「ゆかりん、今日はどうするの?」
「今日は買い物という面目で私の幻想を現実に変える準備をするわ」
「わかった、ついてくねー」
「私も行くわよ」
メリーことゆかりんはそう言って小さなスキマを開いた。その先はかの有名な京都。日本という場所にスキマを繋げた。この動きをみたら数日前に泣きじゃくってた子とは思えないね。
「えぇと、
「「いや正直言って恥ずかしいから本名でいい」」
「そ、そう?」
いやほんと恥ずかしい。フランて、なんかいそうだし。ラピスもいそうだし。私達日本の文化圏だから恥ずかしい。
「ここで何をやってるの?」
「京都や奈良って神社が多いのよ」
「そ、それで?」
「ここにどさくさに紛れて誰もいない神社を見つけたの。それを依代に大結界を展開するの」
何となく分かったから要約すると、ここの神社を結界の門にするってことね。それはとってもいい。分かりやすいし。強いていうならそんな簡単に入られちゃ困るってところかな?
「どうやって結界守るの?」
「そこなんだけれど、相当な大妖怪なら出来そうだけど、私はただの雑魚妖怪だから無理なの」
「それなら私らがやろうか?」
「いいの?」
「勿論」
結界の展開は簡単に出来そうかな、たぶん。
「結界の展開はいつ?あとその神社ってどこ?」
「場所は名前も分からない神社、結界の展開はまだ目処が立ってないよ」
「じゃあまだ出来なさそうな感じ…なのね?」
「うん」
「なるほどー、じゃあまず幻想を守る場所を作る手順としてまず妖怪を集める、というのがある。あと場所。そして作り上げるために必要な力と、中で管理をする役割。全てを受け入れるという面で無条件にしてもいいとは思うけど、それだとまた妖怪が恐れられて終わり。なら『忘却』という手順を踏まない限り立ち入ることはできないとかもいいね」
私が喋り終えると2人は唖然としていた。あれ、私なんか変なこと言ったかなぁ?
「アンタ、そんなツラして案外ちゃんと考えてるのね…」
「思ったより詳しく言ってくれた…」
「ねぇ!?私のことなんだと思ってるの!?」
そんなに私バカに見えてたの…?
そうして私と結はゆかりんに無名の神社まで案内してもらって、あたりの調査を始めた。特に目立ったものがあるわけでもない。多分。
歴史があるわけでもないであろうその神社には一つの巫女装束と陰陽玉が置いてあった。
「ゆかりん、これは君が置いた奴?」
「いや…全く知らない…かな」
「そっかそっか、じゃあ置いておこうかな」
もしこの場所にとって大切なものだったら困るし、置いとく方が良い。
「紫ちゃん、これは貴方の?」
今度は結がこっちに来て、巻物のようなものを見せてきた。そこには何かしらの文字が書かれていて、巻物を広げたゆかりんは見たことがないのか、首を捻っていた。
私もその文字を見て首を捻っていた。読めないが過ぎるから。
「流石にこれは心当たりがなさ過ぎるかも…」
「そうよね、変な質問して悪かったわ」
それだけ言って巻物を元の位置に戻しに行った。私もついでに戻してこよ。
無名の神社の探索を終えて、賽銭もした。
特に目新しいものはなくて、何か重要な役割を持つわけでもない。至って普通のように見えて、この時代じゃ逆におかしな神社だった。
この時代じゃ普通に人がいないとおかしいからね。なんせ戦国時代みたいな奴だったと思うし。誰かしらいるはずなんだよね。
「隣に家みたいなのあったし、お邪魔してみる?」
「それいいね〜!」
「人が居たら良くないと思うけど…いいんじゃない?」
ゆかりんからの提案で、私達は隣の家みたいな場所に行くことになった。結の言う通り誰か居たら困るけど、流石にないでしょ!
なぁんて、思ってた時が私にもありました。
「アンタ達…誰?」
その小屋?家?の中には普通に人が居て、当たり前のように私達は敵対視されている。
私達の首にはそれぞれ大幣、何かの針、なんかヤバそうな雰囲気が出てる札が当てられていた。札に関してはゆかりんの顔の近くで浮遊している、が正しい言い方かな?
兎に角言い訳を考えないことには命はない。とりあえず自己紹介をして…それで…。
「えぇっと、私は宵柱音、この子が雲霧結で、こっちが八雲紫…私達は色々あってここに居て…??」
「どうして疑問形なのよ」
さっきよりも圧が強くなったその少女は私を強く睨みつけた。どうやってこの状況を切り抜けるべき…なんだろ?
「さっき紹介された八雲紫よ、私は貴方の住まうこの神社を知りたいの、ダメ…かしら?」
「…」
私に向けられていた視線がゆかりんへと移る。間に挟まる結は一言も発さず、ただただ少女を見つめている。
そうして少女は武器を下ろした。
「はぁ…別にいいけど、面白いものはないわよ?」
そして、私たちに許しの言葉を出した。