかりとなり別館に用意されている先生の部屋に訪れ、自身の考えを伝えた。
先生も彼女の行動には少なからず違和感を覚えていたようで、お互いの考えを共有した末に露出をするのも模擬試験で低い点数を取るのも何かしらの事情があるのでは、という結論に至った。
「すみません…先生はいらっしゃいますでしょうか?」
部屋の外からノックと共に声が聞こえる。先生が入室の許可をするとドアを開けたのはヒフミだった。
「あっ…サンズさんもいらしたんですね」
「あぁ。オイラも先生に話があったんでな」
「……思い違いでしたら申し訳ありません、もしかしてサンズさんもハナコちゃんの事が…」
…成る程、彼女もだったか。つい先程までハナコについて話し合っていたとヒフミに伝えると、彼女は試験の模範解答が書かれた紙の束を見せてきた。
「昨年の試験、1年生から3年生までの全ての試験における解答用紙が、まとまっていました。どういう訳か、その全てを回答した方が居たようで…」
"それが…"
「…はい、ハナコちゃんでした」
疑惑が確信へと変わる。オレの思い込みじゃない、確実にハナコには隠している『何か』がある。
「このまま疑っていても何も起こらねぇ、いっその事本人に直接聞いてみるのもアリかもな」
「そうですね…ハナコちゃんはきっと悩みを抱えているんだと思います。その悩みが私達に解決出来るものなのかは分かりませんが…」
オレ達の意見はハナコ本人から聞き出す事で合致した。世話になっているアビドスで隠し事は御法度…そう学んだからな。
「…では、そろそろ失礼します。先生、サンズさん」
"うん、おやすみ、ヒフミ。"
「部長だからってあんまり頑張り過ぎるなよ?何事も程々が一番だぜ」
ヒフミが一礼をして部屋を去る。再びオレと先生の二人になったところで時計を見ると、既に深夜と言っても差し支えない時間になっていた。
「…もうこんな時間か。ならあの話はまた明日って事でオイラも寝床に…」
"待って、君には話しておきたい事があるんだ。"
テレポートで自宅に戻ろうとしたところを先生に呼び止められる。どうしたものかと振り返ると、そこにはかつてなく真剣な眼差しをした先生が居た。
"…いや、先に確認を取っておくべきだったね。サンズ、君には出来る限り厄介事には巻き込みたくないけど、この話は後々必ず知る事だと思う。"
"でも君が望まないのなら、このまま帰っても構わない。…どうかな?"
「……面倒事の気配がするけどオイラはアンタの補佐だしさ。聞かない手は無いだろ?」
「ありがとう」と息をついた先生の口から話されたのは、想像を遥かに超える事実だった。
"まず…補習授業部は生徒を『退学』させる為に作られたんだ。"
「……えっ?」
一瞬言葉の意味が理解出来なかった。何故だ?オレは補習授業部は落第を防ぐ為に作られたと聞いているんだぞ?
「…い、いや意味が分からないが?落第を防ぐ為の部活でそんな、退学なんて真逆の事を…」
"…実は私、いや私達はトリニティの『裏切り者』を探しているんだ。…それも、あの四人の中に居る可能性が高いって。"
次から次へと判明する衝撃的な真実に頭がどうにかなりそうだ。頭の中で何度も天を仰いではため息をつく。確かに面倒事の気配がするとは言ったがまさかここまでとは想定外だ。
……先生に確認を取りながら何とか情報を整理する。先生の話によるとトリニティのトップに君臨する組織、ティーパーティーの一人であるナギサは『ある計画』を確実に実現する為、トリニティ内に潜む裏切り者を炙り出す事を目的に補習授業部を設立したらしい。
で、その『ある計画』というのが。
"サンズ…"
"『エデン条約』は知っている?"
エデン条約…先生の話を簡単に纏めるならば、それはゲヘナとトリニティの和平を目的とした条約。和平という言葉でこの世界に来てからようやく知ったが、ゲヘナとトリニティは長年対立…までとはいかないが歪み合っている関係が続いているみたいだ。
…これを聞いて真っ先に思い浮かんだのは、元居た世界での出来事。虐殺の輪廻が始まる前の、まだ落ちてきた人間が
モンスターの親善大使となったフリスクは早速人間側の政府とモンスターとの友好条約を結ぼうとしたがそう上手くはいかなかった。各地でデモが発生し、フリスクの命を狙おうとする輩も現れた。
それでもフリスクは平和を訴え続け、その熱意が伝わったのかデモは次第に収まり政府も条約を受け入れる事を決定した。紆余曲折の果てにようやく夢見た真の平和が実現する…筈だったが、後はお察しの通りだ。
オレはその『紆余曲折』の間にどれだけの苦労があったのかを今でも鮮明に覚えている。蟠りを持つ者同士の、共に手を取り合い歩んでいく為の条約…似たような経験をした者から言える事があるならば…
そう簡単に上手くいく筈が無い、きっと何処かで深刻な問題が発生するに違いないと。
「…大方事情は把握した。んじゃ、詳しい話は改めて明日にしようぜ。じゃあな」
"呼び止めてごめんね、サンズ。良い夢を。"
「気にするな」の意で片手を上げるとテレポートで自宅に戻る。先生から聞いた話による不安な気持ちは拭いきれないが、いつまでも悩んでいるべきじゃない。明日に備えて風呂に入り、寝室に入ると夜に一気に流れ込んできた情報量を処理しきれなかったのか気絶するように眠りに落ちていくのだった。
──────────────
翌朝、先生に連れられてきたのは別館の隣に設置されているプール。
ここもヒフミ達によって清掃されたのかまるでつい最近作られたかのように清潔で、満たされた水には日光が爛々と反射していた。
「わぁっ、水が入ってるー!」
そこには既に先客が。一目見ただけでも高い身分の人間と分かる高貴な衣服を纏い、アズサと同様に翼を携え、惑星のような特徴的なヘイローを浮かべた少女が水面に映る景色を見てははしゃいでいた。
"お待たせ。用件を聞いても良いかな?"
「えへへ。先生は上手くやってるかな、って思って」
「…それに、あなたとは初対面だよね?先生から聞いてるよ。面白いなぁ、本当に骸骨が動いているなんて」
「…アンタ、何者だ?」
「私は『聖園ミカ』、ティーパーティーのパテル派代表だよ」