結局、絶唱によるバックファイアは想定よりも深く、大きかった。そもそもの話、自分に認められてるシンフォギアはゲイボルグ・シバルバーであって撃槍・ガングニールではないのだから───しょうがないといえばそこまでなのだが。予想以上に事は深刻だった。
「奏ッ!!」*1
「・・・え?」
なんと、天羽奏の姿のまま戻らなかったのだ。いや、戻る為の調整をすれば戻れるだろうが・・・普通気絶したら解除されるはず*2なのだが、何故か気絶しても戻らなかった。コレには流石に困惑するしかなく。
「奏・・・奏・・・!」
「随分と、泣き虫になったな?*3それだけ溜め込んでたんだろうが・・・いや、今回はアタシも原因だしなぁ・・・」
それにしても。発狂から戻ってなくないか?一応アタシは俺だぞ?大丈夫なのか?今後的な話で。*4
「へいBB」
『録画済みですよー?』*5
「そうじゃない。*6何故戻らなかった?」
『さぁ?絶唱に何か想定外の効果、もしくはグリッチコールとの謎のハーモニー的な感じなのでしょうか?そもそもグリッチコールの術式は全面開示してませんよね?なので明言が出来ないんですよ。何なんですかアレおかしいですよ』*7
ふむ・・・絶唱は心の叫び。このガングニールは天羽奏そのものと言えるだろうな。響のガングニールにも天羽奏が住んでいるのだから何もおかしくない。んー、となると・・・
「なぁ翼、少し話さないか?」
「あ、ああ。何を話そうか?」
「とりあえずアレからどれくらいの時間が経った?」
「三日だ。丸三日眠ってたんだぞ?」
「そうか・・・想定以上のバックファイア*8だな・・・今後は乱用避けるべきだな。にしてもここまで絶唱の負荷がデカいとはな・・・」
「どう言う事だ?元々事の深刻さは理解してたと思うのだが」
「それはアタシがゲイボルグを使ってたからだな。あっちはコレより負荷を軽くしてたんだよ。完全聖遺物
「そうか」
「んじゃ学園の方はどうだ?なんかそろそろ学祭があるとか」
「ああ、一週間後だ。*9来るのか?」
「さぁ?決めかねてる。女学院に観光目的で行っていいのか・・・」
「三ヶ月前まで校舎に入り浸ってた人の言うことか?それが」*10
「ソレもそうだな。なんか目玉的なのはあるのか?」
「カラオケバトルをやるらしいぞ?点数競って一番高い人に勝ったら事前に申請してた願い事が叶うとか」
「へぇ、そいつぁ面白そうだな」*11
ん、出来た。やっぱこの世界魔術的にもおかしくないか?アリストテレスがまともに起動しないとかふざけてない?ジャンル違うのか?*12
「・・・よし、戻った」
「二度と戻らないとばかり・・・櫻井女史も二度と戻らないんじゃないかって言ってたからな」
「あの人長生きしてるだけだろ。こと魔術に於いて俺以上の逸材がこの世界に居るとは思えないな。リィンカーネーションシステムですら『無駄だろ』って結論になったし俺」*13
「柳星の魔術知識はこの世界由来ではない可能性が高い、と聞いたのだがそこについて触れてもいいか?少しでも知りたいのだ。防人ではない、しかしいたずらに暴力を振るうわけでもない。そんな人は初めて*14なのだ」
「俺はほら、確かにこの世界の人類じゃない。かと言って神とかそういうのでも・・・うん。この世界の神ではない」
「まるで別世界の神である、かのような言い草だな」
「大地母神ティアマトの実孫だからね、俺。一種の新人類*15よ?」
「その世界はどんな世界なんだ?」
「この世界よりも魔術が発展してた。ただ年代はここより古いからその分テクノロジーは古いけどまぁ誤差だし。魔術の発展具合はこの世界より数段上だぞ?何せタイムスリップ*16が完成したからな」
「ソレはすごいな!?一体どうやったんだ?」
「さぁ?適合者にはそれぞれ適合した理由があるが・・・実際にタイムスリップした実例が二人しかいない*17からなぁ・・・俺ともう一人の二人。俺は【常に星に属する】からどこにいてもおかしくないという理由で。もう一人は【人類史史上最も人らしい】から。つまりどの時代、どの国にも一人は居たからだな。だから娯楽としてのタイムスリップは使われてないんだよな。そこはしょうがないんだけどな」
「それもそうか・・・」
「ところでF.I.S・・・呼称フィーネは今何をしてる?どこかの国を襲撃したりは?」
「いや、そう言うのは全くだな。今は拠点を探してる最中との事だ」
「そうか」
んじゃ顔出すか。アイツらの目的が国に無いことは分かったからじゃあ何を、ってのを探るのは俺の仕事だろ
「そう言えばまた奏になる予定はあるのか?」*18
「いやどうだろ?回数制限はないからなろうと思えばなれるけど・・・」
「今度一緒に歌ってくれないか?」
「・・・随分と過去に引っ張られてないか?」
「それは・・・そうかもしれないな。しかし、やはり片翼よりも両翼で居たいと願うのは不自然だろうか?」
「───それ、は・・・そうだな。おかしくはないか。まぁ、偶になら付き合ってやるよ。歌うのは俺も好きだからな」
っと、着いた
「どーも!無疆柳星、只今帰還しました!」
「戻ってるですって!?」*19
「いやそりゃ当たり前だろ。ここに来るまでに考えてたんだが、戻らなくて当然だったし目覚めれば戻れて当然でもある。聞くか?理解できるかは別だがな」
「聞かせてちょうだい。シンフォギア関連なのだし今後の調整に有用かもしれないわ」
「まずグリッチコールについては俺にしか無理だ。調整は出来るから他人に付与するのも行けるが俺じゃないと解除出来ないから中々勧められないんだよな。まぁなので掻い摘むとアレは【魂を変質させる】って言う魔術だ。ソレを用いて天羽奏の魂の形でシンフォギアを起動させた。それがガングニールだな。適合率的な面では本人より高くなってたのは・・・ギア・ペンダントをソレ用に調整したからだな。お陰でLiNKERが不用になったって訳だ」
「なるほど、その状態での絶唱・・・つまりは魂の叫びをする事でバックファイアが魂そのものに響いたのね。だから戻らずに一時的な固定が起きた」
「そゆこと。そもそも魂の歌を用いると少しの間戻れないのはルナ・アタックのタイミングで判明してたんだけどな。確証は無かった」
んー、今後は他人のシンフォギア使うのは避けるべきか?いやでもなぁ、それだと飽きるんだよなぁ・・・
「んで弦十郎、なんか分かった事あるか?」
「いいや、何も分からないのが現状だな。どの国にも襲撃をしてない点から存在を示す為の行為だったのでは、と言うのが現在の見解だが」
「だろうな、ただそこに幾つかの情報を混ぜると割と理解出来る事も多いぞ?」
「ほう、例えば?」
「まずノイズの出現、コレはほぼ確定でソロモンの杖だろうな。バビロニアの宝物庫、その鍵たるあの杖が無いと基本的にノイズなんて使い物にならないんだから・・・多分」
「多分?」
「いや、なんかノイズに似たノイズがいるっぽいんだよなぁ」
「あぁ、パヴァリア光明結社かしら?確かにあそこはノイズに似た兵器の作成をしてたわね」*20
「そそ。あそこから援助受けてたら分からなくなるからなぁ・・・まぁなのでその面はあえて無視します」
「それで、目的は何だ?」
「ライブで襲撃したのは確実に知名度上げる為だろうな。ノイズを扱えるという事実を世界に知らしめるのが理由になるだろうな。各国への要求はほぼ寄り道。叶わなくても何ら問題はないんだろうさ。だから襲撃もかけない。んで襲撃しないってのは出来ないって事になるんだがその理由も割と分かる」
「そうなのか?」
「反撃に遭ったら対応出来ないんだろ。対俺達だけならせいぜい4VS3*21だからこっちの知らない手段で同等程度にはなれると言う算段なんだろ。でも対国だとそれが出来ない。何せ初手ミサイルの飽和攻撃で終わるからな」*22
「なるほど・・・つまりある程度この近くに拠点があると見るべきか?」
「恐らくな。まぁ最終的な目的は分からないんだよなぁ・・・過去ならある程度分かるんだが・・・ソレは目的には繋がらないと見るべきだし」
にしても何を狙ってるんだろうな、アイツら