小さな夢は幻想へ   作:硴里りま

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四天王

 鬥我を引っ張り出して、萃香も酒で釣れた。あとは出発するだけになった。

 

「改めて、まずは自己紹介をしていこうか」

 

「元月の村の自警団、そして宵雲屋の店主である月兎、宵柱音だよ」

「月の村の医者、宵雲屋の最初の店員の月兎、雲霧結よ」

「伊吹童子、山の鬼の四天王のうちの1人、伊吹萃香だ!」

「博麗之龍神、この地の加護を授ける神、博麗鬥我だ」

「未だ小さな大妖怪、スキマを扱う妖怪、八雲紫よ」

 

「鴉天狗であり小天狗、天狗を纏め鬼に付き従う妖怪、射命丸文です!」

 

 初めに私が言った自己紹介形式をそのままみんなが使って自己紹介した。なんか、みんな仰々しい役職をお持ちなようで…私が掠れて見えるよ…。

 

「あぁ、あともう1人いるんだが、私が勝手に自己紹介しておこう」

「博麗神社の初代巫女、神を自由自在に操れる人間、博麗靈夢だ。絶対に敵に回してはいけない相手だ。覚えておきな!」

 

 そう言いながら靈夢の写真を見せた萃香。神を自由自在に操れるって…靈夢ってすっごい。私じゃ絶対に無理だね(能力的に)。

 

「はい!覚えておきます!それでは早速集落に向かいたいんですが…」

「任せて、場所は分かったから」

 

 ゆかりんが扇子でまた空間を裂く。

 

「二、三歩進めばもうそこは天狗の集落よ」

「へぇ…凄いですね…」

 

 そう言いながら二、三歩進んだ文さん。そして絶句した。

 

「な…ほ、本当に…」

「どうかしたの?文さん」

「文でいいですよ音さん。…本当に集落についてしまいました…」

「ふふ、これが私の能力よ!」

 

 自慢げに語るゆかりん。その表情が愛らしくて思わず抱きついてしまいたくなった。可愛すぎるんだよ仕方ないでしょ?

 

「さすがです!まずはこれから先の出来事を新聞にする許可を貰いたいのですが…」

「許可しよう」

「ありがとうございます!それでは早速私たちを纏める鬼の元へ向かいましょうか!皆さん飛べますか?」

 

「私は飛べるよ、龍神だからね」

「私も一応月に住んでたわけだし、飛べないことはないわよ」

「私もイケる〜!」

「私は鬼だから無理だな!」

「まぁ、頑張れば出来るわ」

 

「そうですか、なら萃香さんは私に捕まっていてください、運びますよ!」

「助かるよ」

 

 そういうと萃香は文に近付いて、小さくなった。

 え鬼って小さくなんの?初耳なんだけど。

 

「あややっ!?小さくなってしまいました!」

「これは私の能力だ、後に戻るから気にしないでくれ」

「分かりました」

 

 小さくなった萃香を文は抱き抱えて、私達についてくるよう促した。各自で空へ飛び上がったことを確認した文が鴉天狗とは思えないほど私達に合わせるようにゆっくりと飛んでいく。きっとこの鴉天狗、優しいできる子だね。私文大好き。

 数十分空の旅を楽しんだ後、文は不意に降下し始めた。それに追従するように私達もゆっくりと降下していく。

 

「ここが私達を纏める鬼の棲家です」

「懐かしいなぁ〜…」

「萃香さん来たことあるんですか?」

「あぁ、私が昔暮らしていた場所だよ」

 

 萃香が懐かしそうに目を細めた。瞬間、扉が開いた。そこから赤色の1本の角をもつ鬼が出てきた。

 

「小天狗が何の用だ」

「星熊童子様、天狗の集落復興のチャンスをもう一度頂かないでしょうか」

 

 星熊童子に膝をつきそう言った文。

 そっか、文は鴉天狗であり小天狗(?)だから結構上の役職になるのか。

 

「ほぅ?まだ粘るか…おいお前ら、天狗がまだやるって言ってるんだが…」

「もう無理だろう、まだやるか」

「あー?諦めたんじゃなかったのかい?」

 

 桃色の髪をした2本角の鬼、緑髪の1本角の鬼がのそのそと出てきた。

 強そう…敵に回したくない…。

 

「酒呑童子様が帰るまで我慢してろバカ天狗」

「そうだ、それまで行動を起こすなと言ったはずだ」

「うっ…すみません…茨木童子様、虎熊童子様…」

 

 ほーん、じゃあその酒呑童子を連れてこればいいってこと?茨木童子、虎熊童子、星熊童子…あとあそこでみてるのが多分もう1人の童子だろうね。多分酒呑童子を倒した、または酒呑童子に倒されたであろう四天王達。

 そうするとうちの萃香の言っていたことがおかしくなる。つまり、つまりだよ…もしかしたら萃香が酒呑童子ってのもありえるんじゃないか!と思った訳よ。えこれ結構筋通ってない?すごくない?

 

「おいおいお前ら酒呑童子とやらが帰ってくるまで待つのか〜?馬鹿だな!」

「!?」

 

 文が今までにないほどに驚いた。あ、もしかしてこれは、四天王の地雷だった説…。

 

「今、酒呑童子様を侮辱したか?」

「?そう聞こえたか?」

「お前なんぞ…蹴散らしてくれるわ!」

 

 相当な地雷だったのか、星熊童子と茨木童子が萃香に飛びかかった。

 

「音、茨木の腕を切り落とせ」

 

 小声でそう聞こえた。咄嗟に音波で無理矢理切り落とした。えこれでいいんだよね?

 

「っ!?」

 

 どさり、と腕が地面に落ちる音が聞こえる。上手いこと切り落とせたらしい。

 

「えーと、落ち着いたか?」

「?、…??」

 

 困惑する茨木童子。萃香がこっちに目配せをして、口パクで「手柄、借りるぞ」と言った。多分手柄っていうのは腕を切ったことだろうね。

 

「私はそんじょそこらの鬼とは違うよ?現に今貴方の腕を切り落とした。私達は天狗に協力したいだけだ。なんせここは崩壊しているらしいからね。ここは1つ、私達に協力させてくれないかい?」

 

 萃香が茨木童子に切断された腕を持たせて、そう言った。

 

「…やめてやってくれ、お前名前は?」

「伊吹萃香だ!勿論好きなものは酒だぞ!」

 

「そうか、じゃあ、協力頼むよ」

 

 そう言った星熊童子の表情は心なしか引き攣っている気がした。

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