オシリスのユメ   作:新人先生

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私が見たいってだけなんですが、皆さん、ブルアカをモチーフに短歌を詠んでみる気はありませんか? 小説形式よりも気軽に始められるんじゃないでしょうか
青春モチーフの作品だし、短歌甲子園で見るような青春短歌が出来たりして……


第11話 子供 VS. 大人

キヴォトスのどこかに存在している、オフィスビルの一角。

薄暗い部屋の中には二人の男がいた。

 

ひとりは、軍事式の外套に包まれた長身の存在。

その顔面は装甲板のような白いフェイスユニットと黒緑に点滅する光学センサーで構成され、肌も息遣いもない。

 

向かい合うのは、漆黒のスーツに身を包んだ男。

砕けた陶器を思わせる亀裂の走る顔が、淡く光を反射する。

 

「――それで、最近の君は一体何を企んでいるのかな?」

「……おや。その質問は一体どういう意味でしょうか。ジェネラル」

「とぼけなくていい。君がそういうウィットに富んだ言い回しを好んでいるのは知っているが、私は武人なのでね。単刀直入に言わせてもらうおう。君が協力を求めてきた“兵器開発”の件だ」

 

ジェネラルと呼ばれた男は壁にかけられたショットガンを指さして続けた。

 

「開発にカイザーインダストリーの設備を利用したいという話を貰ったときはいささか驚いたよ。君は兵器開発のような荒事には手を出さず、大人のビジネスを優先するタイプだと思っていたからね。一体どういう風の吹き回しなのかな?」

「……クックック。いやはや、なに、大したことはありません。私たちも自らの技術を活用した製品作りというものに興味が湧いてきましてね」

「フム。しかし私から言わせてもらえれば、このような規格から外れた銃というのは美学に欠けるし、商売の面でもいささか受けが悪いと思うのだがね」

 

ジェネラルはしげしげとショットガンを物色するように見つめ、そのまま視線を動かして男の顔を見据える。

 

「何か別の目的があるんだろう?」

「新技術を利用した試作モデルを作りたいと思っただけですよ。最近技術供与を受けることができまして。思った以上に面白いものができそうです」

「ほう、興味深いな。その新技術とはいったい?」

「企業秘密、ということでご容赦願います。なにぶん技術供与を受けた側なので、提供者の了解を得ず勝手に世に出すわけにもいきません」

 

黒服の答えに対してジェネラルは肩をすくめると、それ以上の追及はしなかった。

 

「それは残念だ」

「大変申し訳なく思っております」

「まあ、いい。私自身、軍人として情報の取り扱いの重要性は理解している。しかし、君がその程度の理由で動くとは思えないのでね」

「買い被りですよ、ジェネラル」

「そうかい? ではそういうことにしておこうか。だがもし何か困ったことがあればいつでも言うといい」

「お気遣い痛み入ります。しかし今のところは心配ご無用ですよ」

 

中身があるのかないのかわからないようなやり取り。大人の会話というのは得てしてこういうもので、お互いの利害関係が一致してさえいればそれだけで十分なのだろう。

 

黒服が慇懃に一礼した瞬間、デスク上のノートパソコンの画面が突然切り替わった。

画面に表示されたのは監視カメラの映像。このオフィスビルの正面入り口だ。

 

『何者かが正面入り口を破って侵入した模様です。至急警備員を向かわせています。ターゲット接近中』

 

セキュリティシステムによる自動通知の無機質な報告音声が、部屋に響く。

 

「おや、緊急事態かね」

「はい、今詳細を確認しています。これは……」

 

画面に映った監視カメラの映像がズームされる。病院着を着た小さな背丈の生徒が正面玄関から入ろうとして警備員に止められていた。彼女は警備員といくらかの言葉を交わしていたが、ほどなくして口論に発展。かと思えば警備員を瞬く間に殴り倒し、そのまま建物の中へと駆けて行った。

 

「――!? ホシノさんがなぜここに!?」

 

黒服の声色が変わる。

 

「例の“暁のホルス”か? どういうことだ、君の話では彼女は入院していたのではなかったか?」

「そのはずですが……服装からして病院を抜け出してきたのかもしれません。ここを目指しているようです」

 

画面の中の人物は病院着を着こんだホシノのように見える。だが、その雰囲気は明らかにいつもと違っていた。まるで人が変わったように荒んだ目つきで、周囲の警備員や職員に襲い掛かっている。

 

「何? どういうことだ、さっぱり状況が分からんぞ」

 

状況が分からないのは黒服も同様だった。キヴォトス最高の神秘を持つ人間がこんなにも敵意を剝き出しにして、よりにもよって自分のもとに向かってきている。

 

「これは、一体……!?」

 

 

 

 

 

 

「はぁ……っ、はぁ……!」

 

ホシノの体が風を切って走る。その速度は常人のそれをはるかに凌駕し、まるで猛獣のようなスピードでビルを駆けあがっていく。目指すは記憶の淵から湧き上がるたった一つの情報――あの男がいる場所へ。

 

「待て!」

 

階を上がるたびに次から次へと警備員が現れる。

 

「邪魔しないで!!」

 

しかしホシノが拳を一振りすると、それだけで屈強なはずの男たちの体は軽々と吹っ飛んでいった。

 

「ぐあっ!?」

「こ、こいつ武器も持ってないのに……!」

「応援を呼べ!! 全員でかかればなんとかなるはずだ!」

 

だが、ホシノは止まらない。殴り、蹴り、躱し、跳び、そしてまた走る。

 

「邪魔だって言ってるでしょ!」

「があっ!?」

 

ホシノは警備員の顔面を鷲づかみにし、そのまま壁へと叩きつけた。

 

「がはっ……!」

 

鈍い衝撃音と同時に、男の体が床に崩れ落ちる。その様子を意にも介さずホシノそのまま廊下を駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

(……ここだ)

 

ホシノはようやく目的の場所を見つけ、足を止めた。目の前には重々しい扉。あの黒服の男がいるオフィスの入り口だ。

 

軽く押したり引いたりしてみるがびくともしない。どうやら鍵がかけられているようだ。ならば強行突破するまで――ホシノが右手を鋼鉄のように固く握りしめ、そのまま扉に向かって叩きつけようとした瞬間、ガチャリという音とともに扉が開く。

 

「不必要に壊さないでいただきたい。ノックしてくださればいつでも歓迎しますよ」

 

黒服は壁に取り付けられたセキュリティパネルに手を置いまま、そう告げた。

どうやら黒服自身で開錠したらしい。傍らには軍服姿の男が、後ろで手を組みながら直立不動で立っている。

 

「一体どうしたというのですか。そのような状態でここまでいらっしゃるとは」

「……」

 

ホシノは無言のまま黒服との距離を詰める。ボロボロに破けた病院着からは彼女の素肌が露出し、包帯やガーゼが当てられているのが見て取れる。年頃の女子学生としてあまり見えてはいけないような部分まで見えていたが、ホシノはそんなことなどお構いなしと言った様子で黒服を睨みつけた。

 

「エントランスでは、警備員が無礼を働いたようで申し訳ありません。以後、ホシノさんについては状況を問わず通すよう指示しておきます。とはいえ、彼らにも立場があります。今のあなたのご様子では、誰であっても止めざるをえないでしょう。なぜこのようなことを?」

「……黒服、お前に聞きたいことがある」

 

そう言いながらホシノはぎゅっと拳を握りしめた。拳の骨や血管が浮き出ており、その力がどれほどのものなのかを如実に表している。

 

「……なるほど。理解しました。すみませんがジェネラル、ホシノさんは私に用があるとのことですので、大変申し訳ありませんがご退室願えないでしょうか?」

 

黒服は軍服姿の男へ向き直り、そう告げた。

 

「おや、二人きりで大丈夫かね?……と言いたいところだが、彼女の前では二人だろうと大して変わらないか。分かった、邪魔者はさっさと退散しよう」

「大変申し訳ございません、ご理解いただき感謝します」

 

ジェネラルと呼ばれた男は肩をすくめ、そのまま部屋を後にした。扉が閉じるのを確認した後、黒服はホシノに向き直り、改めて問いかける。

 

「……これでゆっくり話ができますね。それで……私に何を聞きたいのでしょうか? ホシノさん」

「……」

 

黒服の問いには答えず、ホシノはただ黙って俯いていた。しかしわなわなと震えるその体、そして全身から放たれる怒りの波動が彼女の内心を雄弁に物語っている。しばらくそのままの姿勢で無言の時間が流れた後、ホシノは絞り出すように口を開いた。

 

「……た」

「……はい?」

「お前――ユメ先輩に何をした!!!!

 

ホシノはそう叫ぶと同時に、壁を殴りつけた。ドゴオオオオン!という轟音が鳴り響き、壁に大きなクレーターができた。天井からパラパラと細かい瓦礫がふりまかれる。

 

「な……っ!?」

 

黒服は驚愕した様子でホシノを見つめる。目の前の怪物――ホシノから溢れ出す、かつてない強烈な感情に気圧されていたのだ。

 

「……何を、とは? 確かユメさんは――前アビドス生徒会長は、既に亡くなられていますよね? どうして私にそれを尋ねるのですか?」

 

黒服の疑問に、ホシノはギリッ、と歯噛みする。顔に血が上り、くちびるや鼻の先や顔の中心といったひどく皮膚の薄い部分へと血液が殺到していくのをはっきり感じ取れた。

 

「とぼけるな……! 私もそう思っていた。でも、ユメ先輩が生きているのをこの目で見たんだ!!!」

 

声は掠れている。怒鳴りつけているのに、どこか泣き出しそうな響きが混じっていた。

 

「それは……にわかには信じがたい話ですね。一体どこで?」

「見た場所なんてどうでもいい!! 私が聞きたいのはユメ先輩の変わりようについてだ!」

「変わりよう……?」

 

黒服は怪訝そうに眉をひそめた。

 

「そうだ……! 銀行で……! 確かにあのとき……!」

 

声が掠れ、軋む。

ホシノは両肩を震わせながら、それでも一語一句、噛みしめるように吐き出した。

 

「先輩は……変わってた。でも、確かに先輩で……姿も……声も。ぜんぶ……!」

「……」

「おまえが――お前が!!! ユメ先輩に何かしたんだろ!! 答えろ!!!」

 

言っているうちに、自分自身で胸の奥を引っ掻いているような錯覚に陥った。

あんなの嘘だ。いや嘘じゃない。本当だった。見間違うはずもない。なのに信じたくない。

 

ユメ先輩に何もなかったと否定してほしい自分がいる。あの笑顔は変わっていないのだと、ただの思い違いだと、そう言って救ってほしい自分がいる。

 

その一方で、あの変貌を説明できる何かを――理由を、犯人を、悲劇に意味を与えてくれる“誰か”を欲している自分もいる。

 

否定してほしいのに、肯定してほしい。

何もしていないと言ってほしいのに、やったのだと言ってほしい。

 

二つの祈りが互いを噛み合い、胸の奥で軋みを立てながら、自分をすり減らしていく。

 

嗚咽に濁った声が室内を満たしていく中、黒服は静かにホシノを見つめながら、ひとつひとつ状況を整理するように情報を咀嚼していた。

 

「……ホシノさん、そしてユメさんに何があったのか未だ把握しかねていますが、つまりこういうことでしょうか。『ホシノさんは死んだはずのユメさんを見かけたが、そのユメさんは以前とすっかり変わってしまっていた。そしてその現象に関して私が何らかの関与をしているのではないかと思い当たって訪ねてきた』……と」

「そうだ!!」

「……なるほど」

 

黒服は腕を組みながら「ふぅむ」と唸り声をあげたあとホシノへ向き直った。

 

「しかしなぜ私が関与していると結論づけるに至ったのでしょうか? 話を聞く限り、私の介在する余地はなかったように思いますが……」

 

黒服からすればそれは当然の疑問だと言える。今までの情報から黒服の関与は証明されていない。

 

だが、ホシノにとっては黒服の問いかけは意味を持たなかった。

 

否定してほしいという気持ちもあったとはいえ――ホシノにとって目の前にいる男が“それ”に関わっているのはほぼ確信に近い。

 

「……お前が何かした以外に原因があるか!? ユメ先輩は……私のことを……」

 

言葉が喉につかえて出てこない。唇が痙攣する。

喉が裂けそうになりながらもホシノは必死に絞り出した。

 

 

 

「――私のことを、“ホルス”と呼んだ!」

 

 

「――!? それは……」

 

叫び声が再び部屋中に木霊する。

黒服は驚いた顔をしたまま硬直した。

それを見てホシノは畳みかけるように言葉を重ねていく。

 

「ユメ先輩は! そんな呼び方しない!! 絶対にしない! 私と二人のときはちゃんと名前で呼んでくれる! なのにあんな顔をして……! そんな呼び方するはずがない!」

「……」

「私のことを“ホルス”なんて呼び方をするのはお前だけだ!!! だから……! だからきっとお前が何かしたんだ!!! どうせ碌でもない実験とか怪しい研究とか施術とかをしたんだろ!!!」

「……………………」

「おい!!!! 黙ってないで何か答えろ!!」

「…………ふむ、なるほど。しかし……これは……」

 

黒服はしばらくの間口元に手を当てて考え込んだ。やがて小さく頷いた後、改めてホシノを見つめる。

 

「改めて確認させていただきたいのですが」

「あ……? なに……っ!?」

「本当にユメさんがホシノさんのことを“ホルス”と呼んだのですね? 勘違いではなく?」

「何度も言わせるな!!」

「…………クックック。そうでしたか、ホシノさん。いやはや、お時間を取って申し訳ありません。ようやく状況が理解できました」

 

ようやく合点が言ったような調子で黒服は呟いた。少しも悪びれる様子を見せないその態度が却ってホシノの神経を逆なでする。

 

「なにを笑って……! こっちは真面目に……!」

「ホシノさん、以前からあなたに持ち掛けている提案のことを覚えていますか?」

「……あ?」

 

ホシノは虚を突かれ、思わず相手の言っている意味を考えるが、意味が理解できなかった。

 

今、その話題が関係あるか?

 

話の腰を折られてしまい、呆気に取られた様子で黒服を見やった。しかし黒服はそんなホシノの反応を歯牙にもかけず続ける。

 

「アビドス高校の借金のうち半分近くをこちらが負担する代わりに、ホシノさんにはアビドス高校を退学して私共の企業に所属していただく――そういうお話です。その内容を再度確認したいのですが……」

「ちょ……ちょっと! 今その話は関係ない!! お前が何をやったか聞いてるんだ!! それにその話は何度も断って――」

「お気持ちは理解しますが、関係ある話なのです」

「……!」

 

納得できていない様子ではあるが黒服の語調に多少の理性を取り戻したホシノは苦々しい表情で押し黙った。

 

黒服は頷きながら続ける。

 

 

「ホシノさんにはその提案をもう一度させていただきたいのですが、先ほど伺った話を踏まえ、契約内容にこちらから提供させていただくものをひとつ追加したいと考えています。その上で再考をお願いできませんか?」

「――なに?」

「興味深い提案だと思いますので、どうかご清聴ください」

 

ネクタイを正し、スーツの皺を整えながら黒服はホシノに向き直った。

その様子はどこか芝居がかっていて胡散臭いようにも見えたが、ホシノはあえてその姿に付き合ってやることにした。

 

「…………チッ」

「ありがとうございます。では早速本題に入ります」

 

そして黒服は信じがたい言葉を口にした。

 

 

 

「契約を結んでいただけるのなら――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。さらに――ユメさんと直接会う機会を設定しましょう」

 

 

「……!?!? ……っ!?」

 

 

 

いま、なんと?

 

 

 

ホシノは唐突な提案に目を白黒とさせ、驚愕したまま固まってしまった。息をすることすら忘れ、胸がキリキリと締め付けられるような息苦しさを感じる。先程までの激情がどこかにすっ飛んで行ってしまったようで頭の中が真っ白になってしまった。

 

だがすぐにハッと気を取り直すと慌てて口を開く。

 

「まっ……まって! それは、それって、つまり――ユメ先輩に何かしたと認めるってこと!?」

「これ以上のことについてはこの場でお伝えすることはできません。知りたいのでしたら契約を受け入れていただくほかありません」

「……! ……っく……この!! ふざけるな!!」

 

ホシノはつかつかと黒服の方へ歩み寄るとシャツの襟をひっつかんでぐい、と引っ張り、黒服の顔を自分の顔の高さにまで引き下ろした。吊り上った目尻を歪ませ鋭い眼光で黒服を睨みつけるが、黒服は涼しい顔をしてそれを受け流す。

 

「この場で吐かせたっていいんだぞ……!」

「……“吐かせる”、とは具体的にどのように? 拷問でもしますか? アビドスの信用問題に発展しかねませんが……。第一、そのような手段に訴えるようでは、アビドスの皆さんにも先生にも顔向けができないのでは?」

「~~~~~~~~っ!!」

 

正論だ。あまりに正論すぎる。しかし真っ当な意見であればあるほど腹立たしく感じるものだ。

 

こんな奴の口からアビドスや先生の名前が出てくること自体が心底気に入らない。胃の腑の底から沸騰したマグマのような感情が逆流し噴出しかかるが、寸でのところで踏みとどまる。唇をかみしめながら何とか平静を保つと、忌々しげにホシノは手を離した。

 

黒服は着崩れたスーツの襟首を正すと再びホシノへ視線を合わせる。

 

「そもそも先ほども大分暴れまわっていましたが、このことについて穏便に済ませられるのは私だけです。“アビドスの生徒がいち民間人を襲撃した”……その報道が流れたらどのような騒ぎとなるか、ホシノさんはよく分かっていますよね?」

「……ぐぅ……っ! くそっ……!」

「もちろん、この件の責任を取るのは当事者であるあなたです。しかしその結果、アビドスのみなさんや先生がどのような立場になることか……おや?」

 

ホシノが両手をぶるぶると震わせながら必死に怒りを制御しようとしている中、黒服のパソコンに一つの通知が入った。画面がわずかに光を放つ。黒服は手を伸ばしキーボードを操作すると、該当のウインドウをポップアップさせる。そして表示された文面を目で追いはじめた。

 

「ホシノさん、どうやら緊急事態です」

「……なに?」

 

緊急事態?

訝しみながらホシノが眉根を寄せる中、黒服は読み終えた文章の内容を口にする。

 

「たった今連絡が入ったのですが、アビドスで爆破事件があったそうです」

「!? 爆破!? アビドスで!?」

「ええ。街の大通りにある建物で爆発が起きたようでして。詳しいことはまだわかりませんが、どうやらゲヘナの風紀委員会もアビドスに向かっているようです。すぐに向かわれた方がいいのでは?」

「……っ!?」

 

アビドスで爆破事件が起きている――!?

 

それだけでも由々しき大問題だというのに、キヴォトス最大級の学園の一つであるゲヘナが介入してきた? つまり外部からの攻撃ということか? だとしたら自治権の侵害という、とんでもない事態が進行しているということだ。どうしてそんなことに? 分からない。全く分からないが――

 

(シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん、先生……皆の危機かもしれない……!!)

 

「行くしかない……!」

 

ホシノは踵を返して出口に向かおうとしたが、そこで黒服が呼び止める。

 

「ホシノさん。少しお待ちください」

「なに!? 今それどころじゃないんだけど!?」

「見たところ、ホシノさんはいま武器を持っていないのでは? 流石に丸腰でゲヘナの風紀委員会に相対するというのも厳しいでしょう」

 

そう言うと黒服は壁際に歩いていき、掛けられていた銃を手に取るとそれをホシノへ差し出した。

 

「これを差し上げます。少々取り扱いが難しいのですが、ホシノさんなら問題なく扱えるでしょう」

「――これは?」

「試作品のショットガンです。口径が特殊ですので専用の弾もいくらかお渡しします。渡した分を使いきったら以後は入手困難になりますが……一戦くらいならもつでしょう。ご自由に使ってください」

「……そんなものを私によこすなんて、どういうつもり?」

「他意はありませんよ。私としてもホシノさんには注目していますから、これ以上お怪我をなさるようなことは防ぎたいのです」

 

怪しげな微笑を湛えながら黒服は答えた。

ホシノはしばらく訝しげに黒服を睨みつけていたが、やがて銃に手を伸ばすとそのまま奪い取るようにして手にした。ずっしりとした重量が手のひらに伝わってくる。

 

「……どうせ碌でもない魂胆があるんだろうけど、受け取っておく」

「クックック……こちらが専用の銃弾です。是非お役立てください」

 

黒服は予備の銃弾をホシノに手渡すと軽く頭を下げた。

 

「それではホシノさん。善は急げ――といいますし。また後日に改めてお話できることを楽しみにしています。良い返事を頂けることを期待していますよ」

 

「――!」

 

ホシノは顔を伏せ、無言のまま出口へ向かった。

手の中の銃がやけに重く感じる。

 

ありとあらゆる事態が雪崩れ込んできて、脳の許容量なんてとうに越えていた。次から次へと積み重なった事実に感情の処理が追い付かない。考えるべきこと。怒るべきこと。解決すべきことが多すぎて――それでも、ホシノは突き動かされるようにして部屋を飛び出していった。

 

静寂の中に残された男はPCを再び操作し始める。

 

「ククッ、ククククッ……さて、ビジネスパートナーと連絡を取るとしましょうか」

 

小さく呟くその声音に含まれた真意を読み解ける者は、この空間には存在していなかった。




正直オシリスのふたなりチ◯コの存在もはや忘れられてそう

いや、ホントはノノミを見て勃起して、チ◯コを通じてノノミ=ネフティス(かつての浮気相手)のエロさを感じとり神秘の正体に気づくチ◯コレーダーとかやろうと思ってたけど、流石にアレかなって自重してたら使わないままここまできちゃった
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