「…ん」
朝になった。
まだ眠いけど、そろそろ見回りをしないと、いつどこで帝都が仕掛けてくるか分からない。
妖怪が来た時にすぐ応援に行けない。
ここはそういう場所だから。
まずは門からかな。
「おはよう、タヨ、今日もきたんだな」
「おはようカルミアさん、朝からご苦労様ー」
カルミアさんは村の入り口にある水無月正門の午前の門番を担当している。
カルミアさんは月に入ってくる妖怪などを退治する役割があるとても強い兎だ。
「お昼まで頑張ってね〜」
そう言いながらずんだ餅を手渡ししておいた。
自家製のものだ。
「お、ありがとな〜、そっちも依頼頑張れよー」
「ありがとー」
門の次に向かうのは村長の家。
「おはよーございまーす…」
村長の部屋には布団が敷かれていた。
そこには村長がいた。
まだ寝ていたらしい。
「お餅でも置いて帰ろうかな」
村長の家に私特製のずんだ餅を置いてから移動した。
「音ちゃんじゃん、おはよー」
「おはよー」
村長に親衛隊?みたいなのを任されて以来、私はよく話かけられる。
見回りをしていると必ず誰かが話しかけてくれる。
かまちょな私にとっては嬉しいことだ。
「今日はずんだ売ってないの?」
「売ってるよ〜、なんなら配ってる!」
「じゃあ頂戴!」
「はいどうぞ〜」
ある程度見回りを終えた。
今日はこのくらいでいいかな、となったところで宵雲屋に戻った。
「ただいも」
我ながらクソみたいなネタを挟んだただいまを言ったとおもう。
次は朝ごはんを作っていく。
とりあえずお味噌汁はつけておこうかな?
「よし、できた」
そうして朝のルーティーンは終わったので、寝坊しかけてる結を起こしに行く。
結の部屋にこっそり入って、そーっと結に近付いて…。
「結!起きて!」
「んぎょぁ!!」
全力で結の上に飛び乗って起こした。
「あはは!結すっごい声〜!」
「アンタが乗っかるからじゃない!」
「へへっ」
いつもと変わらない結の少し怒ったような表情を見てから、私は結から飛び退いた。
「げふっ、飛び乗るのも飛び退くのもやめなさい」
「わっはっはー」
「はぁ…」
「朝ご飯ならもうできてるよ〜」
ぴょんぴょんしながら台所まで行って結を手招きした。
結はちゃんとこっちに来て、ご飯を運んでくれた。
「…珍しいわね、お味噌汁なんて」
「久しぶりに作ってみたくてね〜」
そんな平和な会話をしていると、玄関から物音が聞こえてきた。
「あれ、依頼かな?」
「こんな朝っぱらから?そんなわけないでしょ」
「えー?結見てきてよ〜」
「…分かったわよ、ご馳走様」
「え、はや」
驚きの速度で朝ごはんを食べ終えた結は足早に玄関へと向かって行った。
「あら、クロウじゃない、どうかしたの?」
「よぉ、音呼んでくれないか?」
「いいわよ、音!クロウが呼んでるわよ!」
「へ!?クロウさんが!?」
クロウさん、本名をクロウ・リスペクト。
水無月正門の午後の門番を担当している。
私が見回りするのは大体午前なのであまり会わない人なのだが、今日は態々来てくれたらしい。
「クロウさん、今日はどうかしたの?依頼?それとも別の個人的なやつ?」
「依頼だよ」
そう言いながら、私に近付いて、一つの小さな機械を私に見せてきた。
「?」
「これを直してくれないかな、これがないとカルミアと連絡が取れないんだ」
私に見せてきたその機械は門番同士が連絡を取り合うための端末だったらしい。
試しに電源をつけてみると、画面が色ズレしたり、音にノイズがかかったりなど、大変なことになった。
「ほぉう…任せてー!」
「ありがとな、お代はこのくらいでいいか?」
そこには札束があった。
「束???」
「…百万はあるわね」
もしや闇金…?
「音、闇金じゃないから変な想像はやめてくれ」
「はーい」
百万ってことは他にも何か依頼があるのかな?
「他にも依頼があってな、妖怪や侵入者を2週間ほど絶対に入れないようにして欲しいんだ」
「ふむ…分かった!任せて!」
そうして私たちは門番から依頼を受け取った。
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カルミア・ヴァー
午前の水無月正門の門番。
クロウ・リスペクト
午後の水無月正門の門番。