「えぇと、ドヤ顔のとこ悪いんだけど、流石に一日目で開店は無理だよ?」
「えっ、そうなの?」
「そりゃそうだよ、一日で突如現れた店ってどんなんだよって感じ」
「ふぅん?ならそれを利用しない手はないんじゃないか?」
そう言ったのは萃香だった。
「利用しない手はないって言ったって、どうやって利用するの?」
「一日しか経っていないのに突如店が出来たら驚くだろ?そしたらみんな気になって見にくるだろう。そこでもう集客しちまおうって話だ」
「でもそれができたとして、客が集まるのは最初だけよね?」
「じゃあ駄目だわ☆別の案頂戴!」
なんだこのバカな鬼は…。
「まぁ、それなら一日お試しで開店してみたらいいんじゃない?きっと店長?の音と結がどうにかしてくれるわ」
「まぁ、紫がそういうなら…そうなのかも?」
「あ、あぁ、がんばるよー…」
「そうね、任せて頂戴…?」
丸投げ…丸投げかぁ…。ゆかりんまでもが丸投げかぁ…いや、いいよ?いいんだよ?でもさぁ?もうちょっとなんか、案があってもよくない…?
「異論がある奴はいないか?」
「はい」
「ほい音」
「手伝え馬鹿共」
「…他に何かある奴はいないか?」
「「「……」」」
…チッ。
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yuwai (spinel) side
…ダンッ!
「… 開 い ち ま っ た よ く そ ぅ ! !」
「ちょっ、音煩い…」
「あぁごめんごめん…みんながあまりにも投げやりすぎてね…」
額に青筋を立てながら引き攣った笑顔を浮かべ台パンの体勢でこちらを見る音。なんとも可哀想な姿だ。
「結も何か言ってやればよかったのに…」
「そうは言ってもね音、逆にアイツらにこの宵雲屋を任せたらどうなる?大惨事よ?」
「…」
音は声を表に出さず、心の声だけで話す事が多々ある。ズバリ今この音が考えていた事は『まぁそれもそっか』とかだろう。私的にはそんくらい表に出せやと思う。
そして早速人?がやってきた。彼女は背に弓を携え、誰かを護衛しているかのような佇まいで店の前にいた。
「…あら、奇遇ね、貴方の依頼を受けたという物珍しい店の名前がこんなところにも…彼女達は最初から地上に繋がりがあったのかしらね?」
「さぁ、どうなのでしょうか…」
ちらりと音の方を見てみると、彼女は受付の机に頬杖を付きながら目を見開き、営業スマイルを貼り付けたまま焦っていた。音さん冷や汗すごいが貴方大丈夫かい?
チリンチリンと店の扉が開く音がした。
「い、いらっしゃいませー…」
音が目を逸らしながら接客をした。
「…あら、人見知りなのかしら、ねえ“永琳”」
「はて、どうなのでしょうね、ふふふ」
2人は音を取り囲み、ニマニマといやらしい笑みを浮かべている。
…はっ、まさかこの人達のどちらかが月の頭脳、八意××…!?そうなると音が焦るのにも頷ける…!もしや蓬莱の薬を完成させてしまった…とか!?*1
そうして地味に絶体絶命な状況にさらされた音を、私はとりあえず傍観することにしたのだった。