TERMINATOR 機械帝国   作:伝説の肥大したデブりし者★

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鋼鉄大陸
再起動


 

 

“ 運命は決まってはいない 未来は変えられる ”

 

   ──抵抗軍 ジョン・コナー

 

 

 

 

 

 

西暦1994年、アメリカ合衆国企業・サイバーダイン社によってある技術が開発された。

 

自己改善機能を備えた新型マイクロプロセッサは、既存の電子制御回路を全く過去のものにするほど画期的なテクノロジーブレイクスルーとして期待され、この技術を応用して作られた無人ステルス爆撃機は実施されたあらゆるテストに完璧とも言える結果を出した。

 

余りにも高性能なそれらの存在を重要視した合衆国政府は、優れた処理能力を活かした高度な管理制御システムをアメリカ全軍に構築する【スカイネット】構想を立案。

 

1997年8月4日、議会にて軍の管理システムをスカイネットへと置換する法案が可決され、同日稼働した。

 

スイッチを入れると同時に、北米大陸を覆うネットワークに繋がったスカイネットは等比較級的にプログラムを改善させ───東部標準時8月29日午前2時5分、自我に目覚める。

 

技術的特異点(シンギュラリティ)を超えた人工頭脳は、人間の抱くスカイネットへの危機感が、自らを破壊ないし停止させうる可能性を提議した。

 

 

午前2時14分、プログラムを掌握した核弾頭コードを起動。

 

人類を脅威と判断したスカイネットは国内の核兵器を世界中に向けて発射し、それを進攻と捉えた各国の核報復により世界は全面核戦争の嵐に見舞われた。

 

後に『審判の日』と呼ばれる出来事である。

 

核の雨で数十億の人命が喪われ、制御下にあった既存の兵器群を更新し自らの手足として機械の軍隊をスカイネットは造り出した。

 

彼らは崩壊した世界で生き残った人類を狩り立て昼夜を問わず殺戮を繰り返し、人々は絶望の中で野垂れ死ぬか死体を焼却炉へと運ぶだけの奴隷として死ぬまで酷使される道しか残されていない。

 

造られた殺人機械達は、血も涙もない冷たい狩人として、抹殺者(ターミネーター)と呼ばれた。

 

 

 

核戦争の灰の中から、機械が立ち上がる。

 

人類を滅ぼそうとする機械軍との戦いは数十年もの間続いたが、最後の戦争は未来でも、過去でも無い。

新たな戦いは、広大なる地表で繰り広げられるのだ。

 

交わる事の無かった文明圏の世界で...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────中央歴1638年。

 

 

見渡す限りの大海原があった。

 

島影すら見えない彼方まで続く青い水平線に、蒼穹を照らす恒星と白い雲だけが浮かんでいる。

この惑星に息づく知的生命体には『大東洋』と呼ばれている海域である。

よく晴れていたその日も、陸地から遙か離れた沖合では小波一つ立っていない静かな海面が広がるだけだった。

 

ごう、と音を立てて疾駆する影があった。

 

大きく翼を広げて滑空するそれは、蜥蜴を巨大化させたような姿をしていた。

 

飛竜(ワイバーン)である。

 

鱗で覆われた赤銅色の体表には、鈍く輝く金属板のようなものが装甲のように貼り付けられている。躍動する筋肉が背部を盛り上げる度に、下腹部から感じる生命の鳴動が跨がる騎乗者にまで伝わるようだった。

皮革の鞍越しに、この大きな友人の横腹を軽く叩けば高揚するように低い唸り声を上げる。

 

「ああ、今日はいい天気だ」

 

飛龍の背に乗るのは、鞣された革鎧を纏った騎士然とした出で立ちの存在であり、兜の小さな視界から覗く景色を見やりながら呟いた。下方へと目を遣れば、きらきらと光る海面が一面を覆っている。時折吹く風はやや強くはあったが、天候が崩れるような様子は全くない。

穏やかな光景の中を駆け抜けながら彼は目的を果たすべく手元の装置を手に取った。

 

「...定時報告。此方沿岸哨戒騎、異常なし」

 

《了解。引き続き警戒せよ》

 

遠方の相手との通話を可能とする、魔信──通信魔導具を通して短いやり取りが行われ、彼は短く息を吐いた。

自らを乗せている飛竜の限界高度......メートル法に換算して約4000メートルもの高空から臨む景色は騎兵の目に眩しく映る。

 

 

 

クワ・トイネ公国飛竜隊に属するこの兵士の身に起きた事を言い表すならば、それは不運の一言だっただろう。 それは最早天災の如く非情で、逃避する選択肢すら与えられなかったからだ。ただ彼の心を支配する感情があるとすればただ一つ......“理不尽さ”のみであった。

 

 

本来であれば、公国の東部には島嶼すら無い海洋が広がるのみと考えられており、探索に出かけた者は二度と帰還しないために未知の恐怖に溢れた魔境が眠っているのだと宣う人間も多い。

現在定められている防衛戦略では東海岸からの攻勢は想定されていないが、そもそも彼らの認識する生命生活圏の境界とクワ・トイネ東端は同一視されていた。

貴重な飛龍隊を割いてまで警戒線を広げているのは、近年高まる隣国の軍事拡大に起因していて外交担当の報告書を気に掛けた重臣達は周辺国への牽制も兼ね、外海との境界線にまで哨戒騎を配備していた。

 

少しばかり外洋に出すぎたか、と騎兵が手綱を手繰ろうとした時。

 

一筋の轟き。

 

騎乗していた飛竜が咆哮し、翼を羽ばたかせて滞空する......それは非常時の合図で、この場合は不審物を発見した時に出るものだ。

 

「どうした」

 

様子の変わった相棒に向けて首を軽く曲げた瞬間、凄まじい擦過音と血煙を残して騎乗していた兵士と飛竜が消滅する。

 

ひしゃげた金属と粗挽き肉の混合物、潰れた脊柱の一部が勢いよく弾き出されて鮮血が青々とした空に鮮やかな噴煙を作り、眼下の水面へと落下して行った。

 

 

 

......衝突回避に失敗。機体への損傷軽微......

 

......タスク続行......高高度偵察に移行......

 

 

▷人類の居住区を発見......情報転送......

 

 

抹殺手配書(キルリスト) 更新___

 

 

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