最強の魔法少女は対立煽りがしたい   作:カピバラバラ

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閑話:働き兎、過労にて。

 

 

 

 

 

──悪の組織第一支部のとある一日。

 

「………」

 

「………」

 

「「………」」

 

絶賛、ミーはゲボ気まずい状況に置かれてるぴょん。

主が連れてきた魔法少女は、ドクターのお陰で何とか一命を取り留めたぴょん。でも……意識が戻ってからずっと、寝かせたベッドの上から動けずにいて……。

 

「…ミーはちょっとやることが…」

 

「変態、お前が離れたら死ぬぞこの子」

 

「……そうぴょんよねぇ…」

 

めっっちゃ虚無顔をした少女の前で、ミーはずっと手を繋がされてるぴょん。有り得ないくらい気まずいぴょん、アオはドクターの膝でお眠だし、なんでこんな微妙な思いをしなきゃだぴょん??

 

「どんな無茶すりゃぁ…こんなんになんだよ…無茶っつーか、自殺行為だ。魔素適合障害持ちが魔法なんか使いやがって…」

 

「分かるのかぴょん?」

 

「ああ、手首から先が消し飛んでたのは……手で魔法を使おうとして、魔素を通す体内パイプが破裂してんだ。証拠に身体中の制御回路がズタボロになってやがった」

 

「……主なら治せるぴょんけど、願いの傷っていうのは中々……複雑な理由がありそうぴょん」

 

「理論的には魔法を使ってんのが有り得ねぇ、そんな事したら内部から身体が破裂するが……願いの傷…か。おい変態、お前あの化け物の力使えんだよな?」

 

「つ、使えるぴょんけど、主みたいには無理だぴょん。ミーは何でもできるって思い込める精神性がないぴょん。今は無尽蔵の魔素をイメージしてるぴょん、それでミーの脳みそのリソースは終わりぴょん」

 

「……使えねぇなぁ!」

 

「うっせぇぴょん!!!」

 

──それでも、主が選んだのならミーは尽くすしかないぴょん。

魔素適合障害を持つ人間の魔法少女化は、奇跡でも起こらない限り生存出来ないぴょん……魔法少女になったとしても恐らくはこの子の様にマトモに魔法は使えないぴょん。

ドクターは凄いぴょん、魔素を抜き取っても死ぬし、抜き取らなくても死ぬし、何をしようが手遅れの状態から無理矢理生かさせてるのは、最早ドクターの異能ぴょん。

 

「……喋らないぴょんね」

 

「喋らないだろ、俺らどんだけ胡散臭いと思ってんだ」

 

「それは───そう」

 

髭面ボサ髪ポニテ白衣のイカつい面した丸サングラス付けてる男なんてミーでも話しかけたくないぴょん。

……めちゃくちゃブーメランな気がしなくもないけど。

 

「魔素適合障害…普通の人間でも時たま症状は出るんだがな……魔法少女ときたか…」

 

「確か魔素に対する免疫が一生獲得出来ない……的な奴だったぴょん?ドクターが論文に書いてた奴ぴょん」

 

ドクターはこの子の命を救う為に、生命維持に必要な大量の魔素をミーからこの子に直結で流しつつ、排出をアオに繋げてドカ食いさせてるぴょん。体内回路を補修しながらそんな事してるのは流石にドン引きぴょん。

 

「…読んでんのな。正確に言うなら魔素に対する過剰な細胞の防衛反応を引き起こす障害だ、正常な反応ではあるから魔素が攻撃で毒素に代わるのを根本的に治すことは出来ねぇ。だから魔法生物に触れられただけでも皮膚は火傷したようなケロイドを作り出すし、魔法少女が傍で魔法でも使おうもんなら……」

 

「……使おうもんなら…?」

 

「──身体爆裂して死ぬ」

 

「ぴょっ!?」

 

「嘘だ、まぁ軽度ならクシャミが止まらない、重度なら二日酔いみたいな頭痛がする程度だな」

 

「嘘つく必要あったかぴょん!?」

 

ドクターの言う通りなら、やっぱり有り得ないぴょん。

この子は生きている筈が無い、主は別の要因と言った、ならどうしてこの子は魔法少女になれてるぴょん?

 

……どっちにしろマニュアルは書き直しだぴょん。今のままじゃ『配慮が足りてない』とネットで総叩きされるぴょん。

 

そう、まだミーにはやることが沢山あるんだぴょんけど……。

 

「……離れられないぴょんか」

 

「離れられねぇな」

 

「……」

 

「……」

 

「「…………」」

 

──結局、主が帰ってくる夕方までずっと、気まずいままだったぴょん。

 

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

「「遅いわボケェ!」ぴょん!」

 

「ごめんごめん」

 

「ごめんで済んだら…!」

 

「魔法少女は要らないぴょん!!」

 

なんかルンルン気分で帰ったらバカほど怒られました。なんで?

いや確かにダークちゃんを放ったらかしにしてスカウトに行ったのは悪いと思ってるけど、ミーちゃんとドクターならすぐ治せると思ってたのに……なんかずっとおてて繋いでるし、ダークちゃん目が死んでるし。

 

3人目の子の悪の組織堕ちを頑張って仕組んで来た帰りなのに、キレられてはやりようがないんだけどー!

 

「どしたのコレ」

 

「お前が治せっつったんだろうが…!」

 

「ミーちゃんに言ってるんだよ。わざわざドクターがこの子をどうやって治療してるかを見せてるのに、なんで魔法で一括しないの?」

 

「いや、ミーの想像力じゃ…」

 

「まぁ確かに。でも必要なのは供給元でしょ?その青い子が排出と循環をしてあげてるなら、魔法で『魔石』作って後はドクターに任せなよ。ミーちゃんでも流石にそこら辺は出来ると思ってたんだけど……」

 

「─────あ」

 

「は?おま、おい!」

 

「──違うぴょん。ミーのせいじゃないぴょん」

 

「ミーちゃんのせいです」

 

「…………」

 

「お前なぁ!?なーにが『ミーの脳のリソースは終わり』だ!ちったぁ頭使えば出来るんじゃねぇか!?ミーじゃなくてノーみそ使えよ!」

 

「うるさぁぁぁいッ!!黙れぴょん!ミーだって忙し過ぎて頭働いてねぇんだぴょんッ!!」

 

なんか大変そうだな……仕方なし、迷惑掛けてるのは事実だから手伝ってあげよう。

ダークちゃんは今ミーちゃんからの魔素を受け取って肉体を形成しながら、魔素で作られてない本物の肉体が魔素を拒絶してるせいで自壊を繰り返してる──筈なんだけど、ドクターは私がダークちゃんにやったように、魔素を過剰供給させ続けて自己修復機能を暴走させてる。

 

魔法少女の肉体は魔素によって生成されてるけど……魔素って実の所、魔法の為だけじゃなくて…何でも形成できる万能素材なんだよね!!昔、私がそういう風に作ったからなんだけど……それで、血と肉、命を守るのに必要な栄養素まで一緒に修復機能に巻き込んで、尚且つ本物の肉体が影響を受ける前に青い子に喰わせてるのは流石悪の組織のドクター。

 

「なら──こうかな?」

 

「……イヤリング?」

 

「無論ノンホール、機能は供給元と排出先、付けてあげたら後は輸血だけでいいよ〜」

 

「────魔法か、そこの変態兎とは格が違ぇわ」

 

「一々うっさいぴょんね!?」

 

「…………───おねえ…さん…?」

 

「お」

 

「「……!!」」

 

ダークちゃんが目を覚ました。多分さっきから起きてはいたんだろうけど、結構無茶な治療をしてるから意識はほぼ無かったと思う。

ギリギリで意識を保ちながら……私の方に手を伸ばしてくれるのか、うん、やっぱり魔法少女は可愛くて素晴らしい。

 

「おはよう、ダークちゃん」

 

「…………」

 

「でも、もう少し寝ておこうか。次に目覚めた時は……きっと」

 

「──不完全で、最高の魔法少女になってるからね」

 

「……はい…」

 

「おやすみ」

 

イヤリングを耳に付け、額におやすみのキスをする。

お姉さんか。この見た目になってから自分のことを年上扱いする人は居なかったんだけど、それもいいね。

 

みんな、今日この日までのみんなは、夢を失いすぎた。

分からないものが沢山分かるようになるのは、大切な事だけど。

──魔法少女は、夢のある存在だから。

 

 

 

「必ず、ダークちゃんの夢も叶えられるよ」

 

 

 

 

 

 

 

「………なんか主…妙にカッコイイ気がするぴょん」

 

「成果全部取られてんだよ気づけ」

 

「はっ!美味しいところ全部持ってかれたぴょん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

──夕焼けが落ちる頃に。

 

玄関から子供の笑い声が聞こえ、足音と共にそれは近付いてくる。

遊びに行ったクロとアカを連れて分身体が帰ってきたのだろうと、治療のせいで遅れていた業務を一通り終わらせていたミーちゃんは、居間にて主と茶を嗜んでいた。

 

軽い雑談だ、この家も風情があるけれど人数が増えると流石に窮屈だとか、裏山とか遊べる場所はあるけど野性的すぎるとか、アオアカクロの成長日記だとか。

 

一番の命題は全国に股をかける魔法少女連盟に対して、『ヴィラン』として振る舞う場合、どの程度にまで悪の組織を拡大し、行動するのかを話すのだが、

 

「ザコ戦闘員?いいと思うよ」

 

「よ゛っ゛し゛ゃ゛ぁ゛!゛!゛」

 

「あ、でも私のデザイン魂が疼いたら時々手入れしに来るから」

 

「ふふーん、それくらい大丈夫ぴょん!」

 

「ついでに3人目は仮の魔法少女として1週間後くらいかな?その辺で入隊させるので服装のデザイン宜しくね?あと私の名前と悪の組織名も決めちゃってて〜、ついでにダークちゃんへの訓練マニュアルと、変身衣装も一緒に決めてあげて?あ、ドクターの衣装まだ?今のままだと清純過ぎて悪っぽくないから早めに……」

 

「───〇ねぴょん」

 

「うそうそ、ごめんってば…私も出来る限り付き合うよ」

 

「待って、今の何ぴょん??〇ね、〇ね!〇!〇〇〇!!!」

 

「お昼に流せない発言は全部ピー音にする魔法かけてあるの言ってなかったっけ?」

 

「なにしてくれてんだこの〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇!!??!!?」

 

「ワォ、すっごい暴言。嫌なら解いとく方がいっか」

 

「──ミーはやっぱりアホタレ主が嫌いぴょん!!」

 

子供には聞かせられない文句の言い合いをしている間に、帰ってきた分身体と2人が手を洗って居間に訪れる。

分身体は「はー、つかれた……」と言いながらスライムの様に茶を啜っていた本体へと合体し、思わず口から「きも」と漏れたような声が対面から聞こえた。

 

「……」

 

「ミーちゃんきもくないよ」

 

「ミーちゃんありがと!」

 

「ぅ、うぅ…。ありがとうぴょん、2人とも…」

 

──ミーちゃんは人気者だなぁ、やっぱりリーダーにして良かった。

ダークちゃんも、ドクターも、優花ちゃんも今のところは任せられる。私には私しか出来ないことをやろう。

 

「ねぇミーちゃん、今度ミーちゃんの姿で全国暴れ回ってくるけど大丈夫?」

 

「うんうん、今なら主の無茶……え?いや?駄目ぴょん?」

 

「おっけー、もうそこら辺の魔法少女をちぎっては投げちぎっては投げしてくる!」

 

「だ、駄目だって言ってるぴょん!?」

 

「むー」

 

「そもそも!この状態でNo.1がここに襲いに来れば、主抜きでは全滅するぴょん!目立つ真似は避けるぴょん!」

 

「ならダークちゃんか3人目の子をムキムキに育てて頑張ってもらうか〜…結局さ、今の社会に張り付いてる『魔法少女』ってミームを引き剥がさないとどうにもなんない気がするし」

 

「ミームかぴょん……確かに、下らない政治闘争に使われてる間はミーたちがどれだけ頑張っても意味無いぴょん」

 

せこせこやっても効果は薄い!でもがっちりやると余りにも猶予が少なくなる……悩み所である。

悪の組織たるもの、国家権力に宥められてはいけない。だがお昼の放送に流せる程度の悪行となればいつかアイドルになってしまいそうな……。

 

──うむ、難しい。そう思いながらテレビを見つめる。

アイドル魔法少女、組織化された魔法少女、魔法少女警察、魔法少女学校、魔法少女病院。

 

名前だけ聞くと、私の好物なのだけれど。

その中身が、つまらなく腐っていたらどうしようも無い。

 

魔法少女ってこんなものになってたんだな、ほんと。なんとも人間という種族は度し難く、許し難いのか。

魔法少女化すら、私は許していないというのに。あんな残酷な事をしなくても魔法少女にはなれるんだ、それを穢した、私は奴らを許さない許せない潰す1人足りとて逃してなるものか殺してやる駄目だ抑えろ。

 

「……」

 

「……いっそ」

 

「──いっそ全部」

 

「主」

 

「…………」

 

「アカとクロが怖がってる」

 

「…………ふぅ、ごめんね!考え事すると毎回こうなっちゃうんだよね〜……私の悪い癖だな」

 

「焦りすぎぴょん、熱込めて悪役するのは良いけど、その熱に浮かされすぎても駄目ぴょん」

 

昔、ミーちゃんことぴょんぴょんが居なかったら、私はきっと人類を消していただろう。それだけ魔法少女化の『再現』を私は許せないし、ダークちゃんみたいな子が生まれてしまっている事実を赦してはいけない。

 

──魔法少女と人類を対立させるのは、勿論私の趣味だけど!

それでも、趣味を汚されて黙ってる訳にゃぁいかんぞよっ!!なーのーでー、

 

「ある程度はやっぱりぶち壊すね、魔法少女の存在意義を思い出してもらう為に」

 

「──今からぴょん?」

 

「んー。2週間後かな、それまでにダークちゃんの調整よろしく。3人目は……ぐふふ、色々仕組んだ後に完全入隊してもらおーっと!し明明後日に唾つけて来るね!」

 

「了解ぴょん!分身も慣れてきたし、作業ペース上げるぴょん!」

 

「名前も今決めておこう、世界を敵に回す悪の組織!その名は──」

 

「「…………」」

 

「その名は!!」

 

「「…………」」

 

「ミーちゃん決めてよ」

 

「そういうのは主が決めるもんじゃないのかぴょん」

 

「「────」」

 

睨み合う両者に割って入る影がある。

──アカとクロが、2人ではしゃぎながら頭の上へとよじ登り、肩を支えにしてこうアカは叫ぶ。

 

「まじかるがいいー!」

 

「マジカル……ぴょん?」

 

「うん。ミーちゃんの分身が愚痴零してたから、2人で考えてたの」

 

「マジカル…マジカルかぴょん…少し淡白な気も…」

 

「じゃあミーちゃん、マジカルを頭にして何か付け足せば?」

 

「…………」

 

「──それじゃ、『マジカルフューチャー』にするぴょん。ちょいダサだけど響きはマルぴょん」

 

 

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