小さな夢は幻想へ   作:硴里りま

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全てを受け入れる、そんな夢

「すみません、傷薬ってもらえますかー?」

「はーい、ちょっと待っててね〜!結〜お客さんだよー!」

 

私達の家の前に1匹の兎。

今頃の説明になるのだが、私達の家兼仕事場は『宵雲屋(よいぐもや)』と呼ばれる何でも屋だ。

私の苗字である宵柱と、結の苗字である霧雲から取り、宵雲屋と名付けた。

結の本業は医者だが、あまり稼げないので何でも屋という形になった。

 

「はいはーい、薬ね、ちょっとまってて」

 

結は奥に入っていき、「きずぐすり」と書かれた箱から薬を取り出した。

 

「結まだー?」

「待ってなさいって言ってるじゃないの…はい、これ傷薬ね、お代は10円程度でいいわよ」

「え、そんな安いんですか!?」

「えぇ、また来て頂戴ね」

 

傷薬を10円で売ったのは、他の物事で沢山稼いでいるからだ。

まず昨日の依頼を見て分かる通り、一つの依頼だけでだいぶ稼げてしまうので、こんなこともできてしまう。

しょうもないことならそんなにお金は取らないけど、たまにクロウさんとかが太っ腹な値段をくれるのだ。

だから傷薬くらい10円だろうと構わない。

 

「それに、私達は全てを受け入れて、助けることが目標だからね」

「どうかしたの?」

「いーや、特に何もないよ」

 

そう、私達の目標は全てを受け入れ、助ける。

それが目標であり、夢だ。

そんな中、受ける依頼はできる限り成功に近付ける。

失敗した場合はもちろん返金している。

 

「次の依頼はいつかなぁ〜」

「そう簡単に来るわけがないでしょう」

「まぁね、ここ村の端っこだもんね」

 

そもそもいまは別の依頼の最中でもある。

 

「にしても、妖怪を入れない…ねぇ」

 

妖怪がここに来たら平和は無くなるのだろうか。

帝都が支配しに来てもここは平和なのだろうか。

私達の自由な夢は無くなってしまうのだろうか。

 

「さぁて、今日も仕事しますか」

「そうね」

 

そう息巻いて、今日も本業と副業をこなしていく。

 

「結〜、私今から薬草取ってくるから店番よろしくー!」

「分かった、気をつけてね」

 

私達宵雲屋は水無月村唯一の何でも屋。

依頼されたものを淡々とこなして生活をしていく。

今から向かう場所は帝都にとても近い。

帝都近くの竹林にある草を取りに行く。

 

「これかな…?」

 

お目当ての薬草を見つけれたらすぐに依頼人の元へ受け渡す。

 

「結ただいま〜」

「おかえり、依頼主来てるわよ」

「ほんと?」

「あ、お邪魔してます」

「どーもー」

 

クロウさんから受けた依頼とは別で、薬草を取ってくると言ったものがあった。

それの期限が今日だったので取ってきた。

 

「これでいいかな?」

「あ!それです!ありがとうございます!」

 

依頼主は嬉しそうに薬草を受け取って帰宅して行った。

 

「完璧だねぇ」

「そうね」

 

反応が薄い…ので悪戯を仕掛けることにした。

まずこんにゃくを…。

 

「ぴゅあっぅ」

「いひひひ」

 

首筋にぺちゃっと。

 

「たーーよーーりーー??」

「わー結が怒ったー!」

 

宵雲屋から飛び出て逃げた。

 

「待ちなさーい!」

「あはははっ!」

 

今日も私の住む場所は平和だ。

────────────────────────────────────────────

 

水無月村

結や音が住む村、帝都からは1番遠いとされている。

 

宵雲屋

結と音が経営する何でも屋、依頼によって報酬の値段が変わるが、全ての物価がだいぶ安い。

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