入試直前という現実「やぁ」
いやぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!
開戦より二日、未だ『帝国』と日本との間で戦闘は起きていない。銃弾すら飛び交うこともない。しかし、静寂はそう長く続くものではなかった。
島根県沖 50海里
その海域を哨戒中の第4艦隊に突如衝撃走る。
艦隊旗艦あかぎ*1 艦内
電探手「レーダーに感あり!北西十時の方向!距離8000!数20!」
?「総員、戦闘配置!」
そう告げる男は第4艦隊司令の『藤原友樹』司令であった。
藤原「敵の構成は?」
主席幕僚「駆逐艦10、巡洋艦6、重巡クラス3と戦艦と思しき艦が1隻の水上打撃群と思われます」
藤原「わかった。対水上戦闘用意!」
号令とともに隊員たちの慌ただしさが増し、表情も一層険しくなる。
藤原「航空司令、E-2C/J(早期警戒管制機)を発艦させてくれ」
E-2C/Jはアメリカのノースロップ・グラマン社が製造している早期警戒機であるE-2Cを日本が独自改装した早期警戒管制機である。
航空司令「直ちに行います」
その頃あかぎの甲板では発艦作業が急ピッチで行われていた。
「発艦作業急げ!もたもたしてると敵にやられるぞ!応急対策班も備え!」
格納庫からエレベーターによってE-2C/Jが甲板に上がると、即座に発艦位置へ移動させられた。
航空司令「E-2C/J、発艦準備完了しました」
藤原「よし、発艦せよ!」
無線にて
管制官「Hound Master(早期警戒機),Contact Tower 418.2.」
パイロット(以後、HMと表記)「Connect Akagi Tower,418.2.HOUND Master.
Akagi Tower,Hound Master on your Frequency.」
管制官「Hound Master,Akagi Tower.Your No.1 Hold Short of Runway 01.
Hound Master,Line up and wait,Runway 01.」
HM「Runway 01.Line up and wait,Hound Master.」
管制官「Hound Master,Wind 050 and 2Knots,Runway 01 Creared for take off.」
HM「Runway 01 Creared for take off.」
管制官「Hound Master,Connect Departure.」
HM「Connect Departure,Hound Master.Good day!」
航空司令「E-2C/J、発艦完了しました」
藤原「わかった。続けて、攻撃隊の発艦に移れ」
航空司令「了解です。今すぐ発艦可能な隊は?」
管制官「現在、マリンハウンド隊が最も早く発艦できます。次いでマリンシェパード隊が順次発艦可能です」
航空司令「マリンハウンド隊及びマリンシェパード隊に発艦命令!」
管制官「了解。急がせます」
これにより艦載機のF-35Bの航空隊が発艦に移る。先程と同様、手際よく準備が完了し、空に上がっていく。
わずか数分のうちに全機が飛び立ち、獲物を求めて飛んでいく。
猟犬は放たれた。
航空司令「攻撃隊全機、発艦完了しました」
藤原「よし、一旦距離を取る。全艦回頭、取舵120度、第三戦速!」
その頃何も知らぬ帝国軍はゆっくりと着実に日本へ近づいていた。しかし、その進軍は停まることになる。
?「ふふ………もう少しですよ………………もう少しでニホンは血生臭い戦場に変わるのです」
そう言って不適な笑みを浮かべるのは、帝国軍ニホン征伐艦隊司令の『アンツィオ・メレヌーア』であった。帝国海軍内、果ては連邦の軍人からも名将と名高い。しかし、兵士も民間人も関係なく殺す上に、サディストとしても有名だ。
アンツィオ「さて、そろそろ陸地も近い。兵士の鼓舞といきましょう」
そう言うと、兵士がマイクをスッと渡した。
帝国兵「これをどうぞ」
アンツィオ「ありがとう。各艦に回線を繋ぎなさい」
帝国兵「準備完了しました」
アンツィオ「よろしい」
そう告げると彼は語りだすのだった。
アンツィオ「兵士諸君。我々は皇帝陛下から崇高なる命令を授かりここにいる。私は陛下を敬愛している。諸君もそのはずです。ならば、陛下のため、ひいては帝国のためにその礎となろうではありませんか!諸君、我が帝国にたてついたニホンに鉄槌を下す時です!さぁ………地獄を造りあげましょう」
そのスピーチが終わるといたる所から歓声が上がる。
しかし、それも束の間であった。バンッと勢い良く艦橋の扉が開く。
アンツィオ「何事です?」
帝国兵「ほっ、報告します!見張員が上空に飛翔体を発見しました!」
アンツィオ「飛行船では?」
帝国兵「それが、飛行船とは全くの別物で、飛行船の倍以上の速度で飛翔している上に小型のものです!」
アンツィオ「何!そんな物がこの世界にあるというのか!?」
彼らが驚くのも無理はない。この世界の航空技術は日本がいた元の世界と比べて遅れている。飛行機なんていう航空機は存在しないのだ。まして、ジェット機なら尚更知る由もない。
アンツィオ「レーダー手!何故気付かなかったのです?」
レーダー手「申し訳ありません。レーダーが何の反応も示さなかったので…」
ご存知の方も多いだろうが、F-35はステルス機である。元の世界のレーダーならまだしも、この世界のレーダー技術は第二次世界大戦頃とほぼ同じなのだ。到底探知のしようがない。
アンツィオ「ぐぬぅ………仕方ありません。総員、対空戦闘用意!僚艦にも伝えなさい!」
帝国兵「はっ!」
帝国兵「各員、配置完了!」
アンツィオ「射程に入り次第攻撃しなさい!なんとしても撃ち落とすのです!」
HM「こちらハウンドマスター。マリンハウンド隊及びマリンシェパード隊は応答せよ」
マリンハウンド隊長機「こちらマリンハウンド隊長機。TACネーム『ヴァイパー』どうぞ」
マリンシェパード隊長機「こちらはマリンシェパード隊長機。TACネーム『リッカー』です。どうぞ」
HM「了解ヴァイパー、リッカー。以後貴機らをそれぞれハウンド1、シェパード1と呼称する。他の所属機も同様のコールサインの整理番号だ。これより支援を開始する」
ハウンド1「感謝する。対象位置を請う」
HM「対象は貴機より北西2500にあり」
ハウンド1「了解。マリンハウンド隊全機、俺に続け!」
シェパード1「マリンシェパード全機に告ぐ。マリンハウンドに続いて攻撃態勢を取る。後れを取るな!」
数分後、発艦した航空隊から通信が入る。
主席幕僚「報告します。先程発艦したマリンハウンド、マリンシェパードより入電。敵艦隊を捕捉したとのことです」
藤原「よくやったと伝えてくれ。通信長、敵艦隊に停船命令と降伏勧告をしてくれ」
通信長「了解」
再三にわたる警告に返事はなかった。
電探手「敵艦隊、いずれも前進中!停まる気配ありません!」
藤原「なるほど………………よっぽど敵さんは戦争がしたいらしい………………………………マリンハウンド及びマリンシェパードに攻撃命令!敵艦隊を撃滅せよ!」
航空司令「直ちに打電します」
HM「あかぎよりハウンド及びシェパード宛て。『直チニ敵艦隊ヲ撃滅セヨ』」
待ってましたとばかりの声が無線のあちらこちらから聞こえる。
ハウンド1「Roger。ハウンド1より各機、兵装の使用制限を解く。盛大に暴れてやれ!」
ハウンド隊「Wilco!」
シェパード1「シェパード各機、聞いていましたね?敵に"現代の"戦争を教えてやりなさい!」
シェパード隊「Copy that!」
その後、向かってくる得体の知れない飛行物体に半狂乱になりながら帝国海兵は機銃や速射砲を撃ちまくったが、そもそも航空機を狙うための照準器がなく、偏差射撃もできていないので当たる訳がなかった。
また、ミサイルを撃ち込まれた帝国艦船はいとも容易く轟沈するか、機能停止した。
アンツィオ「馬鹿な………………我が艦隊を構成していたのは、帝国科学院の新技術を結集した新鋭艦だぞ。なのに………何故だ!?何故だ!?何故だあァァァァァァァ!!!!!巫山戯るな!敵に損害を与える事もなく、ただただやられるなんて事あるはずがない!………そうか、これは夢だ。そうだ、そうに違いない!でなければ、こんなむざむざやられる訳が無い!は…ハハッ、ハハハハハハハ!!!」
その時、爆発が起きた。
アンツィオ「ぐわぁぁぁぁ!!!!」
護衛艦あかぎ CIC
通信手「マリンハウンド及びマリンシェパード隊より入電!敵艦隊を殲滅。残敵無し。我が方の損害皆無。これより帰投するとのことです」
藤原「良くやったと伝えてくれ。全艦へ通達。状況終了、戦闘用具収め。引き続き、警戒を厳となせ!」
主席幕僚「ようやく、一息つけますね」
藤原「そうだな。だが、まだ気は抜けないぞ。それに、できれば捕虜を収容したい」
副長「そうですね。敵とはいえ、人道的に放置できません。それに情報が手に入る可能性もあります」
藤原「その通りだ。救援として、いなづま、さみだれを当該海域に送ってくれ。まだ間に合うはずだ」
主席幕僚「はい。至急、その旨伝えます」
かくして、帝国と日本の初戦闘は日本側の大勝利という形で幕を閉じた。この時、捕虜を獲得し、情報も得られた。数日後、帝国駆逐艦の一部が引き揚げられ、呉のJMU(ジャパンマリンユナイテッド)に送られた。というのも、この世界におけるラグナイト機関の研究をするためである。そして、そのラグナイト機関を応用した新兵器が完成するということはまだ誰も知らない。