数日経った頃の話である。*1
「それで、俺に何のようだ?ガングニール」*2
「それは私のシンフォギアでしょ!?折角貴方は名前知ってるんだから呼んでくれてもいいじゃないですかぁ〜」*3
「───そう、そうだな。悪かった立花響。しかし俺に人を呼ぶ事は未だ慣れぬことだからまぁ暫くは呼び方が統一されないだろうよ。・・・名乗ってなかったな。あん時は居なかったし。俺は無疆柳星。だがまぁこの家名は嫌ってるからそっちでは呼ぶな」
「じゃあ柳星さんと!それで用事について切り込んでいいですか?」*4
「ん、ああ。そうだったな。それで、何のようだ?」
「私に戦い方を教えてほしいんです!」*5
戦い方、だぁ?まぁシンフォギアを纏うって事は争うって事だからしょうがなくはあるのか・・・
「それはいいがシンフォギアの扱いは俺には分からん。*6故に俺が教えられるのは肉弾戦くらいだ。ただ・・・とりあえずどれだけ動けるかだな」
んー、どこかいい場所あったかな・・・
「それなら近くに広場がある。今は夜中だし誰も居ないだろうさ」*7
「そうか、ならそこに移動するとしようか」
「んじゃとりあえず出力知りたいから纏いな。大丈夫、素人の拳程度いくらでも受け流せる」
「それじゃ、遠慮なく!」*8
「・・・纏わないんですか?」
「ん?ああ、気にしなくていい。要らない。*9だからとりあえず殴ってみてくれ」
それで殴ろうとするが・・・ダメだな、こりゃ
「うん、ダメダメだ。そういや今気付いたがそもそも何もかもが足りない。なんならそのヒールも邪魔だから砕いてしまえ」
「そんなにダメダメですかぁ!?」*10
「赤点。0点。もう最悪。地味ーに体動かしてきたがゆえにもっと最悪」*11
んー、どこから手を付けるべきか。体力は即座にはつかないからそこは長期的な鍛錬として・・・
「んー、とりあえず走れ。毎朝毎晩とりあえず走れ。体力付けろ。ノイズは長期戦になりがちだ。だから体力は必須だな。武力的な面はなぁ・・・心持ちがまず大事だからなぁ・・・」
「そうなんですか?」
「ん?知らんのか」
「そもそも私この間までただの一般人ですよ?」*12
「それもそうだな。いいか?戦ってのはどこまで行っても異常者どもの集まり*13なんだよ。相手を殺す、ってのは精神力が必要なんだよ。ましてやお前さんは人助けを趣味にしてるからなお最悪」*14
「え、人助けって悪い事なんですか?」
「いや?人助け止まりなら全然。人を区別せず気付いた範囲で助けてれば何の問題もないさ。ただし。ここから先、お前さんは人助けでは無く正義の味方になる必要がある」
「おお、正義の味方!かっこいい響きですよね!」*15
「正義の味方ってのは【誰かを助けない】者だ。助けられる人と助けられない人を分別して救う。結果救われなかった関係者から恨まれる。それが出来るか?誰かを救わない選択肢を取れるか?」
「・・・出来ません」
「ほう?」
「誰かを助けない選択肢なんて取れません!手が届くのなら全員助けて見せます!助けてくれない事の辛さは───よく、わかってますから」
「───」*16
そういや、コイツも救われなかった側の人間か
「なら逃げない事だ。どれだけ怖くても、どれだけ死にそうでも、後ろに救うべき相手がいるのなら逃げるな。・・・まぁよっぽど数の差が激しくて守れなさそうなら天羽々斬との合流を優先するべきだが。」
「逃げない───」
「お前さんはその【誰かと繋ぐ掌】が武器なんだろうな。相互理解を止めるなよ?」
「おっす!」
「んじゃとりあえず走れ。殴り方はまた後で教えてやるからとりあえず走れー一週間くらいはとりあえず走れ。何にしてもまずは基礎だからな」
「ちなみに柳星さんってどれくらい走れるんですか?」
「アメリカ大陸横断くらいなら」*17
「うぇぇぇ!?」*18
「まぁそこまでは求めんよ。とりあえず長期戦に耐えられるくらいの持久力だな。ましてやお前さんは歌いながら戦う必要があるんだ。気張れよ?さもなくばすぐに倒れるぞ?」
ルーン魔術:体力消費量+20%
「・・・あれ?なんか普段より息苦しい?」
「そういう魔術だ。*19*20とりあえず暫くその状態での生活だな。走り忘れるなよ?」
さて、暫くはアイツの鍛錬に付き合うとするか。目下の目標は───
「さて、別に取る必要のないコミュケーションではあるのだが・・・」