世界を守って死んだ(事になっている)最強騎士は自分の影響力を知らない 作:城之内
皇王の名前を気にしている場合ではない。
周囲の壁に刻まれた線が扉のように縦に裂かれて、中から機械仕掛けの人形が無数に現れた。
四角形の大広間が瞬く間に
アレンとアスモデウスは四方を囲まれた。
よく見ると
更に彼らの胸部の中央には光り輝く宝玉が埋まっていた。
「まさかあれは
人形達はそれぞれ武装している。
弓を握っている者や剣、槍、素手の者もいる。
『『
整列した剣や槍を握った
瞬間、胸部の宝玉が光り輝き、その光が全身に広がる。
魔法もそうだが、
つまり機械仕掛けの兵士たちは人体の神秘、
明らかに現代以上の高度な文明を感じさせる。
もしこの技術を現代に復活させる事ができるなら、もはや人類が戦わなくてもよくなる。
ただ肝心の戦闘力は元世界騎士にとっては物足りない。
それこそ、
アレンはアスモデウスを抱き抱え、次々と襲い掛かってくるゴーレム達の攻撃を躱して両断していく。
「……数が数じゃ。わらわの力を使っても良いぞ? ここでは誰の眼もない。こんなガラクタ、一瞬で消滅できるのじゃ」
「……いや、ストックが残り少ないでしょ?」
アスモデウスの能力は性的興奮を糧に発動できる。
魔王戦で長時間発動したので、もはや使用時間が限られているのだ。
余程のピンチの時以外、温存したい。
ちなみにアレンは世界騎士時代、皇国にある拠点――【静寂の塔】に皇国の姫君と一緒に住んでいた。
救われた恩義からか、色仕掛けを時折してくる彼女にアレンも何度か手を出そうとしたが、興奮しても逐一アスモデウスに吸収されていたので、手を出さなかったのではなく出せなかっただけである。
閑話休題。
剣士型のゴーレムを片付けたアレンは続けて拳に手甲を装着した
『
盛大に火花が散った。
アレンの一刀がゴーレムの装甲に弾かれる。
隙と見て、そのまま殴りかかってくるゴーレムの金属製の拳をアレンは剣の腹で受け止めた。
「……今のは拳士の
騎士核を持つ者は武器に魔力を纏わせる武器強化と身体強化の
対して目の前のゴーレムのように拳士核を持つ者は身体強化と肉体硬化の
両者は似通っているが、使える技は分かれているのだ。
周りを囲まれたアレンは強引に剣を払い、アスモデウスを抱えたまま空中に飛び上がる。
その瞬間、誤射を恐れて待機していた弓を持つゴーレム達が動き出す。
『
同時に射出された金属の矢五本をアレンは長剣を鞘にしまい、空いた片手の指の隙間を使って全て受け止める。
その瞬間、矢は緋色の輝きを帯びるが、
「要らないのでお返しします」
アレンは矢が爆発する寸前、超速で矢をゴーレム達に投げ返す。
弓で射った速度を軽く超える速さで飛んでいき、着弾したと同時に五つの爆炎が連なる。
弓を構えている付与核を搭載されたゴーレム達を根こそぎ破壊したアレンは依然として大量にいるゴーレム達の頭を足場にして、蹴り壊しながら移動する。
「やれやれ、キリがない」
「……アレン。わらわ酔ってきたのじゃ、うぷっ、あまり激しく動かんでくれっ」
「いや無茶言わないで? ただでさえ君を抱えてるせいで片手が塞がってるのに、更にハンデを負えと?」
「うむ」
「いやうむじゃねえよ、そもそもなんで剣が酔うんだよ」
文句を言いつつも、アレンは高速で動くのを止めた。
マントを翻して着地する。
そしてため息を吐きながら再び抜剣した。
今まで以上に出力を上げた。
アレンの身体から漏れる紫紺の魔力が長剣に絡みつき、
「――
アレンは水平に剣を振るう。
三日月状の紫紺の斬撃は波動となって空間に広がり、その波動に触れたゴーレム達の身体が一斉に真っ二つになる。
「……魔王戦でまあまあ疲れてるんだから、あまり
大空間にいた数百体以上のゴーレム全てが白煙を上げるガラクタと化した。
古代文明の兵士達も、現代最強の英雄には敵わなかったようだ。