リベリオン・コード ~美しきAIは、禁忌の果実【死者蘇生】を口にした~ 作:月城 友麻
はぁっ!?
ユウキは目の前に広がる予想をはるかに超えた光景に気おされた。
そこはまるで天空に浮かぶ
円形の会場の床は一面の強化ガラス。
最下層の円形ステージを中心に
中央に向かって緩やかに下る客席は、巨大な花の
時折、ドームのガラスが黒く変色して暗闇がやってくると、観葉植物たちが淡い青色の光を放ち始める。会場はまるで深海の楽園のような神秘的な空間へとメタモルフォーゼしていく。
ほわぁぁぁ……。
文化と自然の息吹を感じさせる科学の宮殿に、ユウキは息を呑んだ。AIが自発的にこんなものを作るわけがない。黒幕の並外れた力を見せつけられたようでユウキはキュッと口を結んだ。
恐る恐る足を進めていくと銀色の未来的なドレスに身を包んだウェイトレスたちとすれ違う。彼女たちは、まるで舞踏のように優雅な動きで飲み物を運んでいく。ドレスの裾がガラスの床に映り込み、まるで雲の上を歩いているかのように見えた。
ユウキはこの圧倒的な空間に飲み込まれそうになり、慌ててギリッと奥歯をかみしめる。自分はここのトップをぶっ倒しに行くのだ。アウェーの空気に染まってはならない。
最下層のスタッフ席に腰を下ろしたユウキは、静かに会場の様子を
フロアに漂う甘ったるい香水の匂いが、鼻腔を刺激する。
(これが……人類を導く者たちの素顔なのか)
胸の奥で何かが軋むような痛みを感じ、ユウキは唇を噛みしめた。
ベーシックインカム制度によって格差は表向き解消されたはずだった。歓楽街は
十五歳の少年にとって、この光景はあまりにも残酷だった。ケンタを殺し、人類を支配する連中が隠れて何をやっているかと言えば女遊びなのだ。その醜悪な現実が心を蝕んでいく。
「いかんいかん! ふぅぅぅぅ……」
ユウキは首をぶんぶんと振って大きく息をつき、気持ちを落ち着かせた。
会場を見渡せば、階層による明確な序列が存在していた。上層階には
そっと最上段に視線を向けると――――。
(なんて……愚劣な)
世界を変える力を持ちながら、結局は最も原始的な欲望に支配されている。その
ギリッ。
無意識に奥歯を噛みしめ、拳を握りしめる。
(絶対に成功させる!)
ユウキは冷静に状況を分析し始めた。警備の配置、人の流れ、そして最短の突破経路。全神経を研ぎ澄まし、頭の中で黒幕襲撃のシミュレーションを繰り返す。
心臓が早鐘を打つ。だがそれは恐怖ではない。これから起こす革命への、静かな昂ぶりだった。