さて。手錠掛けられてリディアン音楽院の中に案内され、エレベーターでの急降下・・・
(なんだ。あの壁画。BB、解析よろしく)
(了解です)
扉を開けるとそこは
「■■■■■」*1
「っ!?」
まともに言語が聞き取れない!?ラフムかよ!?
(すぐに対応しますね・・・出来ました)
どうやら、パーティするみたいだ。
「それで、君にはどこから聞くべきか・・・」*2
「寧ろ何から知りたいんだ?風鳴弦十郎さん?」
「む、俺の名前もとっくに調べ上げてたのか・・・」
「そりゃ当然でしょ。どこの組織に付くか悩んでたんだから。まともそうな所ほど危ない、ってのが俺の予想だからな。トップまで調べてるさ。裏の【機関】とかアンタの兄とかな」
「ふむ・・・では君の持つその聖遺物、どこで手に入れた?」
「さぁ?一族伝来だから。俺はこの出自なんざ知らないさ。ただ扱えるんだからそれで充分」*3
「アラぁ、そんな投げやりなのは探究者としては落第よ?」
「・・・櫻井理論の提唱者、櫻井了子か。あんたの理論のおかげで今コレを扱えてる。そこには感謝しよう」
にしてもこいつ、魂が一般人じゃないな?あの時の神と同時代くらいの神性・・・敵に回ったら厄介だな。戦闘力が低い事を祈るしか無いか*4
「それで、その聖遺物の名前を聞こうか」
「これはゲイボルグ・シバルバー。スカサハ師匠がなんやかんやして作った槍だな。神話とかには載ってない『俺しか知らない』槍だ」
「む、それはおかしくないか?ならば何故その事を知っている?」
「そりゃあの人まだ生きてるからな。直接貰った槍だし。どこで作ったかは分からんから出自不明ってだけ」
「では君の個人データが半年より前が皆無の理由を聞いても?」
「・・・いや、それは話しても意味がない。この世界にその場所は誰も訪れる事はないからな」
なにせこの星に異聞帯【シュルシャガナ=イガリマ】が無いからな。*5
「それじゃ私から。どうやって私の理論を知ったのかしら?」
「これだな。・・・BB、挨拶」
スマホから音声が流れる。
『どうもお二方、初めまして!彼のサポートAIことBBちゃんです!といっても過去にここのデータにはお邪魔してるので本当の初邂逅は半年前ですけどね!』
「あら、貴方が例の電子の妖精さん?」*6
『へぇ、私ってそう呼ばれてたんですね!』
「って事だ。今後は多分ここにはハックはしないと思う。なにせここに所属・・・というよりかはここの味方になるって決めたしな」
「所属はしない、と?それは何故だ」
「何せ俺ここの国の戸籍ないからね!なんならどの国の戸籍もないんだけど。ほら、二課って一応国の組織だからさ。戸籍無い人は所属出来ないでしょ」
「む・・・それはそうだな。では君の戸籍が出来るまでは外部協力者、と言う形にさせて貰おう」
「え?戸籍作るの?どうせまた会えなくなるのに?」*7
「・・・どう言う事だ?」
「俺は謂わば世界との契約者。星の危機に現れる者。要は当面の危機を救う為にいるからね。救ったらまた消えるのさ」
「だから戸籍は要らない、と」
「そ。そゆこと〜」
「それにしても、彼女の症例も初めてだけど貴方も症例としては初めてなのよね。完全聖遺物の使用者なんて」*8
「俺の聖遺物は胸の歌が必要だから完璧な完全聖遺物って訳ではないんだけどな」
「あらそうなの?」
「ええ。実際彼が市街地に向かった時に聖詠を唱えてるのを聞いてます」*9
「ん?そっちの話し合いは終わったのか?」
「ええ、あとは細かい検査とか本人の意思次第な点はありますから」
「んでそちらが天羽々斬の装着者、風鳴翼・・・で、合ってるかな?」
「どこでそれを知った?」*10
「んー、まずは二課だろ?後は二年前のライブの情報と・・・風鳴機関の方にもデータあったからね。ただ顔覚えるのが苦手だからね。間違ってたら悪いってわけ」
「それで・・・貴方は何者だ?」*11
「おっと、そういや自己紹介を忘れてた。俺は【無疆柳星】。この星ではそれ以上でもそれ以下でもないさ」
「まるで他の星では他の名前があるみたいな言い方ねぇ?」
「そりゃあそうだとも。俺に課せられた役目は割と多いんだ。故に俺を指す単語もまた多いんだぜ?*12だがその役目は殆どここでは機能しないからな。ならば人としての名前だけで充分だろう。・・・ああそうそう。この聖遺物は【ゲイボルグ・シバルバー】。南米の冥界『シバルバー』で製作されたと本人は豪語したゲイボルグシリーズだな。・・・ミクトランパだろ、と言うツッコミはスカサハ本人にしてくれ。俺はそう伝えられただけなんだから」
「そうか。ではこれが最大の疑問なのだが───なぜリディアン音楽院を探っていた?」
隠す必要性は・・・なさそうかな。
「一つ目、ここより更に深くにある聖遺物【デュランダル】の気配の理由を探る為。二つ目、ランダム性があるとされているノイズがどうもここを中心にポップしている為。三つ目、立花響の聖遺物【ガングニール】の経過観察。四つ目、ここまで硬い防御網は俺の知る中でもトップだから突破したかった」
「最後の一つは完全に意地じゃないか・・・それにしても彼女について知っていたのか」
「言っただろ?二年前のZwei Wingのライブの件は調べてたんだ。勿論立花響についても出てくる。彼女は特に辛い目に遭ってるからな。何故かを細かく探ってみたら風鳴機関の方にデータが残ってた。だから聖遺物と融合している、と結論をつける事ができた。しかしそれがどう作用するのかは俺は知らないからな。聖遺物の気配を掴んでおくだけに留めた、と言う訳だ」
にしても彼女のアームド・ギアはなんだ?俺は宝具、天羽々斬は剣、なら彼女のガングニールは・・・?