「まず、アンタ達は何のためにここを知りたいの?その返答次第で伝えられる内容が変わってくる」
武器が下ろされて私はとりあえずこの少女の見た目を把握することにした。
服装は正に普通の巫女装束、髪色は珍しい紫色。頭には大きな赤色のリボンがつけられている。これが本当に日本人…?
「私達は全てを受け入れる楽園を作るために協力してくれる人を探している、その上で必須なのが一つの神社の協力、というのがあるの」
へぇ、そんなのあったんだ……。
「それで?」
「貴方は此処一帯の神社と違い何か特別な力を感じる。だから協力の申し出を受けて欲しい、という…」
ゆかりんが懸命に紫髪の少女に説明をする中、少女は変わらずゆかりんに僅かに圧をかけながら質問を繰り出していく。
ただ私が分かるのは彼女の目の色が、警戒から好奇心に変わってきているということ。
「──それでこの神社が適任だと思って、協力をして欲しい、と、そう言うことね?」
「はい」
そこから暫くの静寂、少女が肩に大幣を乗せて、思案顔をする。
「…乗った、それなら私も興味があるわ、この博麗神社をその幻想に組み込むことを許す」
案外あっさりその人からの前向きな言葉が聞けた。
「じゃあ、まずここについて知りたいのだけど、いいかしら?」
さっきまで固まってた結も平常心を取り戻し、目の前にいる少女に質問を投げかけた。
「いいわよ」
当然、とでも言うかのように少女は身を翻し、私達を家の外へ案内した。
「私は博麗靈夢、ここの初代巫女よ」
初代ってことはここは最近できたってことになるのかな?さっき聞いたところ神社は博麗家?のものなんだろうけど…。
「じゃあ靈夢、そう呼んで良い?」
「好きにしなさい」
「靈夢以外にここに住む人はいないの?」
「私は神と妖怪に育てられた巫女よ、見える人は見えるわ、私以外の住人が」
靈夢はさっき私が見た陰陽玉に手を触れながらそう言った。
神と妖怪に育てられた人間の巫女、だから私達の話に興味が沸いた、そう言うことなんだろう。神に対する信仰が消えれば、神は消える。周りから見えなければ、妖怪はいないものと同義。
それらを全て受け入れ、存在できるようにする、それがこの計画の先。
「ふぅん、今はどこにいるの?」
「境内の中で騒ぎ回ってるわよ、貴方達は見える側?」
そう言われて境内の方を見てみると…。
「呑め呑めェ!騒ぐぞぉ!」
「あっはっはっはっ!」
いました。
「お?靈夢じゃないか!こんなところで何してるんだ?」
片方は鬼、もう片方は多分神。鬼…いや、酒呑童子かな?どうなんだろ。
「アンタらに楽園を作る手伝いをしてもらおうと思ってね」
「楽園?何故?」
神の方が少し怪訝な顔をして酒樽を地に置いた。
「ここでも充分楽しいじゃあないか、どうして急にそんなことを考えるようになったんだ?靈夢」
「…別に何だって良いでしょ」
「靈夢の意思を変えるのは難しいんじゃないか?それは一番お前が知っているだろう?
神の名前は鬥我というらしい。なんか…すごい名前の人多いね、ここら辺。
「萃香…だがお前も私がここが好きなことくらい覚えているはずだ」
「だから離れたくないってか?お前が好きなのは神社だった筈だ。なら、この神社ごと移動させれば良いじゃないか」
知らない間に神と鬼の会話は進められていき、最終的には私たちに賛同してくれた。にしても、ゆかりんは住民がいると思ってなかったのかな?
急遽決めた場所だったりして。まぁそんなわけないか。
萃香と呼ばれた鬼と、鬥我と呼ばれた謎の神、そして多分ここの巫女の博麗靈夢に神社の裏に案内され、ここに結界を作ればいいと言われた。
それはそれは小さな祠で、これに境界を付けんの?って感じ。
「とりあえず結界張ってみる?」
「い、いや…そんな軽い気持ちでできるものじゃないでしょう…?」
鬥我が軽い気持ちでそう言った。
いや、まだ流石に早いんじゃないかな…??せめてもう1人神を集めるとか…ねぇ?その方が絶対安心だよ。
「軽い気持ちでやらないと損じゃないか、音と言う者よ」
「ひょえっ、なんで名前を!?」
「博麗に住まう神だ、それくらい造作もない」
ドヤ顔でそんなこと言ってるけどね、気楽すぎると私は思うんだよね。これと共に理想を作っていけるの?って思うくらいには。
なんかその辺に別の神でも転がってないかなぁ?
あと、よく考えたら理想郷を作る上で主要部になる筈のゆかりんが幼すぎる気がするんだよね、私的には。別にいいよ?いいんだけどね?…いやよくない。
兎にも角にもまだ決断するには早い!そんなすっからかんな場所だけを作ってもって感じだし。まだ作るべきじゃないんだよ、きっと。
「はは、音は自問自答が多いな、流石は100年以上の時を生きた月兎だ」
「それを言えば私もそうなんだけど?」
「の割には音との思考の量が違うように見えるが?」
いや、それなんの話??というか今頃だけど、この人神という権限を乱用して、人の心読んでるな…?
よくないよ!そういうの!ぷらいばしーしんがいって言うんだよ!!
「とりあえず、協力者を集いましょうよ、現在の状態じゃあ不完全だと、私は思うの」
「ユカリンの言う通りだ、流石に気が早いんじゃあないか?」
イントネーションきもいなこの鬼。
…じゃなくて、この鬼の一言でもう少し様子を見ることにしたらしい博麗の神は幻想設立のリーダーでもないのに「仲間を増やしてこーい」と私達に指示をした。
更新遅刻すみません